レーザーカット(レーザー切断)は、レーザーの光を使って材料を加工します。
この記事では、材質別に適したレーザーカットについて、加工機の購入やレーザーカットサービス・持ち込みなどについて紹介します。
レーザーカットは材料を切断したり、穴をあけたりするレーザー光を使った加工です。レーザー切断・裁断と呼ばれることもあります。
レーザーの光をあてることで、材料を蒸発させたり溶解させながらカットします。
大きく分けて非金属素材はCO2レーザー加工機、金属素材はファイバーレーザー加工機が向いており、レーザーカットには種類があります。
それぞれの特徴を以下にて解説します。
機種により異なる場合がありますが、基本的なレーザーカットの手順は以下です。
レーザーカット用のデータは、CADソフトやグラフィックソフトを使用して作成します。外注やデータ持ち込みの場合は、入稿データの仕様をあらかじめ確認しましょう。
レーザーの出力値設定は、素材への負荷や仕上がりにかなり影響するため重要です。
同じ素材でもレーザー出力によって全く違った結果になる場合がありますので、可能であればテスト加工を行い、事前に仕上がりをチェックできると安心です。
カッティングテーブルに材料を設置する際は、素材によって注意が必要なものがあります(プラスチックなど)。レーザーの跳ね返りによって素材に傷がつく場合がありますので、加工前によく確認します。
革などの素材は焦げやすく、切断後の後処理が重要な場合があります。
後処理を楽にする工夫(あらかじめマスキングテープで保護するなど)もありますので、事前にレーザーカット完了までの過程をイメージしてみましょう。
材料別にレーザーカットの特徴をご紹介します。
材料が紙・ペーパーのときは、テスト加工で仕上がりを確認することが重要です。理由は、紙の種類によってレーザーカット後の焦げ・変色がどの程度なのかが異なるからです。
紙・ペーパーの選定と、適正なレーザー出力値を算出することに注力しましょう。
木材は天然素材ですので、ひとつの板の中に柔らかい部分と固い部分が混在していたり、自然の生み出す差や木材のクセがあったりします。
同じ種類の木材でも産地・伐採時期などにより品質が異なりますので、テスト加工が重要です。
合板(ベニヤ板など)は品質のばらつきが少なく均一性があるため、レーザーカットに向いています。
木材はレーザーカットを行うと粉塵とヤニが発生しますので、品質を損なわないよう適正なエアーを吹きかけて加工作業を行いましょう。
エアーが少ないと発火の危険なども伴います。
彫刻面を粉塵やヤニから守る方法として、マスキングテープを使った養生、水張りなどがあります。(※水張り…濡れると膨張し、乾くと収縮する木材の性質を利用した養生の方法)
ステンレス・アルミ・銅・真鍮・軟鋼などといった金属もレーザーカットができます。
プレス加工と比較すると切断面のバリ・ダレが抑えられ、後処理の時間が少なく済むことがメリットです。切断、マーキング、印字、彫刻といったさまざまな用途に使われます。
CO2レーザー加工機では向いていない素材(銅やアルミなどをはじめとする金属)は、ファイバーレーザー加工機がおすすめです。
光ファイバーを媒質とし、高出力・ピンポイントのレーザーを照射できます。
加工機自体は高額なものの、エネルギー効率がよくレーザーガスが不要など、ランニングコストと初期費用のバランスを考えて検討しましょう。
革をレーザーカットする際は、加工部分の焦げ付きに注意します。後処理の際に汚れを広げないため、マスキングテープで養生してからレーザーカットすることをおすすめします。
種類の多い本革では、性質が素材によって異なりますので、テスト加工をおこないましょう。
合皮は、本革に比べると後処理が楽なのでレーザーカットに向いています。合皮にはPVC(ポリ塩化ビニル・塩ビ)/PU(ポリウレタン)の2種類がありますが、PVCはレーザーカットできませんのでご注意ください。
布には天然繊維と合成繊維があります。天然素材は焦げや変色の発生を抑えるため、レーザー出力値を弱めるか、エアーを強くあてるようにします。
ポリウレタン、ポリエステルなどの合成繊維はレーザーカットに適した素材です。出力値を強くし過ぎないようにしましょう。
プラスチックやアクリルのレーザーカット時には、レーザーの跳ね返りによって素材に傷をつけないようカッティングボードから素材を浮かせた状態でカットします。
切断面が美しいレーザーカットで、プラスチックやアクリル素材もきれいに加工できます。
レーザーカット(レーザー切断)のメリットとデメリットをご紹介します。
加工したい材料の素材やレーザーカットの種類、生産量などに合わせたレーザーカットを検討しましょう。
レーザーカット(レーザー切断)では、加工機を導入する際に合わせて検討すべきコストがあります。以下にて解説します。
加工機本体以外の周辺機器
・パソコン
・(輸入機械の場合)昇圧機(電源トランス)
オプションとして一般的な周辺機器
・カッティングテーブル
・エアーコンプレッサー
・集塵脱臭装置
ランニングコスト
・電気代
・メンテナンス費
・レーザー発振器交換費用
・集塵脱臭機用消耗品(パーツ)など
生産量や使用年数・頻度などに合わせて初期費用とランニングコストのバランスを考えることがポイントです。
レーザーカットはあらゆるシーンで活用されているため、さまざまなサービスがあります。
自身で加工機械を購入する以外に、オンライン加工サービスやデザインデータを持ち込んでレーザーカットを依頼するサービスなどもあります。
機械購入はコストは大きいものの自由度が高く、思いのままに使えます。
加工サービスはサービス内容をよく確認しましょう。修正の場合の費用や作業場の利用料といった一見隠れた費用に注目することも大切です。
小物1点から持ち込みを受けているサービスも増えてきています。見積りや納期などをよく確認してサービスを選択しましょう。
材質や生産量など、様々な条件によって適したレーザーカット方法を選定し、仕上がりを想定した出力設定をすることが重要です。
レーザーカット加工機の導入の際には、初期費用の他にかかるランニングコストを含めた試算を行い、自身にとって使いやすいかどうかを含めた検討が必要です。
最適なレーザーカット(レーザー切断)で美しい製品を作り出しましょう。