複合材の断面観察における試料作製を効率化する断面試料作製装置(超音波アシスト切断)
硬軟混在の複合材を樹脂包埋なしで一度に切断する断面試料作製の効率化
課題
硬質材料と軟質材料が混在する複合材は従来の手法では断面に崩れやダレが発生しやすく、観察対象である積層構造や接合界面を良好に得ることが難しいという課題があります。
解決策
超音波アシスト切断による断面研磨効果を活用し、樹脂包埋を行うことなく、複合材を一度で高品位に切断し、断面試料を作製します。
期待効果
煩雑な樹脂包埋による前処理工数を削減しつつ、安定した品質の断面を得られることが可能となり、断面観察の効率化が期待できます。
スマートフォンなど複合材の断面試料作製
スマートフォンやカメラモジュールは、チタン・SUS・アルミニウム合金・マグネシウム合金・銅・レアメタルなどの金属材料に加え、強化ガラス、半導体、樹脂、セラミック、接着剤など、硬さの異なる多様な複合材で構成されています。これら製品の内部構造や材料間の接合界面、電子部品内部の接合状態を確認するためには、対象物を切断して断面を露出させ、光学顕微鏡やSEM(走査型電子顕微鏡)による観察を行います。
本用途は、故障解析、不良解析、構造解析、信頼性評価など品質保証や研究開発の現場において、こうした複合材を対象に観察に先立つ前処理工程として、観察に適した断面試料を作製するものです。また、多様な複合材の解析を受託する分析会社においても、同様の断面試料を取り扱う場面が想定されます。
複合材の断面観察における課題
断面が崩れやすい複合材
スマートフォンに代表される複合材は、硬質な金属や強化ガラス、セラミックと軟質な樹脂などが組み合わさって構成されています。こうした硬さの異なる材料が混在する構造に対し、従来のワイヤーソーやホイールソーによる切断や研磨を行うと材料境界で断面が崩れたり、観察対象となる界面にダレや欠損が発生したりすることがあり、正確な観察が困難となる課題があります。
切断面の損傷(部品脱落、傷、欠け、チッピング)
カメラモジュールのように、内部のレンズが固定されていないなど構造的に不安定な部品を含む場合、ワイヤーソーなどによる切断中にレンズが飛び出したり紛失したりすることがあります。また、研磨工程においても部品の脱落や傷の発生が生じることがあり、観察に適した良好な断面が得られない場合があります。
断面観察用 超音波カッティング装置 CSX-100Labによる解決
硬軟混在の複合材を一度で切断
回転するブレードに超音波による微細な上下振動を付与した超音波アシスト切断を採用しています。この振動により、硬質な材料を効率的に微細に破砕し、切削力を高めるいわゆるハンマー効果が生じます。そのため、金属やガラスと樹脂のように硬さの異なる材料が混在する複合材であっても、樹脂による包埋処理を行うことなく一度の工程で切断が可能です。これにより、加工が困難であった複合材で構成された部品においても、鮮明な断面観察が可能になります。
切ると同時に磨く断面研磨効果
超音波アシスト切断では、ブレードが上下に振動する作用を利用し、ブレードの側面で切断面を磨きながら加工を進める断面研磨効果(超音波ポリッシュカット®)が得られます。切断と研磨を一工程で同時に行うため、切断面のキズ、バリ、ダレを抑制し、断面解析に適した平滑で界面が鮮明な断面に仕上がります。従来必要であった熟練を要する研磨工程を最小限に抑えることができ、積層構造状態観察、接合界面観察、クラック観察、スルーホール観察といった断面観察に適した試料を効率よく作製できます。
両端支持機構による安定切断
ブレードホーンの両側を支持する両端支持機構により、超音波振動を効率よく伝達するとともに、切断時の負荷によるブレードのたわみを抑制します。一般的なダイシング装置では片側支持方式が多く採用されていますが、本機構により切断時に生じやすい切断の蛇行を抑制し、安定した姿勢での切断が可能となります。そのため、固定が不安定なレンズを含む複合材でも、断面を崩さず安定して切り出すことができます。
ダイシングテープでの固定
切断対象のワークはダイシングテープなどに貼り付けた状態で、テーブルに真空吸着させて固定します。これにより、手で保持したり専用治具を用意したりする必要がなくなります。また、切断後はテープにUV照射を行うことで、ワークを容易に剥離できます。
CSX-100Lab活用による期待効果
試料作製時間の短縮
樹脂による包埋が不要となるケースが多く、切断と同時に断面が一定レベルまで磨かれるため、その後に必要となる研磨紙を使用する機械研磨やバフ研磨などの精密研磨、CP加工(クロスセクションポリッシャー)、FIB加工(集束イオンビーム)、イオンミリングといった工程を大幅に削減でき、電子顕微鏡による観察での前処理装置として活躍します。従来、樹脂包埋から研磨まで1日~2日以上を要していた試料作製が、最短で30分程度まで短縮できる場合があり、1日以上の工数削減が見込まれます。
属人化の解消とスキルレス化
従来の手作業による研磨工程では、仕上がりが作業者の技能や経験に大きく依存し、品質にばらつきが生じやすい属人的な作業となっていました。CSX-100Labはモニタ画面で切断位置を合わせた後、ボタン操作により自動切断が可能なため、熟練技能に依存せず安定した品質の断面を得ることができます。また、切断条件はレシピとして保存できるため、同じ試料を繰り返し扱う際には、作業効率向上にもつながります。
断面観察・解析・分析・評価の効率化
切断面は平滑で材料の界面が鮮明に得られるため、観察対象箇所を把握しやすくなります。故障解析や品質保証の現場で多くの試料を扱う場面や、電子顕微鏡による観察の前処理として活用する場面で、断面観察を起点とした一連の解析プロセス全体の効率化が期待できます。さらに自動切断中は他の作業に従事できるため、人的工数の削減にも寄与します。
関連製品・サービス
断面観察用 超音波カッティング装置 CSX-100Lab
「断面試料の作製に時間がかかる」「狙った位置を切れず、品質が安定しない」「作業が属人化している」といったお悩みはありませんか。
株式会社高田工業所(以下、TAKADA)の超音波カッティング装置「CSX-100Lab」は、「切る」と「磨く」を同時に行う独自の技術でこれらの課題解決に貢献します。樹脂での固定(包埋)や熟練の研磨作業を不要にし、作業者のスキルに依存せず、早く、高精度な断面試料作製を実現します。