高い非粘着性・離型性を付与するコーティング
「タックフリーコーティング」は、高粘度の粘着物や粘着テープが付着しにくい特性を持つコーティングです。シリコーン系とフッ素系のコーティングがあり、用途に応じて選択できます。
タックフリーコーティングは、ガムテープのような高粘着物に対する非粘着用途として開発された、日本フッソ工業の表面処理の総称です。
基本的構造としては表面粗面化仕様であり、下地に金属溶射等を利用した凹凸を設け、そこに非粘着性能を有するフッ素系やシリコーン系の加工を施しています。一般的なフッ素樹脂コーティングと比較して、高硬度かつ耐摩耗性に優れ、離型性に優れた表面処理として既に長い歴史と実績のあるものですが、様々なニーズに合わせて今も進化を続けています。
サンプルに貼り付けた所定のガムテープをサンプル片に対し、垂直方向に所定の早さで剥離する際の平均的な剥離力を検証しました。
シリコーン系とフッ素系の材料には、それぞれ異なる特性と利点が存在します。シリコーンの移行がないフッ素系材料は、洗浄の簡便さや離型性の向上など、多くのメリットを提供します。一方、シリコーンの移行による粘着力の低下や加硫後の密着力不足といった問題点も考慮が必要です。
日本フッソ工業では、焼付け技術等の開発により、シリコーンの移行が極めて少ない仕様もライナップしています。
溶媒による洗浄が可能で洗浄時間が短縮(シリコーン系は洗浄不可)。 フッ素系でもシリコーン系と同等の離型性がある(従来のパーフロ系と比較して離型性が大幅に向上)。
粘着力が低下(粘着テープなど)。 加硫後の密着力不足(タイヤなどでのゴムの層間密着力を低下させ、バーストの原因になる可能性など)が示唆されています。
NFー850ECBは、新しいタイプの表面処理です。従来のフッ素樹脂コーティングや粗面仕様コーティング(例:タックフリーコーティング)で困難な「高離型性」 と「表面性」を両立し、更に「帯電防止性」も付与しました。NF-850ECBは、「高粘着物を扱うが、製造機器の粗面化はNG」といったご要望にお応えすることができます。
粘着性フィルムを通すダクトや、凸凹転写不可のタック性フィルムが接するロールなどに最適です。
タック性フィルムを空気輸送するダクトの内面にNF-850ECBを施工しました。母材が薄く、細径長寸のため、粗面化仕様のコーティングは施せませんでした。また、フッ素樹脂をコーティングすると、フィルムが内面に貼り付き、搬送に支障が生じました。
しかし、NF-850ECBを使用することで、極めて良好なフィルム搬送性を実現することができました。