フッ素樹脂コーティングの課題
フッ素樹脂コーティングにはいくつかの課題が存在します。
まず、材料面ではフッ素樹脂の材料特性として、柔らかい点が挙げられます。製造現場によっては、コーティングしたフッ素樹脂皮膜が短期間で磨耗する事があります。
また、施工上の問題として、フッ素樹脂コーティングには高温処理やショットブラストが必要ですが、この点が問題となる場合があります。例えば、低融点の母材では軟化や溶融のリスクがあり、高い機械的精度が求められる母材では歪の発生が懸念されます。そのため、これらの条件下ではフッ素樹脂コーティングを実施するのは困難です。
「非フッ素樹脂コーティング技術」Aμcoat®
Aμcoat®(エーミューコート)は、上記フッ素樹脂コーティングにおける問題点を解決するために開発された、硬質系・非粘着コーティング技術です。フッ素樹脂を使用せず、硬質かつ非粘着性の高い表面を実現することができます。
Aμcoat®の特長
Aμcoat®(エーミューコート)は、ショットブラスト不要で母材の物理的・熱的歪みを解決する非フッ素樹脂コーティング技術です。従来のフッ素樹脂コーティングと比較して、以下のような特長があります。
9H以上の高硬度
一般的なフッ素樹脂の皮膜硬度は「引っかき硬度(鉛筆法)」による評価で2B〜2Hです。Aμcoat®では9H以上の硬度を実現しました。
高い離型性
一般的なフッ素樹脂のテープ剥離力が4.0〜7.5Nであるのに比べ、Aμcoat®は0.5Nと、高い剥離性を実現しています。
膜厚約1μm
フッ素樹脂皮膜の膜厚は10μmを超えますが、Aμcoat®の膜厚は1μm程度(推定値)です。
低温焼成
200℃以下で施工でき、金属以外の母材材料に対しても施工可能です。フッ素樹脂コーティングと比較して熱歪が発生する可能性が極めて低いです。
ショットブラスト不要
基本的に脱脂のみで、充分な密着力が得られます。その為、ショットブラストによる母材の物理的歪みが発生しません。
Aμcoat®の特長を活かした施工例
餅を用いたAμcoat®の非粘着性テスト
「Aμcoat®」の特長のひとつである優れた非粘着性を確認できるデモ動画をご覧いただけます。
母材: まな板 / 材料: PP
左半分に「Aμcoat®」を施工したポリプロピレン製まな板にお餅を押しつけて、非粘着性を確認します。
母材: 陶器皿 / 材料: セラミックス
陶器製の皿に「Aμcoat®」を施工し、お餅を押しつけて非粘着性を確認します。
母材: ナイフ / 材料: SUS304
ナイフ(SUS304)に「Aμcoat®」を施工し、お餅を切って、切れ味と非粘着性を確認します。