エッチング装置とは、主に半導体の製造ラインで、エッチング加工をするための装置です。半導体は、スマートフォンや家電などに使用されているものであり、わたしたちの生活に欠かせない存在です。
この記事では、エッチング装置の種類、構造、導入のメリット・デメリットなどをお伝えします。
エッチング加工とは、加工対象物の表面の、不要な部分を除去する加工法のことです。
エッチング装置は、エッチング加工を行うための産業用装置であり、大きく分けて、ウェットエッチング装置とドライエッチング装置の2種類があります。
ウェットエッチングでは、薬液を使用し、膜を溶かして加工を行います。
ウェットエッチングでは、アルカリ薬液や酸を使用します。これは、半導体製造で使用する薬液としては比較的安価であるため、コストを抑えた製造が可能です。
ウェットエッチングでは、一度に数十枚もの処理が可能であるため、加工のスピードが速く、生産性が高いという特徴があります。
条件によって異方向に進めるケースもありますが、基本的には一方向に進むため、垂直方向の加工ができないというデメリットがあります。
また、1マイクロメートル程の加工が限界です。
現在、半導体の製造ではナノメートルレベルの精度が求められているため、一部のケースを除いてウェットエッチングは使用されておらず、ドライエッチングが主流となっています。
ドライドライエッチングは、薬液を使用しない加工方法です。真空の状態でガスをプラズマ化し、イオンをぶつけて加工する「プラズマエッチング」が一般的です。
ドライエッチングでは、一枚ずつしか処理ができないため、ウェットエッチングと比べると生産性が低いという特徴があります。
数十ナノメートルからの加工が可能であるため、微細な回路のパターンにも対応できます。また、精度は年々向上し、10ナノメートル以下の加工も実現しています。
エッチング装置の価格は非公開とされている場合も多いため、想定となりますが、相場は数百万円から数億円であると言われています。
経済産業省のデータによると、2021年度の半導体製造装置における日本のシェアは、アメリカに次ぐ第2位で31%です。
2011年、日本のシェアは35%を超えていましたが、海外メーカーが存在感を示していることもあり、厳しい競争が起こっています。
そのため、日本メーカーのエッチング装置の販売額は、拡大を続ける見通しとなっていますが、世界シェアは低下傾向にあります。
世界シェアの巻き返しのためには、半導体の性能を高める技術を開発し、海外メーカーとの差別化を図る必要があると考えられます。
プラズマを使う半導体製造装置は、共通して以下の構造となっています。
・プロセスチャンバー
内部は真空で、材料を入れて加工を実行するための装置です。
・真空システム
プロセスチャンバー内を真空状態にするための装置です。
・高周波電源
プロセスチャンバー内に低温プラズマを発生させるためには、高周波電波が必要であり、そのための装置です。
・ガス供給系
チャンバー内に反応ガスを供給するためのボンベ・配管です。
・機構部
チャンバー内に材料を投入するためのロボットです。
・制御系
安全を監視したり、装置全体をコントロールしたりするためのシステムです。
ここでは、エッチング装置導入のメリットを2つご紹介します。
半導体製造では大量生産が求められるため、エッチング装置を導入することで、生産性が向上します。また、生産性の向上により、売り上げのアップも期待できます。
近年、電子機器は高機能化しているため、エッチングもより微細な加工が求められています。最新のエッチング装置を導入すれば、高品質の製品を製造できるため、市場のニーズに応えられます。
エッチング装置導入のメリットは大きいものですが、デメリットも存在します。
ここでは、そのデメリットを2つご紹介します。
最新機種ほど装置は大きく、場所を取ってしまいます。導入を決定する前に、設置場所や床の耐荷重を確認しておきましょう。
特に、ドライエッチング装置は、真空状態を作り出すため大がかりなものになり、導入費用はウェットエッチング装置の2倍とも言われています。
さらに、最新の装置は精度が上がっているため、億単位で導入費用がかかることも少なくありません。
エッチング装置には、ウェットエッチング装置とドライエッチング装置があり、現在はほとんどのケースで、ドライエッチング装置が使用されています。
エッチング装置を導入することで得られるメリットとしては、生産性や品質の向上などが挙げられますが、導入コストがかかり、装置が場所を取るというデメリットもあります。
目指している品質と、導入コストが釣り合っているかどうかをよく検討し、導入を決定すると良いでしょう。