1〜3mmの厚膜を実現する画期的なフッ素樹脂ライニング
リチルライニングは、日本フッソ工業が開発した画期的な厚膜焼付けフッ素樹脂ライニング技術です。従来の静電粉体塗装よりも厚い1~3mmの標準膜厚を実現し、3次元回転焼成技術により複雑な形状の部品にも対応可能です。化学薬品、食品、医薬品など、幅広い産業分野で利用されています。
リチルライニングは、1〜3ミリを標準膜厚とした画期的な「厚膜焼付フッ素樹脂ライニング」です。従来工法のシートライニングでは得られない母材金属との密着性や、継目のない皮膜を実現します。
フッ素樹脂は厚膜にすると「収縮→剥離」という問題が発生します。そこで、特に密着性を求められる場合や、熱収縮が発生しやすい高温で使用される場合は、皮膜を多層構造にする事で、皮膜全体の収縮を緩和させます。下の層に充填材を入れて収縮率を低下させ、母材との界面に集中していた収縮力を分散することにより、剥離力を弱めました。
リチルライニングは、独自の3Dローテーション焼成と特殊スラリー塗装を用いて、1mm以上の厚い皮膜を形成する技術です。被塗物(例えばタンクなど)の内面にフッ素樹脂を投入し、焼成炉で被塗物自体を3次元回転させながら焼成することで、均一かつ厚い膜を形成します。
リチルライニングでは数回の焼成で1〜3mmの厚膜を実現します。
焼付ライニングだから母材に完全密着。母材にベントホールを設けるなどの特別な設計も必要なく、フルバキューム条件下で使用できます。
焼成によってフッ素樹脂を完全に溶融させることで、皮膜に継目のないシームレスな表面を形成することが可能です。被塗物の内面全体を一枚の皮膜で覆うため、シートライニングでよく見られる継目樹脂溶接のトラブルが発生しません。 また、継目に残液が溜まることも防止できるため、より洗浄性の向上が可能です。
リチルライニングは、グラスライニングや静電粉体塗装では対応が難しい複雑な形状にも対応できます。静電粉体塗装のように粉体原料を吹き付ける手法では、被塗物の形状に制限がありますが、リチルライニングではその制限がありません。 例えば、配管の場合、リチルライニングを使用することでピース数を減らし、フランジ数を減少させることが可能です。漏れの心配を減らし、メンテナンスも簡易化されます。複雑な形状にも対応できるため、さまざまな用途での利用が期待されます。
優れた耐久性と保護性能を実現するリチルライニングのプロセスにおいては、受入検査から梱包・出荷に至るまで、厳格な工程管理のもとで行われます。
母材の適合性を確認した後、脱脂、下地処理、プライマー塗装、治具取付、焼成、治具解体、検査といった段階を経て、高品質なライニングを実現。母材の表面に耐久性の高いフッ素樹脂膜を形成し、長期間にわたり信頼性の高い皮膜を提供します。
正常な皮膜を形成するために、母材の異常や設計基準を満たしているか等を検査します。
母材に付着した油脂や汚れを取り除くため、所定の温度で空焼きを行います。 ※熱処理は400℃以上になるため、母材の熱歪が問題となる場合は事前にご相談ください。
ブラスト処理を行い、接着を妨げる空焼きによる熱分解物や母材表面の酸化膜を除去します。また、接着のための表面積を増やすため、母材表面を粗面化します。
プライマーを塗布し、所定の温度で焼成します。プライマーは、フッ素樹脂と母材を接着させるための接着材です。ただし、自己接着性のあるフッ素樹脂塗料はプライマーを必要としません。
母材の開口部からフッ素樹脂が飛散しないように治具を取り付けます。
治具を取り付けた母材を回転成型炉にセットし、所定の塗料を入れ、所定の温度と条件で回転焼成を行います。
回転焼成後、開口部の治具を解体し、フランジ部分などの仕上げを行います。
契約仕様に基づき、外観検査、膜厚測定、ピンホール検査などを行います。
最終検査後、コーティング・ライニング面を傷つけないようにしっかりと養生し、指定された日時と送付先へ出荷します。