流量計とは、液体あるいは気体の流量を測定することができる機器です。流量計には数多くの種類がありますが、それぞれによって測定できる流体や設置可能な場所が異なるため、各製品仕様をきちんと確認して最適な流量計を選択する必要があります。
この記事では「容積流量計」「コリオリ流量計」「超音波流量計」「タービン流量計(羽根車式流量計)」「熱式質量流量計」の特徴をご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
流量計を用いることで、単位時間毎に配管等の断面を通る流体の量を測定することができます。では、流量を計測することによってどのようなメリットを得られるのでしょうか。 ここでは、「省エネ対策に繋がる」「設備異常に気付きやすくなる」の2点をご紹介します。
流量計によって日々の流量をチェックすることによって、生産活動中以外の時間に発生しているムダなエネルギーを可視化することが可能となります。
また、はじめから省エネ対策を意識して流量計を導入するケースもあります。日々の流量を計測して記録しておくことによって、省エネ対策に対する効果を客観視できるようになります。省エネ対策には何らかの設備を導入するなど初期費用が掛かることが多いため、流量計を用いてきちんと改善効果を確認することは非常に大切なことです。
流量計は設備の異常を検知するための助けにもなります。流量計を設置している設備の流量が普段の数倍になっていたり、あるいは半数以下になっていたりした場合、閉まっているはずのバブルが開いていたり、設備の温度が急激に上がったり下がったりしているという事態が予測されます。
流量計による数値の異常を確認できることで、設備が実際に故障したりトラブルになったりする前にメンテナンスを講じることが可能です。
容積流量計は、流量を検出する部分に楕円状の歯車が2つ内蔵されています。流体自体のエネルギーにより歯車を回転させ、その回転数によって流量を算出するため、電気等の外部エネルギーを必要としない特徴を持ちます。
計量精度の良い測定ができる流量計として広く認知されているため、工業機器をはじめとして一般によく使用されています。中でも液体の計測に向いており、特に高粘度の流体計測において高い精度を発揮します。
コリオリ流動計は、流体が平行に並んだU字菅を通った後、再び1本の配管に戻ってくる構造をしています。流体がU字菅を流れる際、2つの配管間で逆方向の力が作用するという「コリオリの力」を利用して計測します。
流体の温度・圧力・粘度・密度等の変化に影響を受けない「質量計測」が可能で、密度換算する必要がありません。液体の他に、食品・薬品・高密度ガス・スラリー等の計測が可能です。
超音波流量計は、物質を透過して伝播していくという超音波の性質を活用した流量計です。超音波流量計は主に「伝播時間差式(時間差式)」と「反射波の周波数変化(ドップラー効果)から計測する方式」の2つの種類に分かれます。
初期の設置コストを抑えることができたり、メンテナンスをしやすい特徴を持つ流量計ですが、気泡の影響を受けやすいデメリットもあります。
タービン流量計は、流体が回す羽根車の回転速度が流速に比例することを利用し、羽根車の回転数から流量を測定します。羽根車と軸受けだけで構成される少量型のため、製品によっては羽根動きを見て流れを確認することも可能です。
広範囲の粘度の液体に対して高精度な計測が可能で、石油・化学液体・液化ガス・水などのプロセス制御や工程管理、取引用としても活用されます。
熱式質量流量計は、2本のセンサでを有しており、各々が流速センサ・温度センサとして機能します。
気体を測定される場合に活用されるケースがほとんどであり、特にクリーンな気体に向いているタイプの流量計です。
今ご紹介したものだけではなく、流量計の種類は実に数多くあります。そのため、流量計を選択する際には、計測したい流体やその目的に適した製品を選ぶ必要があります。 ここでは流量計を導入するために考慮するポイントを、実際の導入手順に沿ってご紹介します。
まずは測定したい流体の性質を確認する必要があります。液体か気体か等の状態をはじめとして、流量(最大 / 常用 / 最小)・密度・粘度・導電率・色・透明度・温度・圧力等の項目を確認しておきます。必ずしも全ての項目を確認しなければいけないわけではないですが、計測したい流体の性質をなるべく細かく把握しておくことで、より最適な流量計を選択しやすくなります。
測定対象を確認した後は、「なぜ測定したいのか?」という目的を確認します。目的を明確にしておくことで、流量計に求める精度を把握しておくことができるようになります。
例えば、体積流量を監視するために流量計を活用する場合は、高精度を求めてもあまり意味がありません。というのも表示される流量が瞬時流量であるため、アラートが出る誤差を細かくしてしまうと逆に使い物にならないからです。
測定したい流体の性質と目的を確認すれば、ある程度そこに対応できる製品を絞り込むことができます。そのため、リストアップされた製品の中から、あとは実際に設置する環境等の細かい条件と、製品仕様を照らし合わせながら選定していきます。
【確認したいポイント】
出力信号 / 電源 / 設置場所 / 保守やメンテナンスのサポート
最後にコストを比較して導入する流量計を決定します。確認するのは流量計本体の価格だけではありません。TCOO(Total Cost of Ownership)と呼ばれる、「流量計・関連機器の価格+設置費+保守作業費」のトータル的な価格を比較して決定する必要があります。
この記事では、流量計の種類別による特徴や、選び方のポイントをご紹介しました。
もちろん、各メーカーのカタログをダウンロードし、製品一覧から導入する流量計を探すことも可能です。しかしまずは、測定したい流体の性質やその目的、設置環境など、今現在に確認できることをチェックした上で実際の製品比較のフェーズに移ることをおすすめします。
微小流量から大流量まで対応できる水素計測用の各種流量計
近年、温室効果ガスの削減目標、非化石エネルギーの導入目標を大幅に引き上げる必要があるとされ、二酸化炭素を排出しないクリーンなエネルギー資源として水素の利用拡大が進められています。
今回は、そんな水素の計測に対応したオーバルの流量計をご紹介いたします。
【オーバルの水素計測用流量計ラインナップ】
・MASFLO-OVALⅡ 非防爆形
・MASFLO-OVALⅡ 防爆形
・気体用マスフローメータ
・EXデルタⅡ(標準、スマートタイプ)
・DELTAFLOW Type F(標準形)
・ガスオーバル
・ALTImassⅡ(超高圧形・120MPa 水素対応)
アンモニア活用を加速するオーバルの流量計
アンモニアは、水素キャリアとしての可能性が注目され、CO2フリーアンモニアのバリューチェーン構築が期待されています。オーバルはこれまでも、液体及び気体のアンモニア計測用途で、コリオリ流量計、渦流量計、容積流量計、熱式質量流量計などを様々な業界に納入してまいりました。
今後は、クリーンエネルギーとしての液化アンモニアの計測用にも販売を拡大いたします。当社横浜事業所は高圧ガス保安法の特定認定事業者であり、広い範囲で認定品の対応が可能です。
流量計専業メーカとして長年培った豊富な経験と確かな技術で、アンモニア製造工程や出荷・受入計測用、船舶燃料用や石炭発電のアンモニア混焼用などのアンモニア計測用の高精度流量計、流量計測システムの開発などを積極的に推進し、将来の需要の拡大に対応してまいります。