ピッキングロボットは、商品の選別と移動という繁忙な作業を、人間ではなくロボットが実行するための装置です。このピッキング作業において、ロボットは倉庫内の多数の棚から素早く指定された商品を探し出し、運送プロセスをより効率的にします。
今回は、ピッキングロボットの代表的な種類と各特徴について、導入のメリットと注意点について解説します。おすすめの関連製品も紹介していますので、ピッキング作業の代替を検討中の企業様はぜひ参考にしてみてください。
このような方におすすめです
・ピッキングロボットの代表的な種類と各特徴について知りたい方
・ピッキングロボットを導入するメリットや注意点について知りたい方
・ピッキングロボットに関連するおすすめ製品について知りたい方
ピッキングロボットは、特定の注文に合わせて商品を収集するタスク、通称「ピッキング」を行うためのロボットです。これらのロボットには、ピッキングを自動的に行うもの、商品の保管場所を移動するもの、そして人間と協力して作業を行うものなど、さまざまな種類があります。
例えば、人間がシングルオーダーピッキングを行う場合、必要な商品の保管場所に何度も行って戻ってくる必要があります。特に大規模な倉庫の場合、これらの移動には時間がかかり、生産性の低下に繋がるため、ロボットに代替することで生産性の向上を見込むことができるのです。
ピッキング作業は、あらゆる業界で物流倉庫における共通の問題となっています。その背後には以下の理由があります。
消費者の電子商取引(EC)利用率が急速に増加しており、これに対応するために物流倉庫の自動化が急務です。特に新型コロナウイルスの影響や「新しい生活様式」の推進により、EC利用は今後も増加する見込みです。
一方で、物流現場では作業員不足が深刻な問題となっています。熟練した作業員の不足や、全体的な労働人口の減少が背景にあり、作業者の新規採用も難しい状況です。商品のピッキングなどの作業において、人手に頼る限界があるため、ロボットの活用が求められています。
物流分野で使用されるピッキングロボットは、主に4つのカテゴリに分類できます。
AGVはシンプルな構造を持つロボットで、一般的に無人搬送ロボットとも呼ばれます。これらのロボットは、磁気テープなどを利用して指定された経路を自動で移動し、荷物を運びますが、ピッキング作業そのものは通常、作業者によって行われます。
AMRは、自律走行型の搬送ロボットで、自身が走行経路を決定し、商品の運搬を行う能力を持っています。倉庫内で一周するときにセンサーを使用して自動的に適切な経路を決定し、事前にルートをプログラムする必要がありません。走行経路上に障害物がある場合、センサーがこれを検知し、迂回して運搬を続けることが可能です。
GTPは、棚搬送型ロボットとしても知られ、指定された棚ごとに商品を取りに行くため、作業者は倉庫内を移動する必要がありません。これにより、作業効率が大幅に向上し、ピッキング作業が容易になります。
ピースピッキングロボットは、指定された商品を個別のピース単位で自動的にピッキングできる技術を備えています。AIやディープラーニングの技術が制御システムに組み込まれており、材料の形状や位置に応じて最適なピッキング方法をロボットが自動的に判断することが可能です。
前述の3つのロボットタイプは主に運搬作業に従事しますが、ピースピッキングロボットは商品の選別作業を担当します。そのため、AGVやAMRと連携させることで、倉庫内での人員をさらに削減できる可能性があります。
物流倉庫にピッキングロボットを導入することで得られるメリット・効果には以下のようなものが挙げられます。
ピッキングロボットの導入により、作業者の生産性が向上します。物流業界におけるピッキング作業は、作業者が商品の保管場所に何度も移動しなければならないという特徴があります。倉庫が広いほど、作業者は商品を取りに行く距離が長くなり、歩行時間が作業時間を上回ることがあります。
ピッキングロボットにピッキングと運搬を委託することで、作業者の歩行距離を大幅に削減でき、作業者は他の重要なタスクに専念できるようになり、作業の効率化が図られます。
ピッキング作業は、立ち仕事で重い荷物の取り扱いや、何度も行き来するなど、体力的に負担の大きいタスクです。また、物流センターは交通アクセスの不便な場所にあることが多く、作業員を確保することが難しいことがあります。ピッキングロボットの導入により、人手不足の緩和や作業スタッフの負担軽減が期待できます。
ピッキング作業は多種多様な製品が関与するため、物流業務においてミスが発生しやすいプロセスの一つです。人手による作業では、どれほど単純な作業であっても、人為的なエラーがゼロになることは難しいですが、ロボットによるピッキング作業はミスを回避できる可能性があります。
製品のピッキングエラーは、直接的に消費者からのクレームにつながる可能性があります。メーカーの信頼性向上の観点からも、ピッキング作業をロボットに委託する利点が存在します。
一方、ピッキングロボットの導入はハードルが高く、以下のような懸念点で導入を見送っている企業も数多くあります。
ピッキングロボットの導入における大きな課題としては高いコストが挙げられ、小型のものでも本体だけで100万円以上かかることがあります。ただし、必要な装置は本体だけではなく、他にも多くの費用がかかります。
導入するロボットや計画によって価格は異なるため、ロボットを稼働させるためにかかるすべてのコストを詳細に計算する必要があります。計算を行った後は、現在のコストと比較し、投資を回収するまでにどれくらいの期間がかかるかなど、慎重に計画を練ることが重要です。
ピッキングロボットにトラブルが発生した場合、ロボットの運用を一時停止し、手作業でピッキングを行わなければならないことがあります。これにより、倉庫の出荷作業が一時的に中断され、消費者に直接的な影響が生じ、売上が一時的に減少する可能性も考えられます。
一部のメーカーは、ピッキングロボットに代わるサービスやリモートメンテナンスを提供している場合もあります。したがって、ピッキングロボットを導入する前に、このようなサポートオプションを確認するようにしましょう。
製品名 | 特徴 |
---|---|
AGILOX(アジロックス) | 高い「群知能」を備えた「新世代」の自律走行搬送ロボットです。 |
パレタイザロボット「YZロボット Pシリーズ」 | 省スペースで設置できる汎用性の高い産業用ロボットを用いたパレタイザロボットです。 オールインワンパッケージで手軽に導入が可能で、パワフルな搬送を実現することで、パレタイズ工程の生産性向上を支援します。 |
自律走行協働ロボット「Syrius」 | 人に代わって倉庫内を移動しピッキング業務を効率化させるAMR(自律走行ロボット)です。 |
Keigan ALI 自律移動ロボット | 「設定が簡単」で1台から導入可能な「スモールスタート」ができる自律移動ロボットです。 |
AMR 自律走行型(協働)搬送ロボット | インフラ整備なしで即運用。高い費用対効果で素早い投資回収が可能な自律走行型(協働)搬送ロボットです。 |
Rtino(アルティノ) | 地図自動作成機能を持つ屋内自律移動ロボットソフトウェアです。 |
自動搬送ロボットシステム「AGILOX(アジロックス)」は、群知能による分散型の制御原理に従って自らの経路を計画することで、従来のAGVよりもはるかに高い柔軟性を実現します。
加えて、車両のプログラミングやティーチングも大幅に容易となり、保守やアップデートなどを含めて集中制御用ソフトウェアによるプログラムは不要です。
全車両を集中制御システム無しに運用でき、文字通り自律的に生産現場や倉庫内を自在に走行します。
『YZロボット Pシリーズ』は、省スペースで設置できる
汎用性の高い産業用ロボットを用いたパレタイザロボットです。
オールインワンパッケージで手軽に導入が可能で、パワフルな搬送を実現することで、パレタイズ工程の生産性向上を支援します。
ジャロックが提案するAMR・Syriusによるソリューションはピッキング作業時間の中で約60%を占める「歩行時間」をロボットが代替し、人間の方が得意な「商品を棚から探す時間」と「取り出し時間」は導入後も従来どおり人間が担当します。
KeiganALIは、周囲の環境を認識して自律走行ができる自律移動ロボットです。
設定が簡単でカスタマイズ性が高く、さまざまな場面でご利用いただけます。
アセンブリの為の部品搬送、広大な施設内の材料輸送、医療施設内での書類の配布·回収、クリーンルーム内へ機材を届ける等、単純作業の自動化は、人がより高度な作業に集中する事を可能し、生産性向上による対費用効果を高め、素早い投資回収を実現します。
従来の自律移動ロボットは、利用者があらかじめリモコンなどでロボットを操作して、地図を作成しておく必要がありました。また、ロボットの移動ルートに障害物が生じると、ロボットが動作を停止してしまうという問題点がありました。「Rtino」は地図自動作成機能と自律移動機能を連携させることで、これらの課題を解決していきます。
EC市場の拡大に伴い、ロボットによるピッキング作業の自動化は、消費者の購買行動に直結する重要な課題となっています。
ピッキングロボットの活用によって倉庫内の膨大な棚から素早く必要な商品を見つけ出し、運送プロセスを効率化することで、消費者は簡単にオンラインショッピングを楽しむことができ、商品を最短で当日手に入れることができるようになりました。この新しい技術分野は、今後ますます注目され、メーカーによる継続的な開発が期待されます。その結果、人手削減、作業効率の向上、高い精度、コスト削減など、多くの面でロボット導入の利点がもたらされるでしょう。
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