働き方改革にはDXが必要!「働き方改革」と「DX推進」でできること
・働き方改革にDXがなぜ必要?
・DXを推進して働き方改革をする具体的な方法について知りたい
このような疑問・悩みはありませんか。
DXは2018年に経産省がDX推進ガイドラインを公表、働き方改革は2019年に働き方関連法案の可決で共に、広く世間に浸透したバズワードです。
しかし、「DX」と「働き方改革」という言葉は聞いたことがあってもうまく説明できない方、DXと働き方改革の関係性、具体的なDX推進の方法について良く分からないという方も多いのではないでしょうか。
新型コロナウイルスの発生により人の生活・仕事は大きく変化しました。新型コロナウイルスがもたらした大きな環境の変化は「ニューノーマル」(新常態)として私たちの生活に浸透しています。リモートワークやデジタルの活用も当たり前になりました。
2023年3月13日に政府は、マスク着用を個人の判断に委ね、アフターコロナの変化の兆しも見えてきましたが、働き方改革とDXが未だ重要なことに変わりはありません。
本記事では働き方改革とDX推進についてのポイントや具体的な取り組み方についてご紹介します。
この記事の結論
・働き方改革とは、多様で柔軟な働き方を、自分で「選択」できるようにするための改革
・DXとはデジタル技術を用いることでビジネスモデルそのものを変革すること
・IT関連のシステムを複合的に導入することでDX推進・働き方改革を実現できる
・技術の見本市エボルトでは働き方改革に役立つDX推進のシステムを紹介
目次
働き方改革とは?

「働き方改革」とは、働く人々が個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を自分で「選択」できるようにするための改革のことです。
日本社会が直面する少子高齢化と働く人々のニーズの多様化などの課題に対応するための措置が講じられました。
・労働時間の見直し
・雇用形態に関わらない公正な待遇の確保
この2点が働き方改革の二つの柱でした。
例えば労働時間の見直しの観点から月60時間を超える残業は割増賃金の引き上げ、法律による残業時間の上限も定められました。また企業は待遇格差をなくすために柔軟な働き方ができる環境も整備しなければいけません。
コロナウイルス感染拡大の影響に伴い日本政府は、テレワークも推奨しました。企業はこれらの変化への対応を迫られています。
【参考】「働き方改革~一億総活躍社会の実現に向けて」 (2019/4掲載)
DXとは?

DXとはデジタルトランスフォーメーションの略です。経産省のレポートでも引用されているIT専門調査会社のIDC Japan株式会社ではDXを以下のように定義しています。
『企業が外部エコシステム(顧客、市場)の破壊的な変化に対応しつつ、内部エコシステム(組織、文化、従業員)の変革を牽引しながら、第3のプラットフォーム(クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術)を利用して、新しい製品やサービス、新しいビジネス・モデルを通して、ネットとリアルの両面での顧客エクスペリエンスの変革を図ることで価値を創出し、競争上の優位性を確立すること』
(IT システム「2025 年の崖」の克服と DX の本格的な展開より引用)
短く要約するとデジタル技術を用いることでビジネスモデルそのものを変革することです。
DXとIT化の違い
DXを理解するにはIT化との違いを理解するのが近道です。DXとIT化の違いは、以下の通りです。
DX:デジタル技術を用いてビジネスモデルそのものを変革する
IT化:デジタル技術を用いて業務を効率化する
IT化は既存のアナログな作業をデジタルの力で置き換えるに留まります。しかしDX化では業務そのものを効率化させるにとどまらず変革するところまで取り組みます。
DXが注目される理由
働き方改革に関連しDXが注目される理由の1つが、「2025年の崖問題」。企業で導入されている多くのITシステムが老朽化を迎え、刷新が必要になるというものです。DXが進まなければ2025年以降、最大で年間12兆円の経済損失が生じる可能性があるとされています。
また、テクノロジーの発展により消費行動や顧客との繋がりが変化し、企業の成長のためには対応が不可欠となります。デジタルを活用していくために、企業内部もデジタル技術を用いた変革が求められているのです。
DX推進のアクション設計

【画像】経産省DXレポート中間取りまとめより引用
企業によって業務のデジタル化が進んでいるところもあれば、全く進んでいないところもあるのではないでしょうか。DX推進を3つの領域に分けて考えることで、何に取り組むべきかが見えてきます。
デジタイゼーション
デジタイゼーションはアナログ・物理データのデジタルデータ化です。例えば契約書や顧客リストの電子化などが挙げられます。またオフィスでの会議のオンライン化もデジタイゼーションに含まれます。
デジタライゼーション
デジタライゼーションでは、自社だけでなく外部環境やビジネス戦略も含めたプロセス全体のデジタル化を進めます。例えば契約書をPDFのように電子化するだけならデジタイゼーションの域を出ません。しかし、契約自体をオンラインで行い、電子データで契約書を保存するならばデジタライゼーションの領域と言えるでしょう。
デジタルトランスフォーメーション
デジタルトランスフォーメーションの段階では、全体の業務・製造プロセスのデジタル化やビジネスモデルの変革を進めます。例えばデジタルデータを活用することで新しいものを作り、ビジネスそのものをイノベーションして発想自体を変えていきます。
そのためには、デジタイゼーションとデジタライゼーションの2つに取り組むことが前提です。 また既存のレガシーなシステムがDX推進のボトルネックになっている場合は、思いきったシステム自体の抜本的な改革・変更も必要です。
働き方改革にDX推進が必要

働き方改革とDX推進は無関係ではありません。DXには人の働き方を変える力があります。
働き方改革では、
・労働時間の見直し
・雇用形態に関わらない公正な待遇の確保
・リモートワークの環境整備
労働時間の見直しと公正な待遇確保の2つの柱に加え、多様な働き方の一環としてテレワークの環境整備も重要な課題です。
これらの課題はDX推進で解決でき、しかも従業員の働き方を変えるだけでなく企業の生産性・競争力を高めることができます。
DX推進には、
・リモートワークの環境を整えるシステム
・情報共有を円滑にするシステム
・業務効率・生産性を向上させるシステム
・新規事業に役立つシステム
など、さまざまなIT関連のシステムを複合的に導入することが欠かせません。これらのシステムを上手く選定し活用することで働き方改革の課題を一つずつ解決しながら、企業としての競争力そのものを高めていけます。
DX推進で働き方改革をする具体的な方法
働き方改革を実現するためにはDX推進が必要ですが、具体的にはどのようなシステムを導入するべきなのか分からない方も多いのではないでしょうか。
・リモートワーク・場所に縛られない働き方への対応
・情報共有
・業務効率化・生産性向上
・新事業への発展
この4つの課題に貢献するシステムを導入することで、働き方改革を推進できるようになります。
リモートワークへの対応・場所に縛られない働き方への対応
働き方改革でリモートワークへの対応・場所に縛られずに働ける環境を提供できることが求められるようになりました。法人向けのオンラインコミュニケーションツールの導入で、ビジネスの現場でも十分通用する環境を整えることが、働き方改革推進につながります。
情報共有
DX化を推進するには情報の電子化と、電子化されたデータを活用できる環境を整えることが欠かせません。
業務効率化・生産性向上
働き方改革の関連法案で限られた時間の中で、従業員にコアな業務に集中してもらえる環境を整える必要が出てきました。そのため返信メールやルーティンワークの自動化、事務作業をいかに効率よくできるかも企業の課題です。しかし、業務効率化・生産性向上は働き方改革推進に直結するだけでなく、経営上の売上アップ・コスト削減にも貢献できる部分です。
新事業への発展
システムを導入することで従来の仕事の進め方自体を変えたり、新しい付加価値のある事業を展開できます。従来の仕事を置き換えるだけでなく新しい事業への発展に繋がるシステムを紹介します。
DX活用による働き方改革実現の流れ

DXを活用するためには、ツールの導入だけでは効果を発揮しません。自社の状況に合わせて、段階的に取り組む必要があります。
DX導入の準備から運用までを5つのステップで紹介します。
ステップ1.自社の現状と課題を整理
DX導入にあたって自社に最適なツールや運用システム、体制を決定するために、現状の確認と課題の整理を最初におこなう必要があります。
会社ごとに、DXで改善すべき課題や、ITツールの活用状況、定常業務の内容、人員リソースが異なります。現状や課題の確認では、業務をおこなっている担当者など現場の声を吸い上げることが重要です。
課題を明確化した上で、DXをおこなう目的を決定します。導入したツールやシステムを最適に運用するには、DXによってどんな成果を得たいか、共通認識を持つことが重要です。目的や解決すべき課題が不明確であると、一貫した施策を立てにくくなり、現場の疲弊を招く恐れがあります。
ステップ2.DX導入の体制を整える
DX導入のためには、予算やIT人材の確保が必要です。特にデジタルの活用で何が実現できるかを理解し、実行を担っていく担当者が不可欠です。非IT企業の場合は、既存社員では対応できないケースも多くなるため、コンサルタントに依頼したり、人材採用の必要も出てきます。
次々新しい技術やツールが登場するため、素早く意思決定できるような座組みを作っておくことも重要です。
DXは一気に全社へ導入しようとすると、スムーズに進まない可能性が上がります。そのため、まずは部署や業務単位など、範囲を限定してスタートし、徐々に拡大していくのがベターです。
ステップ3.最適なツールの検討・選定
DXへの注目が高まる中で、様々な業務自動化、デジタル化ツールが誕生しています。ツールごとに機能やコスト、得意な分野などの特徴があります。業種、従業員規模、目的などにより最適なツールが異なるため、自社で設定したDXのゴールや状況によって洗濯が必要です。
最近は非エンジニアでも利用できるITツールが増えています。検討する際は、どの程度のスキルを持つ従業員がどのように使うかを把握した上でおこないましょう。
ステップ4.運用方法、ワークフローの検討と従業員教育
ITツールやデータ活用は、これまでのワークフローに置き換わり継続して利用することを前提としています。しかし、ITツール導入後に起こる問題として「現場で使いこなせない」「慣れたやり方に戻ってしまう」というものがあります。
ツールを効果的に活用するには、現場が利用しやすい運用方法を採用すること。必要に応じワークフローの変更もおこなうことが重要です。さらに、ITツールを日頃から利用する従業員に使い方を教育し、円滑に業務をデジタル化できるようサポートする必要があります。
ステップ5.PDCAによる改善
ITツールは導入して終わりではなく、運用状況を見ながら継続的な最適化が必要になります。業務効率化の効果を数値で把握したり、現場の声を聞くなど、定性的・定量的に状況を確認し評価しましょう。
当初設定した目的と状況を比較し、ワークフローや運用方法の見直しをおこなうことが大切です。
まとめ
働き方改革とDX推進の関係について解説しました。最後に結論をまとめます。
・「働き方改革」とは、多様で柔軟な働き方を、自分で「選択」できるようにするための改革
・DXとはデジタル技術を用いることでビジネスモデルそのものを変革すること
・IT関連のシステムを複合的に導入することでDX推進・働き方改革を実現できる
・技術の見本市エボルトでは働き方改革に役立つDX推進のシステムを紹介
働き方改革推進のためには信頼できるシステムを提供している企業と協力することが欠かせません。エボルトではDX推進の際に信頼できるおすすめの企業を紹介しています。働き方改革・リモートワーク関連の製品・技術に興味がある方は参考にしてみてください。
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