フラックス洗浄剤の近年の傾向
フラックス洗浄剤は、電子部品や基板のはんだ付け工程で生じるフラックス残渣を除去するための洗浄剤です。
「フラックス洗浄剤」のほかにも、「フラックスリムーバー」、「フラックスクリーナー」など様々な呼び方があります。呼称は異なりますが、フラックスを除去するという機能は同じです。
フラックス洗浄剤の洗浄能力・環境への要求
フラックス洗浄の品質への要求
電子回路はますます高密度・高集積化され、より高品質が追求されています。電子回路の進化に伴い、フラックス残渣除去の品質へのニーズも高まってきています。
電子回路実装分野における環境適応性
また、グローバルマーケットにおいて、環境適応性は必須条件となっています。環境対応のため、電子回路実装分野においては「脱フロン」と「鉛フリー化」が求められ、その変化に合わせてフラックス洗浄剤も開発・改良されてきました。
VOC規制など、更なる環境配慮が求められる
代替フロンの製造中止や中国VOC規制に洗浄剤へのGB規格が追加されるなど、化学物質への規制は近年ますます強化されています。
化研テックでは、更なる高精密洗浄と環境への対応を両立した高機能・低VOC洗浄剤 マイクロクリンECO / マークレスECOシリーズを開発しました。
高い洗浄力と低VOCを両立したフラックス洗浄剤
マイクロクリンECO / マークレスECOシリーズとは?
マイクロクリンECOシリーズは、更なる高精密洗浄と環境への対応を両立した高機能・低VOCのフラックス洗浄剤です。また、マークレスECOはリンス剤です。
マイクロクリンECO / マークレスECOシリーズは成分の約7割が水であるにも関わらず、高い洗浄品質を維持。当社従来品と同等の洗浄品質を保ちながら、揮発や乾燥によるVOC総排出量を約半分にまで低減可能です。
新発想の洗浄メカニズムにより、これまでの洗浄剤では困難だった狭ギャップのフラックス残渣に対しても強力な除去性を実現しました。
低VOCで人体 / 環境への安全性が高い
マイクロクリンECO / マークレスECOシリーズは、成分の約70%が水で構成されており、乾燥工程や揮発によるVOC(揮発性有機化合物)の排出量を削減できます。
非危険物のため輸送コストも削減可能
引火点が無く消防法の危険物に非該当で、国連危険物輸送勧告(UNRTDG)にも該当しません。国際輸送時も通常品として輸送可能なため、輸送コストも削減できます。
VOC規制に対応し、グローバルで使用可能
中国において2020年12月に施行された、洗浄剤中のVOC含有量の制限に関する強制国家基準(GB規格)においても半水系洗浄剤に該当し、中国国内で問題なく使用可能です。
【特許出願済】優れた洗浄力を実現するメカニズム
化研テック株式会社のナノサイズ微細化技術
当社の従来の低VOCのフラックス洗浄剤は、油相と水相に相分離する成分により、フラックス残渣を洗浄していました。マイクロクリンECOシリーズでは、油相をナノサイズまで微細化し、従来のフラックス洗浄剤では洗浄できなかった狭ギャップのフラックス残渣の洗浄を実現しました。
ナノサイズ化した油相には、以下3つの特徴があります。
狭ギャップ内に侵入しやすい
侵入した油相の比表面積が大きい
フラックス溶解後も、狭ギャップ内の洗浄剤が増粘しにくい
これにより、フラックス残渣への接触機会が増大し、洗浄速度が大幅に向上。
フラックス溶解後も増粘しにくいため、狭ギャップ内のフラックスを含む洗浄剤が、周囲の洗浄剤と置換され、汚れが速やかに排出されます。
優れた洗浄力・洗浄速度
狭ギャップの洗浄性・洗浄速度に優れる
油相をナノサイズまで微細化する独自技術により、30μm以下の狭ギャップ内のフラックスの洗浄を可能にしました。フラックス溶解後も洗浄剤が増粘しにくく、狭ギャップ内の汚れも速やかに排出し、洗浄速度を大きく向上させます。
狭ギャップ内の洗浄剤が置き換わるまでの時間の検証
染料を用いて着色した、下記2種類のフラックス洗浄剤をギャップ下に浸透させた後、それぞれ対応するリンス剤にて同一条件で濯ぎ、洗浄剤が完全に置換・排出されるまでの時間を測定しました。
フラックス洗浄剤 マイクロクリン ECO-8100 / リンス剤 マークレス ECO-R81
準水系洗浄剤 / 水
リンス完了までに要する時間は、準水系洗浄剤 / 水で約7分かかったのに対し、フラックス洗浄剤 マイクロクリン ECO-8100 / リンス剤 マークレス ECO-R81においては約4分と、半分近くにまで短縮できました。
金属塩・金属酸化被膜を強力に除去
水相中の有効成分の効果により、洗浄が難しいSn、Bi、Inなどの金属塩に対しても、優れた除去性を発揮。Cuなどの金属酸化被膜も強力に除去します。
難洗浄のパーティクルも除去可能
従来のフラックス洗浄剤では除去が難しかった微小はんだボール、皮脂、微粒子などパーティクルの除去性にも優れています。
パーティクル除去性
微小はんだボール | |
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皮脂・皮脂片 | |
アルミナ粒子 |
広範囲な水分濃度で洗浄性を維持
50~80%の広範囲な水分濃度で洗浄性を維持するため、水分管理が簡単です。
電子回路の部材には低ダメージ
当社のフラックス洗浄剤は、
・洗浄後の回路特性を変化させないこと(絶縁抵抗のみならず、誘電特性も重視)
・電子部品及び、その他構成材料に影響を及ぼさないこと
を前提に開発されています。
マイクロクリンECO(洗浄剤)/ マークレスECO(リンス剤)は、ともに中性域のpHにあります。そのため、水を多く含みながらも、電子回路を構成する主要な金属材料(銅やアルミなど)に対し、影響を及ぼしません。
また、基板や洗浄装置に使用される、樹脂材料全般(エポキシ樹脂、フッ素樹脂、ポリイミド、ポリ塩化ビニルなど)を膨潤・変形させることもありません。
一般性状
品名 | 洗浄剤 | リンス剤 |
---|---|---|
比重 | 0.98 | 0.98 |
粘度(mPa・s) | 4 | 3 |
表面張力(mN/m) | 32 | 31 |
沸点 | 100℃以上 | |
引火点 | なし | |
ODP | 0 |
フラックス洗浄装置のご提供が可能
化研テックは、フラックス洗浄装置と洗浄剤を両方とも自社で開発、設計、製造、販売している国内唯一のメーカーです。装置提供にも20年の経験があり、国内外に500ライン以上の導入実績があります。
装置と洗浄剤、両方からのアプローチで、お客様に最適な洗浄ソリューションを提案します。
フラックス洗浄装置“マイクロクリーナー”シリーズ
洗浄品質維持と廃液レスを実現する構造 |
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フラックス洗浄装置“マイクロクリーナー”シリーズには、リンス剤を浄化・リサイクルするためのコンパクトな再生器が標準装備されています。 リンス剤のマークレスECOは装置内で連続蒸留再生され、液交換はほぼ不要です。高い洗浄品質を維持するとともに、廃液レスで低ランニングコストを両立します。 |
※ワークサイズや処理量、お客様のご要望に応じて自動機も設計・製造可能です。
フラックス洗浄剤 その他ラインナップ
マイクロクリンECO / マークレスECOシリーズ以外にも、用途に応じて様々なフラックス洗浄剤をご用意しています。
化研テックの商品開発 |
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商品開発における重要基本事項(スクリーニング項目)
|
化研テックは、これらのスクリーニング項目を満たすフラックス洗浄剤を開発しています。お客様のご要望に合わせ、最適な製品をご提案いたします。お気軽にお問合せください。
よくある質問
Q:マイクロクリンECO(洗浄剤)/ マークレスECO(リンス剤)は、他社製の装置にも適用可能ですか?
装置仕様の確認が必要です。まずはご相談ください。
化研テック株式会社について
洗浄・接着・剥離の技術で お客様の“困った”を解決します。
当社はユニークな商品開発でものづくりを支える化学メーカーです。
主にエレクトロニクス分野、自動車/塗装分野、印刷分野で事業を展開しており、各分野でお客様の困りごとを解決する機能性化学品を提供しています。
特にエレクトロニクス分野におけるフラックス洗浄事業では、洗浄剤と装置のトータルシステムで対応している唯一のメーカーとして、国内トップのシェアを有しています。
社名 | |
---|---|
所在地 | 〒576-0036 大阪府交野市森北1-23-2 |
設立年月日 | 1966年7月 |
化研テック株式会社
洗浄・接着・剥離の技術で お客様の“困った”を解決します。
当社はユニークな商品開発でものづくりを支える化学メーカーです。
主にエレクトロニクス分野、自動車/塗装分野、印刷分野で事業を展開しており、各分野でお客様の困りごとを解決する機能性化学品を提供しています。
特にエレクトロニクス分野におけるフラックス洗浄事業では、洗浄剤と装置のトータルシステムで対応している唯一のメーカーとして、国内トップのシェアを有しています。
出展団体名 | 化研テック株式会社 |
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所在地 | 〒576-0036大阪府交野市森北1-23-2 |
設立年月 | 1966年07月 |
従業員規模 | 51名-100名 |
URL | https://www.kaken-tech.co.jp/ |