異種金属の接合:アルミワイヤハーネスの製造
「ワイヤハーネス」とは、自動車等に使用される電気配線網のことです。
従来は銅線と銅端子を接合して製造していましたが、最近アルミ線と銅端子という異なる金属を接合したアルミワイヤハーネスが注目されています。
アルミワイヤハーネスには主に2つのメリットがあります。
まず、アルミは銅の1/3の比重です。そのため、ワイヤハーネスの軽量化により、燃費の向上が期待できます。
また、アルミは銅の1/3の価格です。そのため、製品のコストダウンが期待できます。
シート状金属の接合:ベーパーチャンバーの製造
「ベーパーチャンバー」とは、パソコンやスマートフォンなどに活用されている熱放射・冷却部品のことです。
高熱伝導の薄い銅板で構成され、中の空洞に冷却液を入れて、注入口を気密封止接合し製造します。
加熱された冷却液が気化しベーパーチャンバー内を対流して低温部に移動することで、熱負荷を放散して液化し高温部に戻る仕組みで、熱を高速で拡散することできます。
異種金属やシート状金属の接合における課題
ISSUE 01:異種金属の接合における課題
ワイヤハーネスの製造に一般的に用いられる「融接」は、部材を加熱して溶融させ結合させる工法です。
この溶接方法だと、アルミワイヤハーネス製造時、アルミ線と銅端子の接合面にアルミと銅が混ざり合った金属間化合物層が生成されます。
金属間化合物層は強度がとても弱いため、ワイヤハーネスの品質に大きく影響してしまいます。
ISSUE 02:シート状金属の接合における課題
スマートフォンなどの薄型化が進んでいるため、ベーパーチャンバーに使用される銅板も薄型化が進んでいます。現在は0.25mmの電解銅箔が一般的ですが、今後は0.2mmの電解銅箔が開発されると言われています。
ここまで薄いと、TIG溶接などで生じる溶け過ぎによる気密封止不良が起こりやすくなってしまいます。
ベーパーチャンバーは中に冷却液を入れるため、気密封止不良は深刻な問題です。
金属接合の課題の解決策「超音波金属接合」
超音波金属接合とは、超音波振動エネルギーを利用した金属部品の接合方法のことです。
接合温度が、母材金属の融点の約1/3と低いため、他の金属溶接方法に比べて熱の影響を抑えることができます。
超音波金属接合では、まず金属同士を接触させることで、境界面で局部接触が生じます。
その後、超音波振動と加圧により局部接触箇所を起点として金属が擦れ合い、酸化皮膜や付着物が破壊・分散され、金属の新生面が露出します。
そして、塑性変形が促進し、金属原子間力が作用することで、固相状態で接合します。
超音波金属接合は、低温かつ短時間で溶接するため、「金属間化合物層の生成」を抑制することができます。よって、アルミワイヤハーネスなどの異種金属の接合に最適です。
また、固相接合のため「TIG溶接などで生じる溶け過ぎによる気密封止不良」を抑制することができます。ベーパーチャンバーなどの薄いシート状金属の接合にも適しています。
日本アビオニクス株式会社の超音波金属溶接機
当社の超音波金属溶接機は、加圧追従機構、高剛性加圧機構、高性能デプス制御などの機能を有しており、精度の高い接合が可能です。
また、グラフィックモニタ機能による簡単管理、液晶タッチパネルによる簡単操作、シリアル通信によるデータ設定・管理などの機能で、導入後の運用をサポートします。
- メッセージ
超音波金属接合は、アルミワイヤハーネスなどの異種金属接合や、ベーパーチャンバーなどのシート状金属接合の課題を解決し、製品品質の安定化を実現します。
超音波金属溶接機の導入に関するお問い合わせは、日本アビオニクス株式会社までご連絡ください。
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