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プランジャーポンプ式ディスペンサーの仕組みと特徴

プランジャーポンプ式ディスペンサーは、シリンダー内のプランジャー(ピストン)を往復させることで液剤を高精度に計量・吐出する方式です。容積計量方式の代表的な構造であり、塗布量の安定性が求められる工程で広く採用されています。

本記事では、プランジャーポンプの仕組みや動作原理、他の方式との違い、適した用途について解説します。

プランジャーポンプとは

プランジャーポンプとは、円筒形のシリンダー内でプランジャー(棒状のピストン)を往復運動させることで、液体を吸引・吐出するポンプの一種です。ディスペンサーにおいては、プランジャーの移動量によって吐出量を正確に制御できることから、容積計量方式の代表的な機構として位置づけられています。

プランジャーポンプ式ディスペンサーの基本構成は、シリンダー、プランジャー、吸入バルブ、吐出バルブ、そしてプランジャーを駆動するアクチュエータから成ります。プランジャーがシリンダー内を後退すると液剤が吸入され、前進すると吸入した液剤が押し出されて吐出口から排出されます。

この方式は、機械的な容積変化によって液剤を送り出すため、液剤の粘度変化や環境温度の影響を受けにくいという特徴があります。時間と圧力で吐出量を制御する時間圧力方式と比較して、より安定した定量吐出を実現できる点が大きな利点です。

動作原理

プランジャーポンプ式ディスペンサーの動作は、吸入工程と吐出工程の2つのサイクルで構成されます。それぞれの工程で何が起きているかを理解することで、この方式の特性をより深く把握できます。

吸入工程

吸入工程では、プランジャーがシリンダー内を後退方向に移動します。この動きによってシリンダー内部に負圧が発生し、吸入バルブが開いて液剤タンクから液剤が引き込まれます。このとき吐出バルブは閉じた状態を維持し、吐出口からの逆流を防ぎます。

プランジャーの後退量(ストローク)とシリンダーの内径によって、吸入される液剤の体積が決まります。この関係は幾何学的に一定であるため、プランジャーの移動距離を精密に制御することで、吸入量を正確に設定できます。

吐出工程

吐出工程では、プランジャーが前進方向に移動し、シリンダー内の液剤を押し出します。このとき吸入バルブは閉じ、吐出バルブが開いて液剤がノズルから吐出されます。

吐出量はプランジャーの前進量に比例するため、ストロークを調整することで1回あたりの吐出量を設定できます。また、プランジャーの移動速度を変えることで、吐出速度や吐出圧力を調整することも可能です。高粘度の液剤を扱う場合は、プランジャーの移動速度を遅くして十分な吐出圧力を確保するといった調整を行います。

バルブの役割

プランジャーポンプの動作において、バルブは重要な役割を担っています。吸入バルブと吐出バルブは、液剤の流れを一方向に制御し、逆流を防止します。バルブの種類としては、ボールバルブ、チェックバルブ、ロータリーバルブなどがあり、液剤の性質や求められる精度に応じて選定されます。

バルブの応答速度や密閉性は、吐出精度に直接影響します。高精度な塗布が求められる用途では、バルブの性能も含めた装置全体の設計が重要になります。

他の方式との違い

ディスペンサーには複数の方式があり、それぞれに特徴があります。プランジャーポンプ式の位置づけを理解するために、代表的な他方式との違いを整理します。

時間圧力方式との違い

時間圧力方式は、液剤タンクに一定の圧力をかけ、バルブの開放時間で吐出量を制御する方式です。構造がシンプルでコストを抑えやすい反面、液剤の粘度変化や残量変化の影響を受けやすいという特性があります。

一方、プランジャーポンプ式は機械的に容積を計量するため、粘度や残量の変化に対して吐出量が安定しています。高い繰り返し精度が求められる工程では、プランジャーポンプ式が選ばれることが多くなります。ただし、構造が複雑になる分、導入コストやメンテナンス頻度は時間圧力方式より高くなる傾向があります。

スクリューポンプ式との違い

スクリューポンプ式は、スクリュー(らせん状の軸)の回転によって液剤を連続的に送り出す方式です。連続吐出やビード塗布に適しており、長い塗布パターンを形成する用途で力を発揮します。

プランジャーポンプ式は、1ショットごとの定量吐出に優れています。点塗布や、決まった量を正確に塗布する用途に適しています。スクリューポンプ式が「流量」を制御するのに対し、プランジャーポンプ式は「体積」を制御するという違いがあります。

ジェット方式との違い

ジェット方式は、液剤を高速で射出して非接触で塗布する方式です。ノズルをワークに接触させる必要がないため、高速塗布や段差のあるワークへの塗布に適しています。

プランジャーポンプ式は、接触式・非接触式のどちらにも組み合わせることができますが、基本的には計量部としての役割を担います。ジェット方式の計量部にプランジャーポンプを採用している装置もあり、両者は必ずしも排他的な関係ではありません。

適した用途と液剤

プランジャーポンプ式ディスペンサーは、その特性から特定の用途や液剤に適しています。導入を検討する際の参考として、代表的な適用例を紹介します。

適した用途

プランジャーポンプ式は、塗布量の精度と繰り返し性が求められる用途に適しています。具体的には、電子部品の接着・封止、半導体パッケージへのアンダーフィル材塗布、基板への接着剤塗布、光学部品の固定などが挙げられます。

また、1ショットあたりの吐出量を細かく設定できるため、微量塗布が必要な精密部品の組立工程でも活用されています。ストロークの調整により、少量から比較的多量まで幅広い吐出量に対応できる点も特徴です。

適した液剤

プランジャーポンプ式は、低粘度から中粘度の液剤に広く対応できます。シリコーン系接着剤、エポキシ系接着剤、UV硬化樹脂、シアノアクリレート系接着剤など、多様な液剤に使用されています。

高粘度の液剤も扱えますが、プランジャーの駆動力やバルブの設計によって対応範囲が変わります。また、フィラー(充填材)を含む液剤の場合は、フィラーの沈降やバルブ部での詰まりに注意が必要です。フィラー入り材料を扱う際は、撹拌機能や専用バルブを備えた装置を選定することが推奨されます。

導入時の検討ポイント

プランジャーポンプ式ディスペンサーを導入する際は、吐出量の範囲、求められる精度、液剤の性質、タクトタイムなどを総合的に検討する必要があります。シリンダーの容量やプランジャーのストローク範囲は機種によって異なるため、塗布条件に合った仕様を選ぶことが重要です。

また、プランジャーやシリンダー、バルブなどの消耗部品は定期的な交換が必要になります。メンテナンス性や部品の入手性も、長期的な運用を見据えた選定ポイントとなります。

この記事のまとめ

  1. プランジャーポンプ式は、シリンダー内のプランジャーを往復させて液剤を計量・吐出する容積計量方式の代表的な構造である。
  2. プランジャーの移動量で吐出量を制御するため、粘度変化や環境温度の影響を受けにくく、安定した定量吐出が可能である。
  3. 時間圧力方式より高精度だが構造が複雑になり、スクリューポンプ式とは連続吐出と定量吐出という得意分野の違いがある。
  4. 電子部品の接着・封止や精密部品の組立など、塗布精度と繰り返し性が求められる用途に適している。
  5. 導入時は吐出量範囲、液剤の性質、タクトタイム、メンテナンス性を総合的に検討することが重要である。

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