光電センサーは、赤外線や可視光線などの光の性質を利用して物質を検出するセンサーのことです。光を使っているため、さまざまな物質に対応することができます。
光電センサーは種類が豊富なので、目的や用途によって選べるのが特徴のひとつです。
この記事では、光電センサーについて種類別の特徴などを解説します。
まずは、光電センサーの基本と仕組みを知っておきましょう。
光電センサーとは、光を使って物体の位置や存在を検知したり計測したりする装置のことです。現代のさまざまな分野で広く利用され、それぞれの用途に応じたいくつかの種類が存在します。
光電センサーの基本的な構成は光源、センサー部、信号処理部です。
光源には赤外線LEDやレーザーダイオードなどが使われ、照射した光が物体に当たって反射光や透過光をセンサー部が受け取って物体の存在や位置を判断します。
センサー部には光の変化を感じるフォトジスタやフォトダイオードなどが使用されており、光の受け取りや変換を行います。
信号処理部は、センサー部からの信号を解析して物体の距離を計測するなどします。
光電センサーの特徴は以下の通りです。それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
光電センサーは、検出物体に接触せずに光の変化を検知して信号に変換するため、検出物体を傷めることがありません。
さらに、センサー自体も傷つかないためメンテナンスが不要で寿命が長いのが特徴です。
光電センサーは、光の特性を活用して物体の位置や存在を検知するセンサーです。
検出物体の表面反射やしゃ光量によって検出するため、ガラスやプラスチック、木材、液体など、ほとんどの物体を検出することができます。
一般的にハイパワーの光電センサーは、長距離検出が可能です。
光そのものが高速で、センサの回路がすべて電子部品でできているため、機械的な動作時間を含まないで応答時間は大変短くなっています。
光電センサーは高度な設計技術により、特殊な受光工学系を構成したり、投光ブームを小さなスポットとしたりすることで高い分解能を実現できます。
このことから、物体の微細な特徴や模様などが検出可能になります。
投光された光の波長と検出物体の色の組み合わせによって、検出物体による光の吸収率や反射率は異なります。光電センサーは、このような性質を利用することで物体の色を検出することが可能です。
光電センサーの種類はおおまかに分けて以下のように分けられます。
透過型光電センサーは、物体が透過する光の量を測定して検知するセンサーのことです。透明な物体や液体の検知にも利用できるため、薬品の濃度測定や包装資材の血管検査などに使われます。
回帰反射型の光電センサーは、検出物体がセンサーから発光部に向かって反射する特性を利用したもので、物体の検知が比較的容易にできます。光が検出物体を2回通過するため、透明体の物質の検出に向いています。
拡散反射型の光電センサーは、一つのユニット内に発光部と受光部が同じ側に組み込まれています。物体がセンサーの光を遮ると受光部で検知される光の量が減少するので、この変化をもとにセンサーが物体の存在を検知する仕組みです。このタイプのセンサーは、自動ドアのセンサーや手をかざすと点灯する照明などに使われます。
光電センサーは、さまざまな分野で応用され、私たちの生活を便利にしてくれています。主だった使われ方は以下の通りです。
光電センサーは自動車産業ではさまざまなアプリケーションで使われています。例えば、安全な駐車をサポートする「駐車支援システム」。駐車支援システムでは、障害物検知に光電センサーが使われています。
また、前方に障害物が接近したら光電センサーが検知し、自動的にブレーキをかける「ブレーキシステム」や、夜間になると自動的にヘッドライトを点灯させる「自動ライト点灯」など、光電センサーは運転支援の向上、安全性や快適性に貢献しています。
工場では光電センサーを利用して生産ラインの効率化を図っています。製造ラインで部品や製品の位置の検出を行い、部品の欠陥はないか確認したり、製品が正確な位置に配置されているかを確認します。
また、製品の不良品を排除するため、寸法や外観を検出するのに光電センサーが使われます。このように、工場の自動化において光電センサーの利用は多岐にわたり、工場の効率向上や品質管理にはなくてはならない存在となっています。
光、超音波、X線、エコーなどを用いて離れている対象物を非接触で測定する技術を持っている光電センサーは、医療現場で診断や治療に重要な役割を担っています。
医療分野では酸素濃度や心拍数を測る装置に光電センサーを利用し、診断や治療におおいに役立っています。
光電センサーの種類やその特徴を解説しましたが、光電センサーはさまざまな場面で利用されています。光電センサーは、目的や利用シーンに合わせて選ぶことが重要です。
光電センサーの種類の項目で、透過型・回帰反射型・拡散反射型という種類があると解説しました。光電センサーを使用する際は、アプリケーションの要件や使用環境に合わせて検出方式のものを選ぶのが重要です。
光電センサーは、その性能によって検知できる距離が異なります。使用する場所や目的により、長距離で広範囲の検出が求められる場合は、それに合わせたモデルを選ぶようにしましょう。
応答速度は、光電センサーにとって重要な要素です。素早く物体を検知したい場合は、高速な応答速度を持つセンサーを選ばなければなりません。
光電センサーを選ぶ際には、アプリケーションの要件をしっかり理解して検出物の速度や変動の程度等を考慮することが必要です。
光電センサーは、使う環境条件を考慮して選ぶことも重要です。防水性や耐環境性が求められるときには、それに対応できる光電センサーを選ばなければなりません。
以上が、光電センサーの選び方です。光電センサーは幅広い分野で活用されていますが、求められるのは「正確さ」です。求められる状況や環境に合った光電センサーを選ぶことで、生産ラインの安全性や効率的な検知作業に貢献することができます。
光電センサーは、正確な検出と安定した動作を確実にするため、感度調整が必要です。以下が、感度調整の手順と注意点です。
1.距離調整
検出距離は正確な距離でないと誤検出が発生してしまうため、距離調整が必要です。検出物体とセンサーの距離を適切に設定することで、検出距離を調整します。
2.感度調整
感度調整は、検出物体の色や反射量に応じて行い、感度調整ボリュームを回転させて行うのが一般的です。物体の色や反射量に合わせて適切な感度を設定して、正確な検知を行います。
3.テスト
感度調整を行ったら、正確な検知が行えるかをテストします。検出物体を使って正確に検出できるか確認して終了です。
感度調整の注意点は、調整を慎重に行うことです。感度を高めるような過度な調整をすると、センサーが誤検出を引き起こしやすいため注意しなければなりません。
また、光電センサーの調整は仕様書を確認し、メーカーの指示に従い行うのが重要です。
光電センサーは、光を利用して物体の位置や存在を検知する装置です。さまざまな種類の光電センサーがありますが、光電センサーを選ぶときは検知対象の特徴や環境条件などに合わせる必要があります。
この記事は、光電センサーの種類や応用分野、選ぶときのポイントについて解説しました。ぜひ参考にしてみてください。