弱酸性条件下のみで発光する新規蛍光物質
新しい蛍光物質
今回ご紹介する蛍光物質は、「弱酸性下」という条件での発光ができる新しい蛍光物質です。これまでの実験で、強酸性の条件下での弱酸性部分の発光もできることがを証明し、例えば、胃の中のような検査にも活躍できる可能性があることがわかっています。
目次
蛍光物質とは
蛍光とは、光のエネルギーを吸収して励起された物質が光を放出して基底状態に戻る状態の現象のことをいいます。現在はペン、入浴剤、着色料など我々の生活には様々なところに活用されています。特に注目すべきはライフサイエンスの分野へ応用されるようになったことです。蛍光物質の活用によりライフサイエンスの技術は飛躍的に進歩していきました。

蛍光物質の様々な特徴を活かした技術、研究が進められています。 その中で、環境の違いを見分けることにより蛍光を出すことができるという「機能」を持った色素の開発も盛んに進められています。

機能性蛍光色素
Fluorescein
Fluoresceinは代表的な機能性色素です。Fluoresceinの特徴は酸性化では光らず、中性から塩基性条件下においてのみ光を発するというpHセンサーの役割を持っていることが挙げられます。
CaTM-2
CaTM-2はFluoresceinの構造を応用したもので、カルシウムイオンに反応して発光する色素になります。主に細胞内のCa濃度を定量化することに使用されており、市販されています。
aRhP-EF
aRhP-EFは、Fluoresceinとは反対で、弱酸性から酸性条件下でのみ発光する色素になります。
aRhP-EF
aminobenzopyro-xanthene (ABPX)は、Fluoresceinの構造を2つ連結させたような構造が特徴的な色素で、タンパク質の凝集によって蛍光する色素で、アルツハイマー病などを見分けることに応用が進められています。

これらの色素は大きく2つに分類することを東京大学の先生によって提唱されています。 環境に依存せずにとにかく励起光をあてれば蛍光するという色素は「Always-ON type蛍光色素」であり、一方で、先ほど示したFluoresceinやカルシウムセンサーやなどのように測定対象の濃度が薄い時には傾向は出ず、高い時に応答して蛍光を出す色素を、「ON/OFF-switch型」と分けられます。
弱酸選択的蛍光色素(Partly-ON型蛍光色素)
弱酸選択的蛍光色素とは、部分的にONになるような蛍光色素で、p H4−4.5で最大の蛍光強度を発するのですが、さらに、中性から塩基性条件下ではもちろんのこと、強酸条件下でも光らない、弱酸条件のみに反応することが特徴の色素です。

活用例
蛍光酸性プローブによるリソソームへの染色
細胞染色への応用ができることは確かめられたので、リソソームへの染色を実験しました。 さらにこの実験を応用して、例えば、胃のような強酸性中で弱酸性部分のみ染色ができるかを実験し、染色できることを証明することができました。

今後想定される用途
酸性オルラネラの検出、微小環境でのpH測定などでは研究ツールして活用できると考えております。また、疾病診断法への活用においては、酸感受性という特徴を活かした様々なイメージング、特に胃の周辺のがん診断などのイメージングには活躍できるかと思われます。

実用化に向けての課題と企業への期待
ただし、実用化に向けて課題もあります。この色素を疾病診断に活用するためには、抗体と結合させてラベル化する必要があります。また、現在は弱酸性下においてのみですが、別のpH領域への選択的な色素の開発などを進めて唯一無二の技術にすることが必要です。そのため、これらの課題については企業と一緒に解決していきたいと考えており、共同研究を進められる企業様からのご連絡をお待ちしております。
また、この技術の思いもよらない活用先にも期待しておりますので、 そのようなご要望もお待ちしております。
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