アルミ分解コンデンサは、コンデンサの中でも大容量かつ小さく比較的安価であることで知られています。
この記事では、アルミ分解コンデンサの構造や特徴、設計上の注意点などをご紹介します。
アルミ電解コンデンサとは、アルミニウムの酸化皮膜を誘電体として用いたものです。
日本では電子回路の中ではコンデンサ、容量が大きいものをキャパシタと呼んでいましたが、最近では区別なく「キャパシタ」といわれることが多いです。
ちなみに英語でも「Aluminum Electrolytic Capacitor」と言います。
アルミ分解コンデンサはコンデンサの中でも体積が小さく、他のコンデンサと比べるとコストパフォーマンスが高いことが特徴です。
基本構造は、陽極アルミ箔・電解紙・陰極アルミ箔・電極端子(内部と外部)を巻きこんだものを電解液に浸し、アルミケースと封口材で止めたものです。
一般の電池と同じようにプラスとマイナスの極性があり、製品によって端子の引き出し部分の構造や封止の構造が異なるため、使用の際には構造をよく把握する必要があります。
アルミ分解コンデンサは、大容量コンデンサの主力として電気回路で多く使われています。
プリント基板の表面に実装できるタイプや、工業用の大容量タイプなどがあり、太陽光発電や風力発電などのシステムにも欠かせない存在です。
アルミ分解コンデンサは、他のコンデンサと比較すると安価で容量が大きいことが特徴です。
コストパフォーマンスが高いため、大容量コンデンサの主力として多く使われています。
一方で、周波数特性が良くないことや、液漏れによる誘電体の損失が起こりやすいというデメリットもあります。
アルミ分解コンデンサは多くの電気回路に使われているため、取り扱い頻度や交換頻度は高くなります。使用上の注意点を見ていきましょう。
アルミ分解コンデンサは、使用環境のうち特に温度が重要です。
「温度が10℃あがると加速係数が2倍に、寿命が1/2になる」という「アレニウスの法則」が当てはまり、流れる電流が大きくなればなるほど発熱が生じて負荷がかかります。
長く使うためにも、周辺の部品で熱を持ちやすいものはできる限り遠ざけるなどの工夫をおすすめします。
アルミ分解コンデンサの一般的な寿命は10年です。
使用環境によって異なりますが、機器の稼働中に電源の経年劣化によってアルミ分解コンデンサも劣化する場合があります。
劣化によって静電容量が低下する「液漏れ」「容量抜け」といわれる現象が起き、デバイスの保持時間が短くなったり、安定的な電力共有ができなくなったりします。
具体的には、以下の2点に気をつけましょう。
温度を十分に確認し、寿命を予測する(寿命シミュレーションサイトなどもあります)
使用するコンデンサのリプル電流定格を確認し、十分にカバーできる定格のものを選ぶ
実装環境では、温度によって劣化が加速するのを防ぐために少しでも発熱体から遠くし、周辺温度を上げない工夫をするようにしてください。
アルミ分解コンデンサは、一般の電池のようにプラスとマイナスの極性があります。
正しい向きで装着しないと、正しく機能しなかったり、寿命を縮めてしまったりします。
万が一、誤った向きでつけてしまうと、漏れ出る電流が増加し、中の電解液が蒸発してしまいます。
すると、圧力で電解液が外にでてしまう危険がありますので、極性を間違えないようにしましょう。
基板上に表示がありますので、コンデンサの極性を合わせて装着します。
極性表示のルールはメーカー、基盤の種類によって異なりますので、十分な確認をしてから取り扱うようにしましょう。
世界のアルミニウム電解の市場は、2022~2032年まで年平均成長率(CAGR)約6.5%の成長が見込まれています。
電源、照明、自動車、産業機器などさまざまな用途に使われるため、需要の増加にともない、電子部品の中でも成長市場です。
今後も研究がすすめられ、高い需要を保つと予測されています。
参照元:KD Market Insights
電気回路に欠かせないコンデンサの中でも、アルミ分解コンデンサは安価で大容量という特徴があります。
高いパフォーマンスを発揮するためにも、正しい装着方法と使用環境で取り扱うことが重要です。
今後も発展が見込まれる電子部品のひとつですので、最新の情報や製品をチェックしてください。