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接着剤塗布を自動化する方法と手作業からの切り替えポイント
本記事では、自動化の方法や使用する装置、手作業から切り替える際の検討ポイントについて解説します。
手作業塗布の課題
接着剤の塗布作業を手作業で行っている現場では、さまざまな課題が生じています。これらの課題は製品品質や生産効率に直結するため、改善策として自動化が検討されるケースが増えています。
塗布量のばらつき
手作業による塗布では、作業者の技量や体調、疲労度によって塗布量にばらつきが生じやすくなります。塗布量が多すぎると接着剤のはみ出しや硬化時間の延長につながり、少なすぎると接着強度の不足を招きます。特に高精度が求められる電子部品や精密機器の組立では、このばらつきが製品不良の原因となることがあります。
作業者への依存
熟練作業者の技能に依存した工程では、その作業者が不在になると品質や生産性が低下するリスクがあります。また、技能の習得には時間がかかるため、新人教育のコストも無視できません。作業者ごとに仕上がりが異なる状況は、品質管理の観点からも望ましくありません。
生産性の限界
手作業では作業速度に物理的な限界があり、生産量を増やすには人員を増やす必要があります。しかし、人手不足が深刻化する中で、必要な人員を確保することが難しくなっています。また、単純な繰り返し作業は作業者の負担となり、長時間の作業では疲労による品質低下も懸念されます。
材料ロスの発生
手作業では塗布量の調整が難しく、必要以上の接着剤を使用してしまうことがあります。接着剤は材料コストに占める割合が高い場合もあり、過剰な使用は製造コストの増加につながります。また、可使時間(ポットライフ)のある接着剤では、使い切れずに廃棄するケースも発生します。
自動化のメリット
接着剤塗布を自動化することで、手作業が抱える課題の多くを解決できます。ここでは、自動化によって得られる主なメリットを解説します。
品質の安定化
自動化された装置は、設定された条件に従って一定量の接着剤を繰り返し塗布します。作業者の技量や体調に左右されないため、塗布量や塗布位置のばらつきを大幅に抑えられます。これにより、製品品質が安定し、不良率の低減につながります。
生産性の向上
自動化装置は人の手よりも高速かつ連続的に塗布作業を行えます。休憩や交代の必要がないため、稼働時間を最大限に活用できます。また、一人の作業者が複数の装置を管理することも可能となり、人員配置の効率化にも寄与します。
材料コストの削減
定量吐出が可能な装置を使用すれば、必要な量だけを正確に塗布できます。過剰塗布による材料の無駄を削減でき、材料コストの低減につながります。特に高価な接着剤を使用する工程では、この効果が顕著に現れます。
作業環境の改善
接着剤の中には揮発性の溶剤を含むものや、皮膚への付着を避けるべきものがあります。自動化により作業者が接着剤に直接触れる機会を減らせるため、作業環境の安全性が向上します。また、単調な繰り返し作業から解放されることで、作業者をより付加価値の高い業務に配置できます。
トレーサビリティの確保
自動化装置には塗布条件を記録・管理する機能を備えたものがあります。いつ、どのような条件で塗布したかを記録することで、品質問題が発生した際の原因追跡が容易になります。品質管理体制の強化や顧客への説明責任を果たす上でも有効です。
自動化の方法と装置
接着剤塗布の自動化には、いくつかの方法と装置があります。塗布対象や生産規模、求められる精度に応じて適切な方法を選択することが重要です。
卓上ディスペンサーによる半自動化
卓上型のディスペンサーは、作業者がワークをセットし、フットスイッチや手動トリガーで吐出を行う方式です。塗布量や塗布時間は装置側で制御するため、手作業に比べて精度が向上します。初期投資を抑えながら品質改善を図りたい場合や、多品種少量生産の現場に適しています。
ロボットとの組み合わせによる全自動化
ディスペンサーを産業用ロボットや直交ロボットと組み合わせることで、塗布作業を完全に自動化できます。ワークの搬送から塗布、次工程への受け渡しまでを無人で行えるため、大量生産ラインに適しています。塗布経路のプログラミングにより、複雑な形状への塗布にも対応できます。
インライン組み込み
既存の生産ラインにディスペンサーを組み込む方法もあります。コンベアで流れてくるワークに対して、センサーで位置を検出しながら塗布を行います。ラインの生産タクトに合わせた塗布が可能で、前後の工程との連携もスムーズです。
使用する装置の種類
接着剤塗布の自動化に使用される装置は、計量方式によっていくつかの種類に分けられます。時間圧力方式は、エアー圧力と吐出時間で塗布量を制御するシンプルな方式で、導入コストを抑えられます。容積計量方式は、プランジャーやスクリューなどの機械的な機構で液剤を送り出すため、より高精度な定量吐出が可能です。用途や求められる精度に応じて、適切な方式を選択します。
切り替え時の検討ポイント
手作業から自動化へ切り替える際には、事前にいくつかのポイントを検討しておく必要があります。導入後のトラブルを防ぎ、期待した効果を得るために確認すべき項目を解説します。
接着剤の特性把握
使用している接着剤の粘度、チクソ性(揺変性)、可使時間、硬化条件などを把握しておくことが重要です。高粘度の接着剤やフィラー(充填材)を含む材料は、対応可能な装置が限られる場合があります。また、2液混合型の接着剤では、混合比や混合方法も考慮する必要があります。
塗布パターンと精度要件
点塗布、線塗布、面塗布など、必要な塗布パターンを明確にします。また、許容される塗布量のばらつきや位置精度の要件も整理しておきます。これらの要件によって、適切な装置の方式やノズルの選定が変わってきます。
生産量と品種数
現在および将来の生産量、取り扱う品種数を考慮します。少量多品種の場合は段取り替えのしやすさが重要となり、大量生産の場合は塗布速度や連続稼働性が優先されます。生産計画の変動にも対応できる柔軟性があるかどうかも確認します。
既存設備との連携
自動化装置を導入する際は、既存の生産設備やラインとの連携を考慮します。設置スペースの確保、電源や圧縮空気の供給、制御系の接続など、現場の環境に合わせた検討が必要です。既存設備との信号のやり取りや、生産管理システムとの連携も確認しておきます。
導入後のサポート体制
装置の導入後には、調整やメンテナンス、消耗品の交換などが発生します。装置メーカーのサポート体制や、消耗品の供給体制を確認しておくことも大切です。また、社内での保守体制の構築や、操作教育の計画も検討しておきます。
この記事のまとめ
- 手作業による接着剤塗布には、塗布量のばらつき、作業者依存、生産性の限界、材料ロスといった課題があります。
- 自動化により、品質の安定化、生産性向上、材料コスト削減、作業環境の改善、トレーサビリティ確保といったメリットが得られます。
- 自動化の方法には、卓上ディスペンサーによる半自動化から、ロボットとの組み合わせによる全自動化まで、さまざまな選択肢があります。
- 切り替えにあたっては、接着剤の特性、塗布パターン、生産量、既存設備との連携を事前に検討することが重要です。
- 導入後のサポート体制や社内の保守体制についても、事前に確認・計画しておく必要があります。
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