摩擦圧接〜溶接の新しい選択〜

摩擦圧接〜溶接の新しい選択〜

様々な溶接の種類

様々な溶接の種類

金属を溶接する技術には、融接、圧接、ろう接などがあります。

溶接工程における課題

溶接工程における課題

溶接をする上では、いくつかの課題があります。

まず、強度の問題です。通常の溶接では、溶けこみの深さの分のみで結合しているため高い強度を得ることができません。次に、歪みの問題です。これは母材が高温になることで、金属が膨張と収縮されて歪みが発生します。また、溶接は人手作業のため作業者の力量により品質がばらつき、欠陥の発生に繋がるという問題もあります。

溶接の新しい選択 「摩擦圧接」

溶接の新しい選択 「摩擦圧接」

摩擦圧接とは、部材を擦り合わせることで生じた摩擦熱により部材を軟化させ、その部材に同時に圧力を加えることで原子間で結合する技術です。

摩擦圧接の特徴

部材の断面積全体で結合するため高い強度が得られる

部材の断面積全体で結合するため高い強度が得られる

これまでの溶接ではできなかった、結合後の総削り加工も可能。より高い精度のシャフトに仕上がります。

歪みにくく、繰り返し精度保証が可能

歪みにくく、繰り返し精度保証が可能

熱影響範囲が狭いため、歪みが発生しにくく、作業工程はNCでの条件設定のため、繰り返し精度の保証が可能です。

異材質結合に適しており、費用削減もでき、軽量化も可能

異材質結合に適しており、費用削減もでき、軽量化も可能

異材質金属の接合に適している、小径素材により材料費・加工費が削減される、パイプとボスの摩擦圧接により中空化ができ軽量化が実現する、といったメリットもあります。

アプリケーション実績

船外機のシャフト

船外機のシャフト

海水に入る部分は錆びないステンレスを用いて、それ以外は鉄で構成。異材質が高精度で接合でき、コストカットも実現。

OA機器ローラー

OA機器ローラー

印刷の性能を左右するため、歪みがあってはならない部品。高い精度が求められる。

よくある質問 Q&A

Q. 対応可能な材質は?

A. 鉄ー鉄、SUSーSUS、アルミーアルミ、鉄ーSUS、SUSーアルミ、SUSー銅(※すべて快削鋼は不可)になります。

Q. 対応可能な数量は?

A. 1本から可能です。ただし、強度確認のために1本かならず破壊します。

Q. 対応可能なサイズは?

A. 接合可能径はφ10~60(鉄の丸棒の場合)です。パイプの場合や、クランプ可能径については別途ご相談ください。

Q. 精度はどのぐらいですか?

A. 0.1mm単位での軸ズレが発生します。ただし、接合後の総削り、または必要な部分のみ研削仕上げも可能です。全長は0.5mm程度のバラツキが生じます。

Q. 丸形状しか接合出来ませんか?

A. こすり合わせるどちらか1部品の形状が丸なら対応は可能です。接合後に異形状に仕上げることも可能です。ご相談ください。

Q. 強度はどのぐらいですか?

A. 接合部の引張強度は母材よりも強いです。シャルピー値は母材の約5割程度(溶接とほぼ同等)です。

Q. 強度の確認方法は?

A. タコ足試験、引張試験、曲げ試験が可能です。ご相談ください。

Q. 治工具は必要ですか?

A. コレットチャック、生爪のみ必要です。異形材の場合はクランプ治具の製作が必要となる場合があります。

Q. 採用実績は?

A. 船外機のプロペラシャフト、ポンプシャフト、OA機器の定着ローラー、ロボットのドライブシャフトなどです。

Q. 安くなりますか?

A. 形状によりますが、切削量、素材使用量の削減によりコストダウンは可能です。詳しくはご相談ください。

Q. 振動溶着とは違いますか?

A. 原理は似ていますが、振動溶着は樹脂の接合に用いる技術です。

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