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高粘度液をディスペンサーで塗布する際の注意点と対応方式
本記事では、高粘度液に対応するディスペンサーの方式や注意点について解説します。
高粘度液塗布の課題
高粘度液とは、一般的に粘度が高く流動しにくい液体を指します。シリコーン系接着剤、エポキシ樹脂、グリース、シーリング材などがこれに該当します。これらの材料をディスペンサーで塗布する際には、いくつかの課題が生じやすくなります。
吐出量が安定しにくい
粘度が高い液体は流動抵抗が大きいため、一定の圧力をかけても吐出量にばらつきが生じやすい傾向があります。時間圧力方式のディスペンサーでは、液剤の温度変化や残量の変化によって粘度が変動し、結果として塗布量が変わってしまうことがあります。
糸引き・液垂れが発生する
高粘度液は切れが悪く、吐出終了後にノズル先端から糸を引いたり、液垂れを起こしたりすることがあります。これにより、塗布位置の精度が低下したり、ワークを汚染したりする問題が発生します。
配管内の圧力損失が大きい
粘度が高いほど、配管やチューブ内を流れる際の圧力損失が大きくなります。そのため、液剤タンクからノズルまでの距離が長い場合や、配管径が細い場合には、十分な吐出圧力を確保できないことがあります。
気泡が抜けにくい
高粘度液は液剤中の気泡が自然に抜けにくい性質があります。気泡が混入したまま塗布すると、塗布量の不足や接着不良の原因となります。事前の脱泡処理が重要になりますが、完全に除去することが難しい場合もあります。
対応可能な方式
高粘度液の塗布に対応できるディスペンサーには、いくつかの方式があります。それぞれの特徴を理解し、液剤の性質や用途に合わせて選定することが重要です。
プランジャーポンプ方式
プランジャーポンプ方式は、シリンダー内をプランジャー(ピストン)が往復運動することで液剤を押し出す方式です。機械的に一定容積を送り出すため、粘度変化の影響を受けにくく、高精度な定量吐出が可能です。高粘度液に対しても安定した吐出性能を発揮します。
スクリューポンプ方式
スクリューポンプ方式は、スクリュー(ねじ)の回転によって液剤を連続的に押し出す方式です。回転数に比例した吐出が可能で、連続塗布やビード塗布に適しています。高粘度液の安定した搬送に優れており、フィラー入り材料にも対応しやすい特徴があります。
エアプレス+バルブ方式
液剤タンクにエア圧をかけ、バルブの開閉で吐出を制御する方式です。構造がシンプルで導入しやすい反面、高粘度液では圧力を高くする必要があり、吐出量の安定性は他の方式に比べて劣る場合があります。比較的低粘度から中粘度の液剤に適しています。
ピストンポンプ方式
プランジャーポンプと同様の原理で、ピストンの往復運動により液剤を吐出します。大容量の吐出に対応できる設計が多く、ポッティングや大面積への塗布など、一度に多くの液剤を必要とする用途に適しています。
吐出時の注意点
高粘度液をディスペンサーで塗布する際には、方式の選定だけでなく、運用面でもいくつかの注意点があります。
温度管理を行う
多くの液剤は温度が上がると粘度が下がり、温度が下がると粘度が上がる性質を持っています。作業環境の温度変化が大きい場合は、液剤タンクやシリンジにヒーターを設置して温度を一定に保つことで、吐出量の安定化を図ることができます。ただし、液剤によっては加熱により硬化が促進されるものもあるため、材料メーカーの推奨条件を確認することが重要です。
ノズル径を適切に選定する
高粘度液の塗布では、ノズル径が細すぎると吐出抵抗が大きくなり、十分な吐出量を確保できないことがあります。一方、ノズル径が太すぎると塗布精度が低下します。液剤の粘度と必要な塗布精度のバランスを考慮して、適切なノズル径を選定する必要があります。
サックバック機能を活用する
糸引きや液垂れを防止するために、吐出終了時にノズル内の液剤を引き戻すサックバック機能が有効です。高粘度液は切れが悪いため、この機能を適切に設定することで塗布品質を向上させることができます。サックバック量が大きすぎると次回吐出時に空気を吸い込む可能性があるため、調整が必要です。
配管レイアウトを最適化する
液剤タンクからノズルまでの配管は、できるだけ短く、太くすることで圧力損失を抑えることができます。また、配管内に液剤が滞留しないよう、エルボーや継手の数を最小限にすることも重要です。
事前の脱泡処理を行う
高粘度液は気泡が抜けにくいため、塗布前に真空脱泡や遠心脱泡を行うことが推奨されます。特に2液混合タイプの樹脂では、混合時に気泡が入りやすいため、脱泡工程を設けることで塗布品質を向上させることができます。
装置選定のポイント
高粘度液に対応したディスペンサーを選定する際には、以下のポイントを確認することが重要です。
対応粘度範囲を確認する
ディスペンサーには対応可能な粘度範囲があります。使用する液剤の粘度がその範囲内であることを確認してください。液剤の粘度は温度によって変化するため、使用温度での粘度を基準にすることが重要です。また、液剤メーカーが公開している粘度データを参照し、実際の作業条件との整合性を確認しましょう。
必要な吐出量・吐出精度を明確にする
塗布する量や精度の要求によって、適切な方式が異なります。微量で高精度な塗布が必要な場合は容積計量方式が適しており、大量塗布やビード塗布が必要な場合はスクリューポンプ方式やピストンポンプ方式が選択肢となります。
液剤の特性に合わせた機能を確認する
液剤にフィラーが含まれている場合は、フィラーの沈降防止機能や攪拌機能が必要になることがあります。また、2液混合タイプの場合は、混合比率の管理機能や混合方式の適合性を確認する必要があります。
メンテナンス性を考慮する
高粘度液を扱う装置は、配管や吐出部に液剤が残留しやすく、定期的な洗浄やメンテナンスが重要になります。分解清掃のしやすさ、消耗部品の交換頻度、交換部品の入手性なども選定時に確認しておくと、運用開始後のトラブルを軽減できます。
試し打ちで検証する
カタログスペックだけでは、実際の液剤との相性や塗布結果を完全に予測することは困難です。可能であれば、装置メーカーに依頼して実際の液剤を使用した試し打ち(テスト塗布)を行い、吐出量の安定性や塗布品質を確認することをおすすめします。
この記事のまとめ
- 高粘度液の塗布には、吐出量の不安定さ、糸引き・液垂れ、圧力損失、気泡混入などの課題がある
- プランジャーポンプ方式やスクリューポンプ方式は、高粘度液の定量塗布に適している
- 温度管理、ノズル径選定、サックバック機能の活用が塗布品質の安定化に効果的である
- 装置選定では対応粘度範囲、吐出精度、液剤特性への対応、メンテナンス性を確認する
- 実際の液剤を使用した試し打ちで、事前に塗布品質を検証することが重要である
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