半導体レーザーとは、媒質として半導体を活用したレーザーの一種のことを指します。レーザーダイオードと呼ばれることもあり、一般的には半導体レーザー・レーザーダイオードのどちらも同じ製品のことを意味しています。近年では半導体レーザーの出力効率・露光効率が向上しており、照明やディスプレイにも活用されるなど、様々な分野への適用が期待されているレーザーです。
半導体レーザーは、電流を流すことによってレーザーを発振させます。
基本的な構造は「活性層」を「P型クラッド層」と「N型クラッド層」が挟んだダブルヘテロ構造と呼ばれる形が基板上に作られています。N型クラッド層にマイナス、P型クラッド層には+となるように電極を繋ぐことで、電極から電流を流すことができます。N型クラッド層からは電子、P型クラッド層からは正孔が活性層に流れ込んでいきますが、正孔は電子が不足した状態です。そのため、正孔は活性そうで電子と結びつく「再結合」が発生します。
再結合が行われると高いエネルギーを持っていた電子はそのエネルギーを失い、失われたエネルギーは光に変換されます。これが半導体レーザーにおける露光の仕組みです。
半導体レーザーは様々な用途で活用されますが、その機能ごとによって分類をすると以下の9つに分類できます。
読み込み |
CD・DVD・BD等の光ディスクへの読み込み |
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記録 |
CD・DVD・BD等のディスクへの記録 |
加工 |
材料の溶接や切断加工 |
医療 |
レーザー照射による治療 |
感光 |
レーザープリンター・複合機など |
通信 |
PC・スマートフォンなどの光通信 |
照明 |
レーザー顕微鏡・ポインティングマーカ・プロジェクター・墨出し器など |
測定 |
道路距離測定・車間距離測定・建造物の高さ測定など |
感知 |
ガスセンシング・ダスト管理・レーザーマウス・光スイッチなどのセンサ機能 |
光通信には「FBレーザー」と「DFBレーザー」の2種類の半導体レーザーが使い分けられています。
FBレーザーはファブリーペロレーザーと呼ばれる半導体レーザーです。FBレーザーはシンプルな構造の半導体レーザーあり、光通信以外の用途でも用いられます。
DFBレーザーと比較されることも多いのですが、FBレーザーは単一でのレーザー発信が困難であるため、光通信用途よりもCD・DVD・BD等の読み込み/記録やプレンター等の観光に向いているレーザと言えます。
長距離の光通信には向いていないFBレーザーと比較して、DFBレーザーは単一の波長のみレーザー発振することが可能であるため、長距離かつ高速が求められる光通信に適しています。DFBレーザーの構造はN型クラッド層に「回折格子」と呼ばれるギザギザがあり、この回折格子に光が当たることで光みが増幅されます。この構造によって単一でのレーザー発振が可能となっています。
半導体レーザーには寿命があり、寿命を迎えても使用を続けると電気デバイス自体が使えなくなります。
半導体レーザーの寿命は動作環境・波長・出力の仕様によって異なりますが、平均的には10,000時間であると言われています。しかし、動作環境との関係によって最大半分の時間まで寿命は縮小されてしまいます。
寿命が減少する動作環境として意識すべきポイントは「温度(10℃以上)」「電源ノイズ」「静電気」などが上げられ、これらは半導体レーザーの寿命に関わってくるため気をつけて動作環境を選択するようにしましょう。
今回は半導体レーザーについてご紹介しました。ダブルヘテロ構造による半導体レーザーが露光する仕組み、9つの用途例、光通信に用いられる2種類の半導体レーザーの技術、そして半導体レーザーの寿命について、それぞれご紹介しています。
エボルトでは半導体レーザーに関連する装置を含め、様々な半導体関連のおすすめ製品をご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。