スプレードライとは? 特徴・工程プロセス・応用例を解説
本記事では、スプレードライの特徴やメリット、工程プロセス、さらに具体的な応用例について解説します。
スプレードライとは?
スプレードライ(噴霧乾燥)は、液体原料を熱風中に噴霧して瞬時に水分を蒸発させ、乾燥粉末を得る技術です。急速に乾燥させることで、均一で流動性の高い粉体を連続的に製造することが可能です。
この技術は、1920年代に乳製品や洗剤に適⽤され、その後は化学や製薬、バイオテクノロジー、食品産業など、多くの分野に応用されています。
スプレードライの用途
スプレードライは単に液体を乾燥させるだけでなく、微細な粒子を生成したり、複数の材料を複合化したりと、幅広い目的で利用されています。
| 乾燥 | 液体を乾燥させて固形粒子を作る |
|---|---|
| 微粒化 | 直径数マイクロメーターの微粒子を作る |
| カプセル化 | 目的の機能を持った材料と別の材料をあらかじめ適切に混合した液体を乾燥させ、固形粒子を作る |
| 非晶質化 | 薬剤とポリマーの溶解液から非晶質製剤などを作る |
| 造粒・混合 | 複数の材料を組み合わせた複合化された固形粒子を作る |
スプレードライの特徴・メリット

スプレードライ技術には、以下のような主要なメリットがあります。
工程の短縮
スプレードライは、液状原料(スラリー)から直接乾燥粉末を得られます。従来の製造工程で必要とされるろ過工程、脱水工程、乾燥工程、粉砕工程、分級工程などの複数の工程を省略できるため、製造時間の大幅な短縮と設備の簡素化が実現します。工程の簡素化により、製造プロセスの管理も容易になります。
粉体の機能性の向上
スプレードライによって生成される粒子は、液滴が表面張力により球形化した状態で乾燥するため、球状粒子となります。球状粒子は角のある不定形粒子と比較して、粒子間の摩擦が少なく優れた流動性を示します。また、噴霧条件を調整することで粒子径を制御でき、微細な粒子を得ることで水への再分散性や溶解性を向上させることができます。
熱に敏感な物質の処理
スプレードライでは、微細な液滴が高温の熱風中で瞬間的(数秒以内)に乾燥するため、物質が高温にさらされる時間が極めて短くなります。そのため、食品の香り成分や味、また酵素やタンパク質、抗生物質などの熱に弱い成分の変性や失活を最小限に抑えることが可能です。この特性は、機能性食品や医薬品の製造において特に重要な利点となります。
処理能力の高さ
スプレードライは連続運転が可能で、大量の液体原料を短時間で乾燥粉末化できます。噴霧された微細な液滴は表面積が大きく、熱風との接触効率が高いため、従来の棚段式乾燥機やドラム乾燥機と比較して、乾燥速度が著しく速くなります。
長期保存と輸送コスト削減
液体製品を粉末化することで、水分活性が低下し、微生物の増殖や化学反応が抑制されるため、製品の保存安定性が大幅に向上します。また、乾燥により製品の体積と重量が減少するため、保管スペースの効率化や輸送コストの削減が可能です。さらに、常温での保管や輸送が可能となり、冷蔵・冷凍設備が不要となる場合もあります。
スプレードライのプロセス

スプレードライ加工は、以下の3つの主要工程で行われます。
液体を噴霧
原料液体は供給ポンプによって加圧され、アトマイザー(噴霧装置)から乾燥チャンバー内に微細な液滴として噴霧されます。
熱風で瞬時に乾燥
噴霧された液滴は、乾燥チャンバー内で熱風と接触し、瞬間的(数秒以内)に乾燥されます。液滴の表面から水分が蒸発し、球状の乾燥粒子が形成されます。急速な乾燥により、熱による品質劣化を最小限に抑えることができます。
微粉の回収
乾燥した粉末は、サイクロンやバグフィルターなどの集塵装置により回収されます。回収された粉末は、必要に応じて分級工程を経て、粒度分布が調整されます。
スプレードライの応用例
スプレードライ技術は、多様な産業分野で幅広く応用されています。具体的な応用例は以下の通りです。
| 食品・飲料産業 |
粉ミルクの製造 インスタントコーヒーの生産 フルーツジュース(マンゴージュースなど)の粉末化 ビールパウダー(濃縮香料として)の製造 バターフレーバーの加工スターチへのマイクロカプセル化 |
|---|---|
| 栄養・健康食品 |
ビタミンEおよびAのゼラチンへのエングローブ 乳酸菌の乾燥パラカゼイン製造 発酵米バクテリアのマイクロカプセル化 |
| 製薬・医療分野 |
肺疾患治療用パウダーの製造 ワクチンのスプレードライ(熱に弱い製品に適用) ジアゼパムの放出制御のための脂溶性モデル薬剤製造 スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)の抗酸化酵素療法への応用 エタニダゾールの放射線治療、がん治療への利用 |
| 化学・工業分野 |
コーンスターチの製造 レモンオイルのマルトデキストリンおよびアラビアゴムへのエングローブ |
| 水産業 | 乾燥オキアミの製造 |
スプレードライヤーの種類
スプレードライヤーには、基礎研究に用いられるラボスケールの機種から、予備生産向けの中型の機種、さらに量産用の大型の機種まで様々な種類があります。
食品・飲料産業などの大規模な製造プロセスでは、大型のスプレードライヤーが使用される一方、基礎研究用のモデルは小型で扱いやすく、高度な制御が可能な設計になっています。作成する粒子の量や求められる条件に応じて、最適なスプレードライヤーを選びましょう。
ラボ用 スプレードライヤーのご紹介
ここでは、研究開発に最適なラボ用の高機能スプレードライヤー「S-300」をご紹介します。

ミニスプレードライヤー S-300シリーズは、ビュッヒ社が開発した次世代のラボスケールのスプレードライヤーです。化学分野や先端材料の研究開発、特に電極用材料の研究開発で活用されており、ラボスケールのカテゴリーでは唯一無二のスプレードライシステムとして位置づけられています。
▶︎▶︎ミニスプレードライヤー S-300について詳しく見る

多様なニーズに対応可能なラインナップ
ビュッヒのミニスプレードライヤーS-300は、ベーシック、アドバンス、耐腐食の3種類をラインナップしています。有機溶媒や腐食性の強い材料にも対応可能です。

研究開発に特化した設計
S-300は研究開発用途に特化し、細部にまでこだわって設計されています。噴射ノズルの目詰まりを防ぐ工夫や、運転状況を確認しやすいガラス製サイクロン、洗浄作業を効率化する設計などにより、研究開発の効率向上に貢献します。

高度なデータ管理機能
高度なデータ管理機能を搭載しており、運転記録におけるリアルタイムデータの取得および分析が可能です。

自動運転が可能
S-300アドバンスおよび耐腐食仕様の製品は、自動モード機能を追加可能です。設定した条件での自動運転が可能で、オペレーターの負担を軽減し、高い再現性を実現します。

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