電子回路の心臓部とも言えるコンデンサは電子機器に不可欠なものです。この記事では、コンデンサの種類とその特徴、見分け方、そして選び方に焦点を当てて解説します。
コンデンサとは、電気を一時的に蓄える電子部品のことです。コンデンサは電気を溜めたり、溜めた電気を後で放出したりすることができます。
コンデンサは以下のような役割を果たします。
コンデンサは、主に電極と呼ばれる2枚の金属板と、その間にある絶縁体(誘電体)から成り立っています。
電極に電圧をかけると、一方の電極にはプラスの電荷が、もう一方にはマイナスの電荷が蓄積されます。この電荷の量が、コンデンサの「容量」を決めます。
コンデンサは、その構造や使われている材料によってさまざまな種類があります。例えば、セラミックコンデンサ、電解コンデンサ、フィルムコンデンサなどがあり、それぞれに特徴と用途があります。
コンデンサの種類については後ほどご紹介します。
コンデンサは主に「有極性」と「無極性」「固定」「可変」の4つに分類されます。
「+(プラス)」と「-(マイナス)」の極が決まっているコンデンサです。
有極性コンデンサの種類で一般的なタイプは電解コンデンサで、大きな電流を扱うときや電源回路などでよく使われます。
有極性コンデンサはプラスマイナスを逆に接続すると壊れることがあるため、接続するときには極性に注意が必要です。
有極性コンデンサの主な種類:電解コンデンサ、スーパーキャパシタ
プラス・マイナスの極性が決まっていないため、どちら向きでも接続できるコンデンサです。「セラミックコンデンサ」や「フィルムコンデンサ」がこのタイプに含まれます。
信号処理や高周波回路など、より精密な用途で使われることが多いタイプのコンデンサです。
無極性コンデンサの主な種類:セラミックコンデンサ・フィルムコンデンサ・その他のコンデンサ
これは容量が固定されているコンデンサのことを言い、一度製造されると、その容量は変わらないのが特徴です。
一般的な電子機器や回路でよく使われており、電解コンデンサ、セラミックコンデンサ、フィルムコンデンサなどがこのカテゴリーに含まれます。用途に合わせて適切な容量のものを選べます。
固定コンデンサは、有極性コンデンサと無極性コンデンサに分かれます。
可変コンデンサは、使用中に容量を調整できるように設計されています。特定のツマミやネジを回すことで、コンデンサの容量を増減させることができます。
可変コンデンサは、ラジオのチューニングなど、特定の周波数に合わせる必要がある場合によく使われます。
ここからは、コンデンサの種類をさらに細かく分類してご紹介します。
有極性のコンデンサで、一方の端子がプラス、もう一方がマイナスになるコンデンサです。誘電体にはアルミニウム・タンタルを原料とする酸化被膜を使用しています。
電解コンデンサは大きな容量を持つことができるため、電力をたくさん貯める必要があるときに使われ、電源回路などでよく見かけます。
電圧の安定化や、電源からのノイズ除去に効果を発揮します。オーディオ機器にも使われます。
電解コンデンサの電解質は液状のもの・固体のものがあります。
容量が大きいため、コンデンサのサイズも大きめになる傾向です。プラスとマイナスを間違えて接続すると、機能不全や破損に繋がる恐れがあるため注意しましょう。
また、時間の経過によって性能が低下することもあります。
接続の向きを気にする必要がない、無極性コンデンサです。
薄いプラスチックフィルムを使っていて、このフィルムが電気を蓄える部分(誘電体)となります。
フィルムコンデンサの用途は幅広く、オーディオ機器や電源回路、電気自動車などに使用されています。また、ノイズの減少や細かな信号処理にも向いています。
ポリエステル(マイラー)、ポリプロピレン、ポリエチレン・ナフタレートなど、使用されるフィルムの種類によって、異なるタイプのフィルムコンデンサがあります。
無極性で、サイズが非常に小さいのが特徴で、限られたスペースに収める必要がある電子回路に適しています。
セラミックコンデンサは、非常に小さな容量(ピコファラッドレベル)から比較的大きな容量(マイクロファラッドレベル)までさまざまな容量があります。
セラミック素材は温度や他の環境要因の影響を受けにくく、安定した性能を提供するのも特徴です。
別名を超電解コンデンサとも呼ばれるスーパーキャパシタは、非常に大きな電気容量を持つコンデンサです。ウルトラキャパシタと呼ばれる場合もあります。
通常のコンデンサよりもはるかに大きな電荷を蓄えることができるため、大量のエネルギーを一時的に保存し、必要な時に迅速に放出することが可能です。
電気自動車のエネルギー回収、電源のバックアップ、高電力供給を瞬間的に必要な場合など、さまざまな用途で利用されています。
コンデンサの「容量」とは、コンデンサが蓄えることができる電荷の量、つまりコンデンサの電気を貯める能力のことを言います。
コンデンサの容量が大きいほど、より多くの電荷を蓄えることができ、その結果、より多くの電気エネルギーを貯められます。
例えば大きな電源回路には容量の大きなコンデンサが使われ、逆に容量が小さいコンデンサは、小さな信号の処理に使用されます。
コンデンサの記号について見ていきましょう。
コンデンサの記号であるファラッドとボルトは、容量と安全に使用できる電圧の限界をそれぞれ表しています。
これらの記号を理解することは、コンデンサを安全に使用するために大切です。コンデンサの記号は、国際単位系(SI)に準じた単位が使われます。
ボルトは、コンデンサにかけたときに安全な最大の電圧を表します、これを「定格電圧」とも言います。
例えば、コンデンサに「25V」と記載されている場合、そのコンデンサは最大25ボルトまでの電圧で安全に使用できることを意味します。
定格電圧を超える電圧をコンデンサにかけると、コンデンサが破損する恐れがあるため注意が必要です。
ファラッドは、コンデンサの容量を表す単位です。
容量とは、コンデンサが電気をどれだけ蓄えられるかを示すため、ファラッド数が大きいほど、より多くの電気を蓄えることができます。
ただし、実際の電子回路で使われるコンデンサは、通常1ファラッドでは容量が大きいことから、マイクロファラッド(μF)やピコファラッド(pF)など、非常に小さな単位の容量が用いられます。
最後に、コンデンサの表記方法についてご紹介します。
コンデンサに安全にかけることができる最大の電圧を指します。
この数値はボルト(V)で表され、例えば「16V」と書かれている場合、そのコンデンサは最大16ボルトの電圧まで安全に使用できることを意味します。
電圧がこの値を超えると、コンデンサが損傷する恐れがあります。
コンデンサが蓄えることができる電気量を表します。
この値はファラッド(F)で測定されますが、多くの場合、マイクロファラッド(μF)、ナノファラッド(nF)、ピコファラッド(pF)など小さな単位が使用されます。
例えば「100μF」という表記は、コンデンサの容量が100マイクロファラッドであることを示しています。
コンデンサの静電容量が指定された値からどの程度変動する可能性があるかを示します。
誤差は通常、パーセンテージ(%)で表され、たとえば「±5%」と書かれている場合、実際の容量は指定された値の±5%の範囲内で変動することを意味します。
電子回路に欠かせない部品のひとつ、コンデンサ。コンデンサを選ぶ際には、目的に合ったものを選ぶことで、適切に使用できます。使用の際は電圧や容量に注意をしましょう。
今回解説したコンデンサの種類や使い方などを、コンデンサ選びの参考にしてください。