ポリアリレート樹脂とは?
ポリアリレート樹脂は、特殊なスーパーエンジニアリングプラスチックの一種で、その透明性と耐熱性が高く評価されています。
この素材は、ポリカーボネート(PC)やポリメチルメタクリレート(PMMA)といった他の透明プラスチックと比較しても遜色ない透明度を持ち、約90%の光線透過率を誇ります。また、ガラス転移温度が193℃と非常に高い非晶性樹脂のため、低温-40℃から高温+180℃まで、広い温度域でその特性を維持します。
ポリアリレート樹脂の特徴
透明性
ポリアリレート樹脂は非常に高い透明度を持ち、約90%の光透過率を誇ります。ポリカーボネート(PC)やポリメチルメタクリレート(PMMA)と比較しても遜色ないレベルであり、光を通す必要がある用途に適しています。
耐熱性
ポリアリレート樹脂は連続使用温度が140℃に達し、荷重がかかった状態での耐熱性は175℃までサポートします。また、ガラス転移温度が193℃と非常に高く、これらの特性により、高温環境下での使用に非常に適しています。
機械的強度
ポリアリレート樹脂は高い機械的強度を持っています。特に、降伏伸度が高いことから、優れた耐衝撃性、耐クリープ性、耐磨耗性を発揮します。この特性により、物理的ストレスが頻繁にかかる用途にも長期間耐えることができます。
ポリアリレート樹脂の用途例
ポリアリレート樹脂は、非晶性のスーパーエンジニアリングプラスチックであり、透明でありながらも高い耐熱性を持っています。そのため、電気部品、照明機器、自動車部品などの分野で広く使用されています。
精密機器
ポリアリレート樹脂は透明性と耐熱性、機械的強度を兼ね備えているため、精密機器の部品や筐体に広く採用されています。特に、光学部品やセンサー類において、その透明性が重要な役割を果たします。
自動車部品
自動車産業では、ポリアリレート樹脂の耐熱性と機械的強度が求められます。エンジン周辺の高温にさらされる部品や、衝撃に強い内装材料としての使用が一例です。
機械部品
機械部品においては、ポリアリレート樹脂の耐クリープ性と耐磨耗性が特に価値を発揮します。長期間にわたる使用でも性能の低下が少ないため、産業機械や工具の部品に適しています。
医療機器
医療機器分野では、ポリアリレート樹脂の生体適合性と清浄な透明性が重視されます。滅菌処理が可能で、耐薬品性も高いため、使い捨ての医療用具や耐久性が求められる器具の材料として用いられます。
食品関連製品
食品関連製品においては、ポリアリレート樹脂の安全性が前提となります。食品用器具・容器包装ポジティブリスト(国PL)に適合・収載され、食品を直接触れる容器や機器の部品に使用され、その耐熱性は食洗機での洗浄にも対応します。
日用品
日用品では、ポリアリレート樹脂の耐衝撃性と美しい透明感が生活空間に溶け込む製品を提供します。家具の装飾から、耐久性が求められる収納容器まで、幅広い製品に応用されています。
ユニチカポリアリレート樹脂のご紹介
ユニチカのポリアリレート樹脂の代表的な製品は、精密機器・自動車・機械・医療・食品・日用品といった様々な用途に採用されているスーパーエンジニアリングプラスチック「Uポリマー®」です。
また、透明で、従来のポリアリレート樹脂より耐熱性が高く、溶剤溶解性にも優れる、新タイプのポリアリレート樹脂「ユニファイナー®」を新しく展開しています。
Uポリマー®
ユニチカが、自社技術のすべてを注ぎ世界に先駆けて工業化した、透明・高耐熱の、非晶性・熱可塑性スーパーエンジニアリングプラスチックです。
以下のような優れた特性を活かし、精密機器・自動車・機械・医療・食品・日用品といった様々な用途に採用されています。
透明耐熱
透明樹脂の中では最高レベルの耐熱性(荷重たわみ1.8MPaで177℃)を有しており、透明性はPC、PMMAと比較しても遜色なく、90%近い光線透過率を示します。
バネ回復性
許容歪み率が高く、バネとして使用可能な範囲が広い特性を持っています。また、クリープ性能にも優れており、バネとしての性能を長時間保持します。
耐候性
紫外線照射により、紫外線バリア性が向上するため、耐候性を付与するような添加剤の添加無しに、非常に優れた耐候性を示します。(黄変はしますが、物性、透過率等の低下は殆どありません。)
難燃性
難燃剤の添加無しでUL94 V-2(0.75mm)を取得しております。(標準グレード)
Pシリーズ|透明耐熱グレード
ニートポリマーであるU-100の特徴をそのまま生かし、さらに流動性、光学特性を向上させたシリーズです。
耐熱性をもつスーパーエンプラの中では数少ない透明ポリマーアロイであり、高い耐熱性を持ち、155~172℃のバリエーションを揃えています。
スーパーエンプラの中では、これほど透明な耐熱性樹脂は数少なく、貴重な存在と言えます。耐候性は良好で、特にP-1001はSAE規格(J576,J578)、FMVSS規格(108)を取得しています。
これらの特長を生かし、車載灯具のレンズ等にご使用いただけます。薄肉成形用品には高流動タイプP-1001A、P-3001Sもご用意しています。
特徴
透明性
耐熱性 荷重たわみ温度(大荷重1.8MPa)155~172℃
耐候性・紫外線バリア性
耐クリープ性・バネ特性
寸法安定性
衝撃強度
高靭性
用途例
ターンランプアンバーキャップ
補色キャップ
ターンテーブル
医療器具ケース
メスケース
蛍光ランプホルダー
傘骨
Uシリーズ|透明耐薬品グレード
非晶性樹脂の欠点とされている、オイルや薬品に対する抵抗力を改良したポリマーアロイです。透明で、類似構造の他樹脂に比べ良好な水蒸気バリア性を持っています。また、ブロー成形にも適しています。
特徴
透明耐薬品性 特に油、アルコール等
耐候性
ブレンドでのPET樹脂の耐熱向上
用途例
クシ
腕時計 日車
点鼻薬容器
耐熱圧ボトル
光電センサレンズ
携帯電話用カメラ マクロレバー
カメラ鏡筒
AXシリーズ|不透明耐薬品グレード
非強化で荷重たわみ温度が高く、結晶性樹脂と同レベルの耐薬品性を持つ不透明ポリマーアロイです。成形性に優れ、特にヒケ、ソリ、タオレの少ない成形品が得られます。
特徴
非強化耐熱:強化無しで150℃の荷重たわみ温度(1.8MPa)
耐薬品性:アルカリ以外はポリアミド樹脂と同等
接着性:結晶性樹脂と同等の耐薬品性と良接着性を併せ持つ
摺動性:ポリアミド樹脂と同等の摺動性
成形精度:ポリアミド樹脂に比べヒケ、ソリ、吸水が少ない
AXシリーズの複合グレード
ガラス強化グレード AXG-1500 シリーズ
耐熱性、耐薬品性に優れたAX-1500のガラス強化グレードです。剛性、寸法精度が良好で、ガラス繊維の浮きが少なく、たいへん良好な外観が得られます。
用途例 | 腕時計 センター |
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摺動グレード AXF-1500-05
耐熱性、耐薬品性に優れたAX-1500の摺動グレードです。摺動時の鳴き現象が著しく改善されます。
用途例 |
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高反射性グレード AX-1500W
AX-1500の特長を保持させ、これに酸化チタンを高濃度に配合したタイプ。光反射性、および遮光性を格段に向上させたディスプレイ専用銘柄です。耐熱性、耐薬品性に優れます。
用途例 | LEDリフレクター |
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Tシリーズ|透明耐熱グレード
Tシリーズは、最高で265℃のガラス転移温度(Tg)を誇りながら、透明性を有する他に類を見ない材料です。T-200は鉛フリーはんだリフローにも条件により対応可能であり、リフロー前後でも透明性を維持しております。射出成形工程にも適合し、様々な光デバイス用途への応用が期待できます。
特徴
耐熱性:最大265℃のガラス転移点温度
透明性:90%に迫る全光線透過率
密度:非晶性のスーパーエンプラ中で最も密度低く、1.1~1.2g/cm3
機械物性:降伏点を有し、靭性に優れる
技術サポート体制の充実:CAE樹脂流動解析、定量フィーダ付き真空脱気装置の活用
用途提案
センサレンズ | LED光源 |
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スイッチカバー | 照光スイッチ |
UNIFINER/ユニファイナー®
ユニファイナー®は、Uポリマー®の構造を基本に、いくつかの二価フェノールモノマーを適切に選択することにより開発された新タイプのポリアリレート樹脂です。透明で耐熱性が高く、溶剤溶解性にも優れる新素材です。
特徴
耐熱性 | 最高Tg 275℃(M-2000H)と従来の透明樹脂を大きく上回る耐熱性を有しています。 |
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溶剤可溶性 | シクロヘキサノン、トルエン等の汎用溶剤に溶解する銘柄もあります。 |
透明性 | ポリカーボネート樹脂と同等の透明性を有しており、流延法(キャスト法)で生産されたフィルムは、低レタデーション化も実現できます。 |
機械的特性 | 従来の透明樹脂には無い、優れた機械的強度(強靭性)を有しています。表面硬度は、鉛筆硬度で HB クラスと比較的高い表面硬度を有します。 |
耐候性 | ポリアリレート樹脂は、紫外線吸収能力が高く、耐候性に優れています。 |
ユニチカ株式会社について
ユニチカでは、スーパーエンジニアリングプラスチックとしてスタンダードなポジションを確立している「Uポリマー®」をはじめ、機能樹脂分野で活躍する「ナノコンポジットナイロン」や、バイオマス素材「ゼコット」など、高機能樹脂に注力しています。
会社概要
出展団体名 | ユニチカ株式会社 |
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所在地 | 〒541-8566 大阪府 大阪市中央区久太郎町4-1-3 大阪センタービル |
設立年月 | 1889年06月 |
URL |
ユニチカ株式会社
暮らしと技術を結ぶことによって社会に貢献する
それを実現するのは、ユニチカです。
暮らしと技術を結ぶことによって社会に貢献する
それを実現するのは、ユニチカです。
歴史を継ぎ、現在を支え、さらに未来へ。
私たちは「未来」に選ばれ続ける企業を目指します。
1889年、日本の近代産業の草創期に紡績会社としてスタートしたユニチカは、機能素材メーカーとして進化を続けながら、いま高分子技術を核として、より的確に現在から未来のニーズを捉えた活動を行うグローバル企業体へと変貌しています。
いつの時代もそうであったように、刻々と変化する社会情勢や環境問題の下で、技術によって人々の暮らしに貢献し、豊かな生活を支えていくという想いに変わることはありません。
手掛けるのは生活用品や産業活動、インフラ整備の質を根幹から高めていく素材、そしてそれらから生まれ未来を創っていくための製品群。
時には人の目に普段触れにくい意外な部分の素材で、時には暮らしにダイレクトに関わる製品として、私たちは現在から未来の生活と地球に選ばれる確かな答えを発信していきます。
出展団体名 | ユニチカ株式会社 |
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所在地 | 〒541-8566大阪府大阪市中央区久太郎町4-1-3大阪センタービル |
設立年月 | 1889年06月 |
URL | https://www.unitika.co.jp/ |