食品工場・化粧品工場などで使われるホモジナイザー。食品から化粧品、医学分野におけるさまざまな業種で多岐にわたる作業を行ってくれるため、生産効率と製品の品質を大幅に向上するのに役立つ機械です。
この記事では、ホモジナイザーについて、原理や種類、できることなどについてご紹介します。
ホモジナイザーとは、液体に含まれる粒子を均一にする機器です。
例えば、牛乳のように一部の液体には複数の物質が混ざっているので、放置すると液体の中で物質が沈殿・浮遊します。
そのような液体を処理して、品質を安定させるために使われるのがホモジナイザーです。
液体に含まれる大きさもまちまち、位置も偏った粒子をホモジナイザーを使って、全体の濃度を均一にすることで品質を安定させます。
ホモジナイザーは、すべての製品の製造プロセスにおいて、品質を安定させるために欠かせない機械のひとつだと言えます。
ホモジナイザーを使う目的は、粒子の微細化と均一化です。
ホモジナイザーには、複数の種類が存在しますが、基本的な原理は液体をかき混ぜながら粒子を砕いて、微細化された粒子をさらにかき混ぜることです。
前述したとおり、本来液体の中に含まれる粒子はサイズがまちまちです。
ホモジナイザーを使って大きさの異なる粒子のサイズに揃えて、液体同士が混ざりやすい状態を作り上げます。
さらに大きさを揃えた粒子に、機械の力を活かして水分と混ぜる役割も果たします。
ホモジナイザーはどの種類であっても、液体内の粒子を微細化、均一化させるという目的は変わりません。種類によって異なる点といえば、破砕方法です。
破砕方法がそのままホモジナイザーの種類として分類されます。
高圧式ホモジナイザーでは液体に高い圧力を低速でかけて、粒子を微細化・均一化させます。
高圧・低速で強く圧縮させたのち均質バルブにぶつけ、その後狭い隙間から一気に放出させてインパクトリングにぶつけていく仕組み。
高圧式ホモジナイザーでは、均質バルブとインパクトリングへの2段階の衝撃によって粒子を破砕させます。
超音波ホモジナイザーは、液体に超音波振動を与えることで微小な泡を活用して粒子を破砕させます。
大量に発生した泡は、超音波レベルの振動を与えると液体内ではじけて大きな衝撃を粒子に与えて破砕していきます。
超音波ホモジナイザーは、大量の液体を処理するのには向いていません。
撹拌式ホモジナイザーは、別名「ポリトロンホモジナイザー」とも呼ばれることもあるホモジナイザーです。固定外刃の穴から高圧噴射した液体を、高速回転する内刃で粒子を破砕させる仕組み。
破砕されて小さくなった粒子は、固定外刃と内刃に挟まれることで、さらに細かくすりつぶされて微細化・均一化させていきます。
ホモジナイザーは、幅広い分野で活用されていますが、それぞれどのような使われ方をされているのでしょうか?
ここでは、ホモジナイザーの各分野における活用方法をご紹介します。
食品分野におけるホモジナイザーは、品質向上になくてはならない存在です。
牛乳やマヨネーズ、ケチャップ、ドレッシング、チーズ、ヨーグルトなどの製造プロセスにホモジナイザーを活用して、乳化と品質の均一化を保っています。
例えば、マヨネーズやドレッシングのような調味料に使われている酢と油は、そのままでは混ざり合いませんが、市販のものは乳化剤を加えることで、酢と油を混ざり合わせるように作られています。
乳化処理が行われた調味料はしばらく置いておくと2層に分離しますが、振ったり混ぜたりすることで再び混ざり合います。
あまり長持ちしない手作りの調味料に比べて、市販の調味料が長持ちする理由は、ホモジナイザーで乳化させているからです。
フルーツの果汁を使ったジュースやココアを製造する際も、ホモジナイザーが用いられています。
ココアのカカオ成分やジュースの果汁などは、そのままだと沈殿してしまいますが、ボトルを振ると美味しく飲めるようになります。
ココアやジュースの全体の濃さが統一されているのは、製造時にホモジナイザーを使って、粒子を細かく砕き徹底的に混ぜているからです。
インクや研磨剤などの化学工場でも、ホモジナイザーは活躍しています。
ホモジナイザーを使って、材料を分散させたり、微細化させることで、品質の一貫性や均一性を保証して、品質を向上させています。
美容液や乳液、クリームといった多くの化粧品には、成分として水分と油分が含まれています。
水と油は本来混じり合わないですが、化粧品の製造プロセスでホモジナイザーを用いて乳化処理を行うことで化粧品は出来上がっています。
医学分野では、生物由来の医薬品やクリーム、軟膏、ソフトカプセルなどの製造プロセスにホモジナイザーが使われています。
例えば、バイオテクノロジー分野では、生物由来の原材料から細胞を砕いて必要な成分だけを取り出す行程が存在します。取り出す成分を破壊することなく、細胞だけを破砕する際に、ホモジナイザーが活躍しています。
ホモジナイザーの使い方は、メーカーや機種によって異なりますが、主な流れは変わりません。ここでは、ホモジナイザーの基本の使い方をご紹介します。
ホモジナイザーを使うためには、購入して自社に導入する必要があります。
ホモジナイザーは、専門メーカーから購入するのが一般的。購入する際は、ホモジナイザーの種類や機能も大事ですが、技術相談ができたり、定期点検を行っている専門メーカーを選ぶと安心です。
ホモジナイザーの導入ができたら、続いて混ぜ合わせたい液体を用意します。
用意した液体は、ホモジナイザーに入れてスイッチを押すだけと簡単です。スイッチを押したら、自動で乳化・分離を行ってくれるため、終わるのを待ちましょう。
ホモジナイザーは、使い終わった後にきちんと洗浄することが長持ちさせるコツです。
特に金属の部分は、キレイに洗浄しても水分が付いたままだと錆びてしまうおそれがあるので、水分を拭きとった後にしっかりと乾燥させましょう。
またホモジナイザーは、使用後の洗浄などの手入れ以外にも、定期的に点検・メンテナンスを行う必要があります。
ホモジナイザーは何十年も使い続けられる機器なので、点検やメンテナンスを怠ると長期間使い続けられなくなります。
導入時にアフターメンテナンスを行ってくれるメーカーを選ぶことも重要です。
ホモジナイザーは、食品や飲料、化学、化粧品、医学などさまざまな分野で活用されています。製品の均一性や品質の安定、生産効率の向上のためには欠かせない機器です。
この記事で紹介した原理やできること、使い方を正しく理解して、上手に活用してみてください。