電子部品を載せるプリント基板作成において、基盤加工機の選び方に迷うことがあるのではないでしょうか。
この記事では、切削タイプ・レーザータイプなどの違いから価格についてまでを解説し、用途にあった基盤加工機の選び方についてご紹介します。
プリント基板を作るための基板加工機には、一般的に2つのパターンがあります。
・大量生産用の大型機械
基板の穴あけ加工に使う
・少量生産用の小型機械
CADなどの設計ソフトでデータを使って基板を作る/試作段階や研究開発に向いている
基板を加工する方法として、溶解液を使う「エッチング加工」という方法があります。基板を溶かして加工する方法です。
プリント基板は基板に配線パターンが載っていればよいため、エッチング加工なら基板加工機を用意しなくても個人でプリント基板がつくれます。
エッチング加工は大量生産にも向いていますが、前後の処理(例:不要になった薬液(廃液)を処分する等)に適切な管理をする必要があり、手間がかかるデメリットがあります。
基板加工機での基板加工は、廃液を処理する必要がなく、管理負担を軽減できます。穴あけの方法によって大きく2つのタイプに分かれます。
特徴や用途、費用などを以下にて解説しますので、あなたの状況に合う基板加工機はどのタイプか検討する際の参考にしてください。
基板加工機の基本的な仕組みと役割についてご紹介します。
基板加工機は、基板の銅箔部分を削り、銅箔による回路パターンをつくります。削られた部分が電気の絶縁部分となり、削らずに残った部分に電流がつたわる仕組みです。
プリント基板をつくる方法には他に「エッチング加工」などもありますが、基板加工機は試作機や生産量の少ないプリント基板をつくる場合に適しています。
プリント基板の設計は、回路図・外形図・部品リスト・個別の仕様などの情報をもとにレイアウトを決めていきます。
製作過程の各段階で電気的なシミュレーションを行い、やり直しが必要になった場合でも基板加工機への修正データ入力により簡単に軌道修正ができることも特徴です。
基板加工機の使い方をご紹介します。
データはCADによるパターン設計をしておけば、変換が簡単にできますので設計のやり直しが必要になった場合も簡単に修正できます。
フォーマットに含むデータは以下の通りです。
データに沿って基板を削ったり、穴をあけたりするだけであり、工程も少なく済むのが特徴です。
プリント基板は片面板(一層)、両面板(二層)、多層版の3つに分類され、多層版が最も普及していると言えます。
どの導体層数のプリント基板をつくるかによっても適した機械が異なるため、基板加工機の種類とそれぞれの特徴をご紹介し、メリット・デメリットを比較します。
ドリルなどを高速で回転させることで基板を削って設計通りのプリント基板をつくります。
加工に複数の工具が必要ですので、使うほど摩耗する切削加工の基板加工機には、工具を手動で交換(または刃先を研磨するなどのメンテナンス)する必要があるものと、自動交換機能がついたものがあります。
最初のセッティングだけで自動交換できるタイプは、業務が効率化されおすすめです。
手動交換タイプを選択する場合でも、耐久性に優れていて折れにくい、長寿命の超硬材料でできたドリルもあるため、パーツの耐久性にも注目したいところです。
貫通穴(スルーホール)をあける作業に適しており、穴あけ加工は複数枚をまとめた同時加工ができます。
レーザー光を基板にあてて、熱で基盤を溶かしてプリント基板をつくります。切削加工に比べると安定性が高く、高速加工が可能です。
工具の摩耗がないため、交換の必要がなくメンテナンス性にも優れています。
非貫通穴の加工に向いており、スルーホール不要の場合に向いています。
設備費用は切削加工と比べて高い傾向にありますが、速く、高精度に加工が可能です。レーザー加工タイプには大量生産に対応できるものもありますので、用途や生産量によって検討してください。
基板加工機のタイプによるメリット・デメリットを比較します。
切削加工のメリット
・レーザー加工タイプより低価格
・多層基板の貫通穴の加工精度が高い
切削加工のデメリット
・加工途中で工具の交換が必要※自動交換機能がついていれば不要
・処理能力はやや低い
レーザー加工のメリット
・工具の交換が不要
・処理能力が速い
・非貫通穴の加工に向く
レーザー加工のデメリット
・導入費用が高額
一般的には「価格か、処理速度か」の選択が大きなポイントとなるでしょう。
基板加工機の価格相場についてご紹介します。
一般的には、数十万円~数百万円程度です。切削加工タイプのほうが安価、レーザー加工タイプは高価といわれています。
基板加工機の主要メーカーは複数あり、導入の際には機械の費用以外に保証やサポートといった側面からも十分な比較検討が大切です。
基板加工機を選ぶときのポイントを4点ご紹介します。
導入時には安くない費用がかかるため、十分な検討を行なってください。
以下にて詳しく解説します。
どのような基板をつくるかによって選択が変わります。
使用目的に合った基板加工機を選びましょう。
必要な加工サイズを満たしているか確認しましょう。基板外形のサイズには一般的にMサイズとLサイズがあります。
つくりたい製品に必要なプリント基板の大きさによって基板加工機の対応サイズを確認しましょう。
操作のしやすさと機能性は最も着目したいポイントのひとつです。
データ入力の容易さや機能性(切削加工の場合は手動交換か、自動交換かなど)をどこまで重視するかによって、導入コストも変わってきます。
使用環境・使用時間によって稼働時の静かさなども注目したいポイントです。
機械の購入費用そのものの他にも、加工精度や耐久年数、サポート体制も重要です。
メーカーによってサポート体制が異なり、導入後を想定したサポート内容にも注目です。納品後どのくらいの期間無償(または有償)保証が受けられるか、技術的サポートはどの程度かなども確認しましょう。
販売以外に加工支援サービスを行っているメーカーもあります。
試作加工、加工評価や分析・解析サービスなど、さまざまなサポートがありますので十分に比較検討を行なって実機の購入費用だけではないコストパフォーマンスをさまざまな角度から検討します。
基板加工機についてご紹介したポイントをまとめます。
・基本的な仕組み
銅板に穴をあけたり削ったりしてプリント基板をつくる
・切削タイプとレーザー加工タイプの違い
大きな違いは導入コストと処理速度・パーツ交換の要否
・価格相場
数十万~数百万/切削加工タイプのほうが安価
・選び方のポイント
つくりたいものの目的・サイズに応じたコストパフォーマンスを総合的に検討したい/購入費用だけではなくアフターフォローにも注目
今回ご紹介した内容を参考にさまざまな角度から比較検討し、目的や予算に合った基板加工機を選択してください。