金属イオン除去フィルター(Purifier)とは?
金属イオン除去の重要性
半導体市場の飛躍的な成長に伴い、半導体の性能も進化しています。高性能な半導体を製造するためには、より金属イオンが低減された高純度な半導体用薬液が求められます。
イオン交換による金属イオン除去の弊害
イオン状で存在している金属は異物除去を目的としたフィルターでは除去できません。
これまで、半導体製造で使われるフォトリソグラフィー材料においては、化学工業的あるいはイオン交換による金属イオン除去が一般的でした。しかし、イオン交換時に発生する酸により、様々な問題が生じます。
リソグラフィー化学物質における酸の問題
- エステル溶媒の加水分解
- ケトン溶媒におけるアルドール縮合反応
- 化学増幅型レジストの保護基の分解
- オニウム塩の分解
薬液組成が変化してしまうと、その薬液を使用する半導体デバイスの性能は損なわれてしまいます。イオン交換を用いた金属イオン除去にはリスクがあるため、フォトケミカル用の新しい金属イオン除去機構の開発が必要になりました。
イオン交換に代わる金属イオン除去メカニズムとは
イオン交換に代わる新たな金属イオン除去の方法として、「キレート構造」による金属除去が注目されており、フィルターメーカー各社が開発を進めています。
- キレートとは
キレート(chelate)という用語は、ギリシャ語でカニのはさみを意味するchelaに由来。金属イオンをカニのはさみで挟むようにして結合したものをキレート(錯体)と呼びます。キレート錯体は配位子が複数の配位座を持っているために、配位している物質から分離しにくい特徴があります。

現在、一般的にはこのキレート構造による金属イオン除去が、イオン交換に代わる方法として用いられています。
しかし、全ての金属に万能な金属イオン除去性能を発揮する製品を探すことは至難の業です。より高精度な金属イオン除去を目指すなら、ソリューションの引き出しは多い方が良いでしょう。
酸の問題を解決! 3つの金属イオン除去ソリューション
Cobetterでは、フォトケミカルにおける酸の問題を解決する、幅広い金属イオン除去ソリューションをご用意しています。
イオン交換に代わる金属イオン除去方法として注目されているキレートタイプのほか、Cobetter独自の金属除去機構を持つ2つのタイプをご提供。
お客様のご要望をお伺いし、溶媒に合った金属イオン除去フィルター(Purifier)をご提案いたします。
1.【独自開発】強酸を発生させない Nylonpolar
Nylonpolar(ナイロンポーラー)は、Cobetterの独自技術で開発された金属イオン除去フィルター(Purifier)です。
Nylon基膜にカルボキシル基を放射線グラフト重合で修飾。スルホン酸基を使わず、イオン交換を避けたタイプの金属除去メカニズムのため、酸を発生させません。

2.【独自開発】発生した酸を即座に除去する MGS2M
MGS2M(エムジーエス2エム)も、Cobetterの独自技術を用いた金属イオン除去フィルター(Purifier)です。2段膜構成で、発生した酸を即座に除去します。
MGS2Mの膜構成
1段目:イオン交換により金属イオン除去を行う膜
2段目:発生した酸を即座に除去する官能基を持つ膜

3.【注目技術】酸性基を使用しないキレートタイプ PGC
PGCは、業界でも注目されているキレートタイプの金属イオン除去フィルター(Purifier)です。

キレートの種類
Cobetterでは3種類のキレートを修飾した製品をラインナップ。複数の官能基を組み合わせた複合膜の製造も可能です。
安心の 品質/コスト/納期
半導体の性能向上に伴い、金属イオン除去の必要性が高まっています。その一方で、消耗品である金属イオン除去フィルターのコストは抑えたいものです。Cobetterは業界最高峰の精度での濾過・精製を実現しながら、コスト面においても、お客様からご評価いただいています。
また、半導体需要が高まるなか、新型コロナウイルス感染拡大や材料不足の影響もあり、金属イオン除去フィルターを含むフィルター製品全般の納期遅延が業界で問題になりましたが、Cobetterであれば安定した製品提供が可能。
品質・コスト・納期 の安心感から、他社製品からの切り替えをご検討されるお客様も多くいらっしゃいます。
よくあるご質問
- ライナップにないものは対応できませんか?
- ラインナップの機能膜をベースに組み合わせることが可能です。開発品などもございますので、お気軽にお問合せください。
- どのような課題点を抱えている場合に有効でしょうか?
- 薬液原料や製品から金属除去を行いたい / 半導体材料からのメタル低減を実現したい お客様に推奨の金属イオン除去フィルター(Purifier)です。
会社概要
- Cobetterの由来とミッション
Cobetterは、各種精密ろ過膜、ナノファイバー、限外ろ過膜の研究開発により、世界中の半導体集積回路製造およびバイオ製薬産業に革新的なろ過・精製ソリューションを提供する世界最先端の技術を有するグローバル企業です。
中国は浙江省杭州に本社を置き、中国上海、日本、韓国、台湾、シンガポールの5箇所に子会社を置き、106カ国にわたる28000社以上の顧客にサービスを提供しております。日本コベッタは2019年2月に設立された現地法人の一つであります。
現在、グローバルの従業員は5000人規模に拡大。革新的なろ材開発を積極的に進め、数百に及ぶ特許を取得しております。
ろ材開発からフィルター生産、ハウジング及びろ過システム全体の設計・製造・分析検証までの一貫したサービス体制を有しています。多様な製品ラインナップと高い技術力で、お客様のニーズに迅速に対応し、卓越したろ過ソリューションを提供します。