キュプラ長繊維不織布「ベンリーゼ®」の3つの特長
1. 原料は、コットンリンター100%
ベンリーゼ®の原料は、綿実油を作る時の副産物であるコットンリンター*です。自然の働きによって生分解し、土壌に害を及ぼすことなく土に還り堆肥化します。
*綿の種の周りの産毛
2. 繊維同士の自己接着力を利用したノーバインダー製法
コットンリンターを精製した後、一度液状に溶かしてから紡糸して再繊維化したものを、接着剤などを一切使用せずに繊維の自己接着力を利用してシート状に成形しています。
これを「ノーバインダー製法」といいます。
3. 独自の製法による連続長繊維不織布
液状の原料を無数ノズルから連続的に押し出し、繊維同士を均一に分散させることで、端から端まで切れ目のない長繊維となります。さらにネット上で積層させた繊維を自己接着させることで、不純物を含まず、継ぎ目のない「連続長繊維不織布」となります。
この1~3の特長により9つの性能を生み出しています。
ベンリーゼ®の9つの性能
1)自然から生まれ自然に還る◎生分解性に優れている
ベンリーゼ®の素材と旭化成独自の製法により、土に埋めれば2~3週間でバクテリアによる分解が始まり、土に還ります。
このため、畑で種子の植え付けをする際に使用する農作業用の種子植生ネットとして使用すると、作物の間引きの手間を省いたり、植え付けた種が雨などで流れることを防いだりといった効果が得られます。
2)うるおいが続く◎抜群の吸液性・保液性
ベンリーゼ®の原料は、コットンリンター100%。
これを、接着剤や化学物質は使用せず、旭化成の独自の技術「ノーバインダー製法」で網目状に再繊維化しているので、繊維の密着度がさらに安定します。繊維は水分を含みやすいうえ、密着している繊維の中に抱えた水分を維持することができます。そのため高い吸水性・保水性が備わっています。
※SB283でのデータ
3)ぴたりと吸いつく◎高い密着性
ベンリーゼ®は水分を含むと、とてもやわらかくなり、接する面への密着感が高まります。フェイスマスクなどに使用した場合、顔の凹凸に沿って、肌に吸いつくような一体感が得られます。
4)ぬれるとクリアに◎高い透明性
ベンリーゼ®の素材であるキュプラの断面を見ると、真円状に近い形をしています。この丸い繊維は水分を含みやすい性質も併せ持ち、水にぬれた際には光の屈折がほぼ起こりません。そのため、水にぬらすと非常に透明性が高くなるという特長があります。
5)チリもほこりも出にくい◎低パーティクル・リントフリー
ベンリーゼ®は、ノーバインダーの連続長繊維不織布であるため、毛羽立ちが少なく、 細かい繊維のかけらやチリ、ほこり(パーティクル)の発生が非常に少なく抑えられています。この特長により、環境を汚さないのはもちろんのこと、製品への異物混入を防ぐため、精密機器を製造する際の工務用ワイパー等にも利用されています。
6)不純物ほぼなし◎ピュアリティが高い
ベンリーゼ®は、接着剤を全く使用していません。含有する不純物がほとんど無くピュアなため、掃除用ワイパーに使用する際、溶剤などの化学物質を併用しても溶けだす不純物がなく、問題なく使用できます。赤ちゃんの口の中をふく歯磨きシートなどにも選ばれています。
7)繊維の水分含有量が多い◎静電気が発生しにくい
繊維に含まれる水分が静電気を空気中に逃すので、繊維そのものへの帯電がしにくくなっています。
8)他の特長と合わせて多様な用途◎優れた耐熱性
セルロースは不溶性食物繊維とも呼ばれ、260℃までは溶けたり軟化したりしないという性質があります。こうした原料由来の性質を持つベンリーゼ®は、油こしやティーバッグなど、食品まわりの製品にも採用されています。
9)肌に優しい◎摩擦によるダメージが少ない
ベンリーゼ®の繊維構造の断面は、他の繊維より真円に近いので、肌あたりは実になめらかです。さらに長繊維のため、表面の毛羽立ちもほぼ発生せず、肌に触れた時の摩擦によるダメージが少ないことから、医療、介護用品や、赤ちゃんのケア用品などにも使用されています。
ベンリーゼ®の活用事例
工業用ワイパー | 電子部品などの製造工程で使用する工業用ワイパーは、細かい塵(リント)の発生を嫌うため、ウエスや紙ワイパーは使用出来ないという課題がありました。 ベンリーゼ®は連続長繊維不織布のためリントの発生が少なく、また高吸液性、不純物が少ない、焼却しても有害なガスを発生させにくい等の多くのメリットを活かし、他のワイパーと一線を画したクリーンルーム用ワイパーとして、日本のみならず世界で活躍する商品に成長しています。 |
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シーダーテープ | シーダーテープは、当初はテープ素材として、紙やレーヨン紙などを使用したものが多かったのですが、作物の種類によっては発芽の精度が悪いという課題がありました。 厚み、開口度が適度で使い勝手が良く、生分解性に優れているベンリーゼ®の特長がシーダーテープの素材として、とても有効でした。従来品に比べて、ベンリーゼ®のシーダーテープは発芽の精度を上げ、不良率を減少させることに貢献しています。 |
ティーバッグ | 一般的に使用されている紙製のティーバッグは紙独特の臭いがあることが課題でした。 ベンリーゼ®のピュアリティーの高さと優れた抽出性、耐熱性で、短時間で最大の風味を出すことができ、紅茶やお茶の香りの邪魔しないティーバッグとして好評を得ています。 |
内視鏡清拭用ワイパー | 内視鏡は粘膜に接触する精密機械で、内視鏡内部には空間があるため、毛羽立ちの多い素材で拭き取ると毛羽が蓄積してしまい、その毛羽が高額な機器の故障の原因となったり、毛羽の塊が細菌やウィルスの栄養源となり繁殖し、感染症を引き起こす原因になってしまうという課題がありました。 ベンリーゼ®は吸液性が高く、低パーティクル・リントフリーなため脱落繊維が少なく毛羽を残さずに拭き取ることが可能なため、内視鏡清拭用ワイパーの素材として最適でした。 |
製造方法とサステナビリティ
1)製造方法
ベンリーゼ®の製法(連続長繊維不織布スパンボンド製法)は旭化成だけのオンリーワン技術です。
1.原料となるコットンリンターは世界各地から良質なものを厳選して調達します。
2.コットンリンターを蒸煮、除塵により綺麗に洗浄することで不純物を除去し、精製リンターを作ります。
3.精製リンターを独自技術で溶かし、押し出して連続長繊維不織布を作り出します。
4.繊維は接着剤などの不純物は一切使わず、網目状で積層します。
5.繊維同士が自己接着しシート状となりウェブ形成からパターン形成、乾燥を経てロール状の不織布となります。
2)サステナビリティ
稼働には工場内の自社発電設備を使用しています。そのうち水力発電・バイオマス発電などの再生可能エネルギーの比率は4割を占めており、2030年には自家発電設備での石炭火力の使用ゼロを目指しています。また省エネルギー化のため、排熱の利用や熱ロスの削減を徹底し、CO2の排出削減を実現しています。
その他、生産過程で出た繊維くずを発電の燃料として再利用するなど、工場から出る廃棄物も無駄なくリサイクルすることで、現在ではほぼ100%のゼロ・エミッション化率(2016年度実績99.8%)を達成しています。
ベンリーゼ®は40年以上の歴史の中で、世の中のニーズに対応すべく、商品開発を重ねてきました。ベンリーゼ®は繊維が網目状に自己接着していますが、その網目パターンは複数種類があり、ご要望に応じて使い分けることができます。また設計により、ベンリーゼ®の密度と厚みをカスタマイズすることが可能です。現在はセルロースの特長を活かした機能化など、お客様のご要望に合わせた商品開発ができるよう、日々研究開発に励んでいます。
ベンリーゼ®の特長を活かし、これからもお客様とともにベンリーゼ®の可能性を広げていきたいと考えています。共に解決できそうな課題がございましたら、ぜひ一度お問い合わせください。よろしくお願いいたします。
よくある質問
Q. ベンリーゼ®の物性や安全性を教えてください。
代表品番のテクニカルデータシートや、安全データシートのご用意がございます。
お手数ですが、下記お問い合わせ先まで、ご連絡ください。
Q. サンプルの提供は可能でしょうか?
サンプルについてはお手数ですが、下記お問い合わせ先まで、ご連絡ください。