2色成形は、異なる材料を1つの工程で一体化させる射出成形技術です。1回の成形サイクルで2種類の材料を組み合わせることで、製品の機能性、耐久性、デザイン性を大幅に向上させると同時に、製造コストの削減を実現します。
本記事では、2色成形の基本概要、メリット、材料の組み合わせ、そして具体的な活用例について詳しく解説します。
2色成形とは、2種類の材料で1つの成形品を作る射出成形技術です。製品の機能性、耐久性、防滴・防塵性能の向上、触感改善、グリップ力の強化など、様々な付加価値を実現することができます。
2色成形において材料の選定は非常に重要で、使用する材料同士の相性が適切でないと、融着不足による剥離などの不具合が発生する可能性があります。
2色成形は、1回の成形サイクルで2種類の樹脂を一体成形できるため、部品点数が減少し、根本的なコストダウンにつながります。複数部品の人手による組立工程が不要になるため、大幅な工数削減とコストダウンを実現可能です。
従来の別々の成形と組立工程が1回の成形で完了するため、製造リードタイムが大幅に短縮され、結果として全体的な製造コストの削減が可能となります。
異なる材料を組み合わせることで、シーリング、衝撃吸収、防水性など、多様な機能を1つの製品に付与できるようになり、製品の機能性が大幅に向上します。
2色成形技術を用いることで、異なる色や材質を組み合わせることが可能になります。その結果、文字やロゴの表現が容易になり、製品の視認性やデザイン性が向上します。加えて、単色成形では難しかった複雑な製品形状も、2色成形では実現可能です。
製品開発者にとって、より自由度の高い製品設計が可能となり、独創的で魅力的な製品を生み出す機会が広がります。
2色成形では、材料の相性と密着性が重要なポイントとなります。適切な組み合わせを選択することで、デザイン性の向上、機能性の付与、コスト削減などのメリットを得ることができます。
2色成形における材料の組み合わせには、主に以下のパターンがあります。
同材質の組み合わせは、最も融着性が高く、色違いの組み合わせで意匠性や視覚性を高める用途に使用されます。アミューズメント部品などがその代表例です。
一方、異材質の組み合わせでは、融着性は材質の極性や融点などの性質によって変化します。そのため、事前のトライやテストによる確認が非常に重要となります。
異材質の組み合わせは、シール性やグリップ性などの機能性を付与できる利点があります。
硬質×硬質の組み合わせは、金型設計が比較的容易である一方で、材料の収縮率の違いに細心の注意を払う必要があります。
硬質×軟質の組み合わせは、PPとスチレン系TPEの組み合わせが代表的です。金型設計において軟質材料がバリになる可能性があるため、特別な配慮が求められます。
軟質×軟質の組み合わせは比較的珍しく、1色目の材料の硬度が低いため成形難易度が高くなる傾向があります。各組み合わせにはそれぞれ特有の課題があり、適切な材料選択と成形条件の最適化が製品の品質と性能を左右します。
家電製品 | ・携帯電話のコネクタカバー ・キーボード ・通信デバイスケース ・時計ベルト ・カメラグリップ ・電動工具のグリップ部分 これらの製品では、防滴・防塵性能の向上、触感改善、グリップ力の強化などの機能性向上に2色成形が活用されています。 |
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日用品 | ・歯ブラシのグリップ部分 ・ペンのグリップ ・キッチン用品のハンドル部分 これらの製品では、エラストマーとハード樹脂の組み合わせにより、グリップ力や触感の改善が図られています。 |
自動車部品 | ・ダッシュボードの各種スイッチ ・ドアハンドル ・シートベルトのボタン部分 |
住宅関連製品 | ・窓枠のシール部分 ・配管部品 ・建具の取っ手 |
アミューズメント製品 | ・ゲーム機のコントローラー ・おもちゃの外装部品 |
アイリス株式会社は、2色成形技術に特化した射出成形メーカーです。アイリスの2色成形技術は、高い技術力と豊富な経験に基づいており、多様な産業分野のニーズに応える製品開発を可能にしています。
アイリス2色成形の特徴 |
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小ロットから大ロットまで幅広い量産に対応可能 |
多業種・多分野で長期にわたり培った経験と実績を持つ |
2色化への豊富な提案力とお客様に寄り添ったデータアレンジを提供 |
「加飾レス成形」(特許第6683859号)という独自技術を開発 |
塗装等の後加飾を用いずに美しいデザイン性を実現可能 |