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フィラー入り材料をディスペンサーで塗布する際の課題と対策
本記事では、フィラー入り材料に対応するディスペンサーの方式や注意点について解説します。
フィラー入り材料とは
フィラー入り材料とは、接着剤や樹脂などのベース材料に固体の粒子(フィラー)を配合した材料のことです。フィラーを添加することで、ベース材料単体では得られない機能や特性を付与できます。
フィラーの種類と役割
フィラーにはさまざまな種類があり、目的に応じて使い分けられます。代表的なものとして、熱伝導性フィラー、導電性フィラー、絶縁性フィラー、補強用フィラーなどがあります。
熱伝導性フィラーは、アルミナや窒化ホウ素、窒化アルミニウムなどのセラミック粒子が使われます。電子部品の放熱用途で、樹脂やグリースに配合して熱伝導率を高めます。導電性フィラーは、銀や銅、カーボンなどの粒子が用いられ、導電性接着剤や電磁波シールド材に配合されます。絶縁性フィラーはシリカや水酸化アルミニウムなどが代表的で、電気絶縁性の向上や難燃性付与に使われます。補強用フィラーはガラス繊維や炭素繊維などで、樹脂の機械的強度を高める目的で配合されます。
フィラー入り材料の用途
フィラー入り材料は、電子機器、自動車、半導体など幅広い分野で使用されています。具体的には、パワーデバイスや基板の放熱材、電子部品の導電性接着、モーターやセンサーの封止材、構造部材の接着剤などがあります。これらの用途では、フィラーによって付与された特性が製品の性能や信頼性に直結するため、塗布時にフィラーの分散状態を維持することが重要になります。
塗布時の課題
フィラー入り材料をディスペンサーで塗布する際には、フィラーの存在に起因するいくつかの課題があります。これらの課題を理解し、適切な対策を講じることが安定した塗布の前提となります。
フィラーの沈降
フィラーはベース材料よりも比重が大きいことが多く、静置しておくと重力によって沈降します。沈降が進むと、材料タンク内で上部と下部の濃度差が生じ、塗布量が同じでもフィラー含有率が変動してしまいます。放熱材であれば熱伝導率のばらつきに、導電性接着剤であれば導電性のばらつきにつながり、製品品質に影響を及ぼします。
沈降の速度はフィラーの粒径や比重、ベース材料の粘度によって異なります。粒径が大きく比重が高いフィラーほど沈降しやすく、ベース材料の粘度が低いほど沈降が速くなります。
流路での詰まり
ディスペンサーの流路やノズルにフィラーが詰まることがあります。特にノズル先端は流路が細くなるため、フィラーの粒径や凝集状態によっては詰まりやすくなります。詰まりが発生すると、吐出量が減少したり、吐出が完全に停止したりすることがあります。また、詰まりを起点に材料が硬化してしまうと、清掃や復旧に手間がかかります。
吐出量のばらつき
フィラーの分散状態が不均一になると、吐出量が安定していても塗布される材料の組成がばらつきます。フィラーが多く含まれる部分と少ない部分が交互に吐出されると、製品ごとに特性が異なってしまいます。この問題は、時間圧力方式など材料の状態変化の影響を受けやすい方式で顕著になります。
摩耗による装置劣化
フィラーは固体粒子であるため、流路やポンプ内部、ノズルを摩耗させることがあります。特にセラミック系のフィラーは硬度が高く、金属製の部品を摩耗させやすい傾向があります。摩耗が進むとポンプの計量精度が低下したり、シール部から材料が漏れたりする原因になります。
対応可能な方式
フィラー入り材料の塗布には、フィラーの特性を考慮した方式を選ぶ必要があります。ここでは、フィラー入り材料に対応しやすいディスペンサーの方式を紹介します。
スクリューポンプ方式
スクリューポンプ方式は、らせん状のスクリューを回転させて材料を連続的に押し出す方式です。スクリューの回転によって材料が常に攪拌されるため、フィラーの沈降を抑制しながら塗布できます。また、流路が比較的広く、フィラーによる詰まりが起きにくい構造になっています。連続的な塗布が得意で、ビード塗布やポッティングなどの用途に適しています。
プランジャーポンプ方式
プランジャーポンプ方式は、シリンダー内のプランジャーを往復運動させて一定容積の材料を押し出す方式です。容積計量のため、材料の粘度変化やフィラー分散状態の変化による影響を受けにくく、安定した吐出量を維持できます。ただし、シリンダーとプランジャーの隙間にフィラーが入り込むと摩耗や計量精度の低下につながるため、フィラーの粒径やシール構造に配慮が必要です。
ジェット方式
ジェット方式は、材料を非接触で飛ばして塗布する方式です。高速な点塗布が可能で、微小な領域への塗布に適しています。ただし、ノズル先端から材料を射出するため、フィラーの粒径が大きい材料や凝集しやすい材料では詰まりが発生しやすくなります。使用できるフィラー入り材料は、粒径が小さく分散性の良いものに限られます。
エアディスペンサー方式(時間圧力方式)
エアディスペンサー方式は、圧縮空気でシリンジ内の材料を押し出す方式です。構造がシンプルで導入しやすい反面、フィラー入り材料ではいくつかの課題があります。シリンジ内でフィラーが沈降すると吐出量やフィラー含有率が変動しやすく、圧力や材料の粘度変化の影響も受けやすい方式です。フィラー入り材料に使用する場合は、攪拌機能付きのシリンジや、短時間で使い切る運用など、追加の対策が必要になります。
装置選定のポイント
フィラー入り材料を安定して塗布するためには、方式の選定だけでなく、材料や用途に応じた装置の仕様を検討することが重要です。
材料特性の把握
まず、使用するフィラー入り材料の特性を正確に把握します。確認すべき項目として、フィラーの種類と粒径、フィラーの含有率、ベース材料の粘度、沈降の程度とスピード、材料の可使時間(ポットライフ)などがあります。これらの情報をもとに、適切な方式や仕様を選定します。材料メーカーが提供するデータシートや、実際のサンプルでの事前評価が参考になります。
流路設計への配慮
フィラー入り材料では、流路やノズルの詰まりを防ぐ設計が重要です。フィラーの粒径に対して十分な流路径を確保すること、流路内に材料が滞留しやすい部分(デッドスペース)がないこと、清掃やメンテナンスがしやすい構造であることなどを確認します。ノズルは交換しやすいものを選ぶと、詰まり発生時の対応が容易になります。
攪拌機能の有無
フィラーの沈降が懸念される材料では、攪拌機能の有無を検討します。材料タンクに攪拌機構を備えた装置や、循環システムを備えた装置であれば、長時間の運転でもフィラーの分散状態を維持しやすくなります。また、シリンジに攪拌子を入れて定期的に攪拌する運用も、小規模な生産では有効な手段です。
耐摩耗性への対策
硬度の高いフィラーを使用する場合は、装置の耐摩耗性を確認します。ポンプの内部部品やシール、ノズルなどが摩耗しやすい部位です。セラミックコーティングされた部品や、耐摩耗性の高い材質を使用した仕様が選択できる場合があります。また、消耗部品の交換頻度や入手性も、ランニングコストの観点から確認しておくとよいでしょう。
テスト塗布の実施
装置を選定する際は、実際に使用する材料でテスト塗布を行うことを推奨します。カタログスペック上は対応可能でも、材料との相性によっては想定通りの性能が出ないことがあります。テスト塗布では、吐出量の安定性、フィラー含有率の均一性、詰まりの発生有無、長時間運転時の挙動などを確認します。装置メーカーがテスト塗布に対応している場合は、積極的に活用するとよいでしょう。
この記事のまとめ
- フィラー入り材料は、ベース材料にフィラーを配合して熱伝導性や導電性などの特性を付与した材料である
- 塗布時の課題として、フィラーの沈降、流路の詰まり、吐出量のばらつき、装置の摩耗がある
- スクリューポンプ方式やプランジャーポンプ方式は、フィラー入り材料の塗布に対応しやすい
- 装置選定では、材料特性の把握、流路設計、攪拌機能、耐摩耗性を確認することが重要である
- 実際の材料でテスト塗布を行い、装置との相性を事前に確認することを推奨する
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