電子部品等のパッケージ内部の水分・ガス吸着により、製品の長期安定化を実現
電子部品等のパッケージ内部の水分・ガス吸着を行う、ゲッター材をご紹介します。
SAESでは、大きく分けて下記の2種類のゲッターをご用意。
■乾燥空気・窒素・希ガス置換パッケージ向けゲッター
■真空封止パッケージ向けゲッター
形状・用途に合わせ最適なゲッター材を提案し、お客様の製品の長期安定化に貢献します。
このような方におすすめ
【電子デバイスの開発者の方】
・高い耐環境性能を持つ、高信頼性のデバイスを開発したい
・開発品の高温/高湿への耐性を強化したい
・塗工性に優れた水分・ガス吸着剤を探している
・真空パッケージにおいて、封止後のパッケージ内部の真空度を改善し、長期間維持したい。
【電子デバイスパッケージ内部の水分やガスに起因する問題を抱えている方】
・水分やガスによる、デバイスの性能劣化や寿命低下などの問題を抱えている
・パッケージ内部の水分・ガス吸着のソリューションを探している
・真空パッケージにおいて、封止後のパッケージ内部の真空度のばらつきの問題を抱えている。
近年、センシング(MEMSジャイロ、CMOS、IRセンサ)、光通信(光トランシーバ、変調器)、医療(ペースメーカー、その他インプランタブル機器)など、様々なアプリケーションにおける電子機器の用途の広がりに伴い、デバイスの小型化や耐環境性能、高信頼性の要求が高まっています。
こうした要求に応えるべく、従来の真空パッケージだけではなく、内部を窒素やアルゴンなどのガスや乾燥空気で置換するパッケージに対しても、内部のガスマネージメントの重要性が増しています。
デバイスやセンサー等の性能や信頼性は、封止後のパッケージ内部に残存する、もしくは外部から侵入する微量な水分やガスの存在によって大きく左右されます。
高度なセンシング技術や高信頼性が要求される中、パッケージ内部の不純ガスを最小限に抑えることで、デバイスの性能維持や劣化の防止が可能になります。
ゲッター材とは、封止後のパッケージ内部に残留する、もしくは外部から新たに侵入する水分やその他ガスを吸着するものです。
ゲッター材により封止空間のガスマネージメントを行うことで、デバイスの長期安定性を確保します。
SAESでは、様々なゲッター材をご用意しており、形状・用途・製造プロセスに合わせた製品のご提案が可能です。
このページでは、乾燥空気・窒素・希ガス置換パッケージ向けゲッター材の3タイプ、及び真空封止パッケージ向けゲッター材の2タイプをご紹介します。
従来の真空封止のセンサーパッケージだけではなく、内部を乾燥空気・窒素・希ガス等で置換したパッケージにおいても、水分や特定のガス(水素や揮発性有機化合物)を取り除く重要性が高まっています。
SAESの塗布型水分・ガス吸着剤は、目的の箇所に必要量を塗布・硬化して使用することができるポリマーベースの吸着剤・バリア剤で、形状・用途・製造プロセスに合わせた製品のご提案が可能です。
塗布型ゲッター材として、「塗布型水分吸着剤 eDryシリーズ」と、「塗布型水分・ガス吸着剤 リバーシブルタイプ ZeDryシリーズ」がございます。
高い大気暴露耐性を大きな特徴とする、大容量の吸湿性能をもつ塗布型水分ゲッターです。熱硬化型、溶剤レスの基材を使用しており、硬化時に溶剤は発生しません。
パッケージ封止後の封止部界面などから透過しパッケージ内部に侵入してくる水分や、パッケージ内部に残留もしくは物理的に吸着している水分も効果的に吸着し、パッケージ内部を長期間に渡りドライに保つことが出来ます。
吸着容量と粘性が異なる以下3つをラインナップしております。
特徴 | 低粘度で塗布性に優れた製品 |
---|---|
平均吸着容量 | 16wt% |
粘度 at 45s-1, 25℃ | 47,000cp(≒歯磨き粉) |
用途 | 医療用機器において採用実績あり(米国) |
特徴 | 水分ゲッター粒子の最適化により、塗布性と大容量を両立させた最新モデル |
---|---|
平均吸着容量 | 17wt% |
粘度 at 45s-1, 25℃ | 90,000cp (≒水飴) |
用途 | 自動車用途向けアプリケーションにて評価中 |
特徴 | 水分吸着容量が非常に大きい高粘度品 |
---|---|
平均吸着容量 | 19wt% |
粘度 at 45s-1, 25℃ | 200,000cp |
用途 | 自動車用途向けアプリケーションにて評価中。撮像素子パッケージにて国内採用実績あり |
光デバイス等のハーメチック/セミハーメチックパッケージ向けに開発された、水分及びガス(水素やVOCガス(揮発性有機化合物))を吸着可能な大容量のゲッター材です。
水分及びガスを選択的に吸着することで、デバイスの長期信頼性を保ちます。
また、一度水分やガスを吸着し飽和した後も、加熱により水分やガスを放出し吸着容量を回復できるという特徴を持っています。その特徴を活かし、パッケージリッド等に塗布硬化した状態で長期間保管し、使用開始直前に加熱し容量を回復した状態で封止するという使い方も可能です。
吸着対象ガスごとに、以下3つをラインナップしております。
ペースト状ZeDry | ペーストをシリンジに充填し提供。お客様にてペーストの塗布及び熱硬化プロセスが必要です。 ![]() |
---|---|
ZeDryリッド | パッケージリッドへの塗布及び熱硬化までをSAESグループにて行います。 ![]() |
5Gアプリケーション用のオプトエレクトロニクスデバイス向けに採用。
光モジュール内のGaAsおよびInPベースのデバイスは、パッケージ内部の金属やメッキ等から発生する水素や水分に弱い為、それらを除去しデバイスの長期信頼性を保つためにZeDry/H2が使用されています。
MUX-DEMUX(マルチプレクサ・デマルチプレクサ)を備えた長距離および中距離インフラストラクチャ用の光トランシーバ/光エンジン向けに採用。
これらのパッケージ内部で分解された有機化合物から発生するVOCガスは、黒色堆積物や、それらがレーザーにより焼結した黒化を引き起こすが可能性がある為、それらを除去する用途でZeDry/VOC使用されています。
熱硬化またはUV硬化型の接着剤で、パッケージエッジ部に使用することでデバイスへの水分侵入を防ぎ、デバイスの長期信頼性を保ちます。
一般的な高分子型エッジシーラント剤の場合、水分がエッジシーラントを透過してパッケージ内部に侵入し始めるまでにかかる時間(Breakthrough Time)は極めて短く、封止直後から水分が徐々に透過し始めます。
SAESの水分バリア型エッジシーラントの場合、水分がパッケージ内部に侵入し始めるまでの時間を可能な限り長くすることで、パッケージ内部への水分浸入を長期に渡って防止。
線幅4mmでエッジ部分に塗布した場合のBreakthrough Timeは1500時間以上(60℃/90%RHでのDHテスト時)となり、水分に敏感なデバイスの信頼性向上に寄与します。
塗布・硬化条件や用途によって、特徴の異なる以下3つをラインナップしております。
特徴 | 大気中での塗布・硬化可能 |
---|---|
塗布・硬化 | 大気中での塗布・硬化が可能。塗布後は一時間以内の硬化を推奨 |
特徴 | ナノサイズのゲッター粒子により極小ギャップ(数10μm単位)のパッケージに対応可能。 ※その他のシーラント剤は数100μm単位のギャップが必要 |
---|---|
塗布・硬化 | 乾燥環境(<10ppmH2O)での塗布・硬化が必須 |
特徴 | 塗布・硬化後も優れた柔軟性を持つフレキシブルエッジシーラント材。 通常品と大幅なバリア機能を向上したHC品の2タイプあり。 |
---|---|
塗布・硬化 | ドライ環境での塗布・硬化を推奨。最大1時間以内であれば大気中での硬化可能 |
水分ゲッターの効果によりデバイス内への水分侵入を長期間にわたり実質的にゼロとすることが可能です。
この特性を生かし、水分によるダメージを受けやすいペロブスカイト系や有機系太陽電池セル向けのハイバリアエッジシーラントとして、「eGloo (MicroSeal), FlexGloo」がお役に立てる可能性がございます。
パッケージ内部を充填して水分吸着を行うフィラー剤「AqvaDryシリーズ」もご用意しています。
無色透明の水分吸着機能を持ったフィラー剤
OLED等向けのOCA(Optical Clear Adhesive)やTFE(Thin Film Encapsulation)用のフィラー剤
赤外線センサー、ジャイロセンサー、圧力センサー、MEMS発振器などの真空封止パッケージでは、内部の要求真空度を封止直後だけではなく使用期間中の長期に渡り維持することが求められます。
SAESの焼結・成膜型合金ゲッターを用いることで、パッケージ内部に残留するガスを吸着し、真空封止プロセスの短縮化・封止直後の真空度の改善が可能です。またセンサー使用期間中も、ベーキング・デガスプロセスで取り除ききれなかった残留ガスを吸着し続けることで、長期に渡り内部の真空度を維持し、センシング性能の長期安定性を確保します。
焼結・成膜型合金ゲッターはジルコニウムやバナジウムベースの合金を基板上に焼結、またはリッドやウエハ上に成膜したものであり、水素、酸素、窒素、一酸化炭素、二酸化炭素、水などの様々なガスを吸着可能です。
※希ガスは吸着しません。
※炭化水素の吸着にはゲッター材を400℃以上に保つことが必要であり、一般的に吸着しにくいです。
焼結・成膜型合金ゲッターは製造プロセスにて酸化膜に覆われており、そのままではガス吸着性能を持ちません(大気ハンドリングが可能)。
真空封止プロセスの過程、もしくは封止後のパッケージ内部で数百度に加熱することで、ガス吸着性能を持ちます。その後、常温に戻っても、パッケージ内部の活性ガスを吸着し続けます。
ニクロム基板等にスクリーン印刷したゲッター材を焼結した、多孔質のシート型ゲッター材です。MEMS等のスペースが限られた小型電子機器の真空パッケージでの使用に適しております。
リードピン等に溶接し、真空封止後のパッケージ内部にて、電流加熱にて活性化し使用します。
セラミックパッケージ等の接合には、共晶接合(AuSn)やシーム溶接を用いるのが一般的で、ウエハレベルパッケージの接合の場合も陽極接合や共晶接合が用いられる場合があります。
通常、封止後のパッケージ内部の真空度は、封止装置のチャンバー内部圧力より大幅に悪化します。
ゲッターを使用することで、封止直後のパッケージ内部圧力の悪化を最小限に抑え、長期安定化させることが可能です。
PAGEゲッターシリーズは、リッドやウエハ、金属箔上にゲッターを成膜した製品で、スペースが非常に限られたパッケージでの使用に適しています。また300℃/15分という比較的低温・短時間の条件で活性化できることも大きな特徴です。
封止方法に合わせて以下3つをラインナップしております。
特徴 | コバール(金メッキ有無)、金属、セラミック、ガラス、反射防止ガラス、ゲルマニウム、シリコンなどのリッドに対し、パターニングしたゲッターを成膜したもの。 リッドに直接成膜する為、ゲッター材料の切断、装着、スポット溶接などの作業が不要。 |
特徴 | シリコンやガラスウエハに対し、パターニングしたゲッターを成膜したもの。 8inchサイズのウエハまで成膜可能。 |
特徴 | コバール、ニクロム、SUSなどの基板にパターニングしたゲッターを成膜したもの。形状や固定方法の自由度が高い、薄型でフレキシブルなシート構造。 A4サイズシート単位でのご提供、個片化して使用。 電流加熱による活性化も可能。 |
SAESは創業から80年以上に渡り、ゲッターを用いた先進のガス吸着技術によりディスプレイや照明分野、加速器等の超高真空機器分野を支えてきました。
また、2004年からはNitinol(Ni-Ti合金)ベースの形状記憶合金事業にも進出し、自動車、白物家電分野において新しいソリューションを提供し続けています。
近年はポリマーをベースとした水分・ガス吸着剤の開発・販売、さらに、その知見を応用したアクティブ包装フィルム事業にも進出しています。
本社所在地 | イタリア ミラノ(ライナテ) |
---|---|
工場 | 欧州(伊・独)、米国に計10ヶ所 |
支社・支店 | 欧州、東アジア、米国に現地法人や支店あり |
団体名 | |
---|---|
所在地 | 〒153-0064 東京都 目黒区下目黒2丁目 17-18 TERRA PORT MEGURO 2 階 (日本支社) |
設立年月 | 1940年12月 |