現在需要が高まっているフィルムコンデンサですが、名前は知っていても特性や用途までは理解していない、という方もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、フォルムコンデンサの特徴や種類、役割について詳しく解説します。
現在、ノイズ対策などに使われているフィルムコンデンサですが、その特徴を詳しく知っている人は少ないのではないでしょうか。ここでは、フィルムコンデンサの構造や特徴について解説します。
フィルムコンデンサとは、コンデンサの中でも高分子のプラスチックフィルムを誘導体に使用したものを指します。
フィルムコンデンサは非常に性能が良いため、高耐久性・高品質が要求される製品に活用されています。ただし、プラスチックのコストが高いため、用途が限定されていることが課題です。
フィルムコンデンサは、そのほかのコンデンサにはない特徴を有しています。詳しく解説しましょう。
フィルムコンデンサは金属蒸着フィルムを誘導体としているため、過電流の際などにオープン故障します。この機能が「セルフヒーリング」です。
セルフヒーリングとは過電圧が加わったり、電気的に弱点があったりすることが原因で絶縁破壊を起こしても周囲の蒸着膜が酸化するため、すぐに絶縁状態から回復する機能です。
また、フィルムコンデンサに使用されているプラスチックは絶縁性能が高いため、外部環境や引火電圧の影響を受けることがありません。そのため、安定して電荷を高めることが可能です。
さらに適切な電圧・温度条件で使用すれば電解質が劣化する心配がないため、長寿命が期待できるでしょう。これらの機能によって、フィルムコンデンサは信頼性を向上させているのです。
フィルムコンデンサは、交流電流やリップル電流が損失すると、自己発熱するという特性を持っています。自己発熱が大きいと、故障する可能性があるため注意が必要です。
フィルムコンデンサの自己発熱は、一般的に5〜10℃以内とされています。
そのため、フィルムコンデンサを使用する際は、環境温度と電流条件を事前にしっかり確認し、周囲温度+自己発熱温度がフィルムの耐熱温度を上回らないように設計しなければなりません。
フィルムコンデンサには以下のような電気的特性があります。
これらの特性を持ったフィルムコンデンサは、主に高電圧・中容量の領域で性能を発揮するでしょう。
フィルムコンデンサは内部電極を形成する方法の違いによって、大きく「箔電極型」と「蒸着電極型(金属化フィルム型)」に分けられます。それぞれ詳しく解説しましょう。
電極にアルミニウムなどの金属箔を使って、プラスチックとともに何重にも巻かれて作られたコンデンサです。その中でもさらに端子の付け方によって「誘導型」と「無誘導型」に分けられます。
誘導型は金属箔の両端にリード端子を取り付けたものであるのに対し、無誘導型はあえてフィルムと金属箔をずらして、渦巻き部分の両端から外れた金属箔に端子を取り付けたものを指します。
無誘導型は金属箔の数ヶ所に端子が接続された状態です。そのため積層コンテナと似たような構造になり、抵抗値が下がります。その結果、コンデンサとしての性能が向上するのです。
蒸着電極型(金属化フィルム型)はプラスチックフィルムの表面部分に金属を薄く蒸着させることで電極として使用するコンデンサのことです。
蒸着電極型(金属化フィルム型)は電極の厚みが箔電極型よりも薄いため、小型化しやすい特徴を持っています。ただし直接端子を取り付けられないため、電極の接続方法は無誘導型に限定されています。
ただし工法はフィルムを何重にも巻き回す「巻回型」だけでなく、短いフィルムを何層にも積層して作成する「積層型」もあるのが特徴です。
フィルムコンデンサは、家電製品をはじめ、ハイブリッド車や電気自動車、蓄電システムなど幅広い分野で活用されています。
小惑星探査機「はやぶさ」にもフィルムコンデンサが搭載されていたことが話題となりました。
例えば電気機器用フィルムコンデンサでは、コンプレッサやACモーターなどの力率改善を目的に使用されます。
自動車用フィルムコンデンサでは、電気ノイズの除去やコンバータのフィルタ用、インバータの平滑用にフィルムコンデンサが活用されています。
フィルムコンデンサの特徴や種類、役割について解説しました。フィルムコンデンサはその性能の高さから、さまざまな分野で幅広く使用されています。
しかし、ほかのコンデンサに比べると価格が高いため、限られた用途でしか使用されていないのが現状です。
高性能・耐久性が求められる製品に活躍するフィルムコンデンサの性能を最大限に活用するためにも、その特性を事前にしっかり理解しておきましょう。