ポリマーという名称はよく耳にしますが、具体的にはどのようなもので、樹脂やプラスチックとは異なるものなのでしょうか?
今回は、そのような疑問にお応えするために、ポリマーの概要や樹脂・プラスチックとの違い、代表的な種類について解説します。実社会におけるポリマーの活用事例やおすすめの関連製品についても紹介していますので、ぜひ活用を検討中の企業様は参考にしてみてください。
このような方におすすめです
・ポリマーの概要や樹脂 / プラスチックとの違いについて知りたい方
・ポリマーの種類と各特性について知りたい方
・ポリマーに関連するおすすめ製品について知りたい方
ポリマーとは、多数の繰り返し単位からなる高分子化合物のことを指します。2つ以上のモノマー(ポリマー・プラスチックを構成する最小の単位)が重合反応してできる化合物であり、多数のモノマーが数多く連なって形成された高分子です。
ポリマーの合成方法は、反応条件やモノマーの種類によって異なります。また、合成方法によって得られる高分子の性質も異なるため、目的に応じて適切な合成方法を選択する必要があります。
「ポリマー」「樹脂」「プラスチック」はしばしば混同されることがありますが、以下の大まかな違いがあります。
・ポリマー: 重合体の一種
・樹脂:素材
・プラスチック:成形品
樹脂は、もともとは自然から得られる樹液が固まった物質を指していましたが、近年では、人工的に合成された「合成樹脂」というものが登場し、合成樹脂を単に「樹脂」と呼ぶこともあります。
この言葉はもともと天然の材料も含んでいましたが、日本の規格であるJISでは「プラスチックの原料」として定義されているため、主に素材としての意味が強調されています。
樹脂は原材料として用いられ、通常はポリマーが組み入れられることで成形される製品であり、一般的に「合成樹脂」という用語は主に「プラスチック」を指すことが一般的です。
JIS(日本産業規格)によれば、「必須の構成成分として高重合体を含みかつ完成製品への加工のある段階で流れによって形を与え得る材料。」として用語定義されており、つまり、定義の中には「ポリマー」が含まれており、可塑性があり形状を変えることができる材料は一般的に「プラスチック」と見なされます。
ポリマーの特徴として、以下のようなものが挙げられます。
ポリマーは、成形加工や射出成形などの方法で容易に加工することができます。また、成形後に加熱することで再成形することも可能です。
ポリマーは、低密度であるため、軽量であるという特徴があります。たとえば、セルロースナノファイバーは、軽量・高強度を特徴とするバイオマス由来のポリマーです。
ポリマーは、強度が高く、耐久性に優れています。また、ポリマーの強度は、単量体の種類や分子量によって異なります。
ポリマー(合成樹脂)の分類には様々なパターンがありますが、加工の特性に基づいて「熱可塑性樹脂(プラスチック)」と「熱硬化性樹脂」の二つに大きく分類されます。
熱可塑性樹脂は、加熱によって形状を自由に変えることができ、冷却すると硬化します。これは、熱可塑性樹脂の分子が「長い紐のような構造で絡み合っており、熱によってこの絡み合いが解ける」という性質に起因しています。この特性により、何度も形状を変えることができ、リサイクルに適しています。
熱可塑性樹脂は、さらに汎用プラスチック、エンジニアリングプラスチックの2つに分類されます。
エンジニアリングプラスチック(エンプラ)は、耐熱性や強度が求められる場面でも柔軟に利用できるように改良されたプラスチックのことで、略してエンプラと呼ばれます。エンプラは、金属代替で使用できるプラスチック樹脂とも言われており、汎用エンプラ、エンプラスーパー・エンプラ、特殊エンジニアリング・プラスチックなどの種類があります。
成形加工や射出成形などの方法で容易に加工することが可能です。また、リサイクルされることで、最後まで人々の暮らしに役立っていることも知られています。
汎用プラスチックとは、一般的な熱可塑性樹脂のプラスチックで、加工しやすく、価格が比較的低いものを指します。熱変形温度が100℃未満で、引張り強さや耐衝撃性がエンジニアリングプラスチックよりも低い傾向があります。
エンジニアリングプラスチックに比べて物性が劣るため、使用用途によっては適していない場合もあります。しかし、安価で加工しやすいため、多くの製品に使用されています。
熱硬化性樹脂は、加熱によって硬化する特性を持ち、一旦成形されたら再び柔らかくすることはできません。この種の樹脂は、分子構造が三次元または網状であり、自由な形状変化が制限されています。熱による変形がないため、熱に強く、また接着性に優れており、熱可塑性樹脂とは異なる用途で使用されています。
ポリマーは実社会において様々な分野で活用されています。
プラスチック製品 | ポリマーは、プラスチック製品の原料として広く使用されています。プラスチック製品は、家庭用品、工業製品、医療機器、自動車部品など、様々な分野で使用されています。 |
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生分解性プラスチック | 生分解性プラスチックは、環境に優しいプラスチックとして注目されています。生分解性プラスチックは、土壌中の微生物によって分解され、二酸化炭素や水に戻るため、環境に負荷をかけません。 |
バイオマス由来ポリマー | バイオマス由来ポリマーは、石油由来のプラスチックに比べて、環境に優しく、再生可能な資源として注目されています。バイオマス由来ポリマーは、生物由来の原料を使用して作られており、環境に負荷をかけません。 |
形状記憶ポリマー | 形状記憶ポリマーは、温度や光などの刺激によって形状を変化させることができるポリマーです。形状記憶ポリマーは、医療機器や自己修復材料など、様々な分野で使用されています。 |
積層ポリエステルフィルム | 積層ポリエステルフィルムは、高い透明性や耐熱性、耐久性を持ち、食品包装材料や電子部品など、様々な分野で使用されています。 |
製品名 | 特徴 |
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AegisCoat(イージスコート) | 電子部品・電子基板の防湿・絶縁を目的とした常温速乾のフッ素コーティング剤です。 |
プラスチック添加剤 「PLAFIT™」 | 植物由来の天然資源「ロジン」等を原料に使用したプラスチック添加剤です。 |
Cora5001・MCReシリーズ | 固有の化学的な特徴から迅速かつ確実に物質を識別するラマン分光計です。 |
バイオマスナノファイバー「BiNFi-s(ビンフィス)」 | 人にも環境にも優しい、セルロースナノファイバーです。 |
AegisCoat(イージスコート)は、弊社オリジナルのフッ素ポリマーを安全性・乾燥性に優れる不燃性のフッ素溶剤に溶解させた、常温速乾の高機能フッ素コーティング剤です。
フッ素の高い撥水力で、湿度・結露・錆などから実装基板・電子部品を強力に保護します。使用されているフッ素溶剤は消防法の危険物に非該当で安全性が高く、防爆設備や危険物倉庫が不要です。
工業用製品としてすでに多くの大手エレクトロニクス・メーカにおいて採用実績があります。
PLAFIT™とは、植物由来の天然資源「ロジン」等を原料に使用したプラスチック添加剤です。
薄肉、低温、高分子量プラスチック、フィラー高充填のプラスチックの 射出成形に適用できるほか、ポリマーアロイやフィラーを配合したプラスチック複合材料の物性を向上します 。
プラスチック特有の性質を持たせるには、高度に架橋された分子構造、安定剤、色、添加剤などの処方が必要です。
アントンパールの分析装置を用いれば、適切な構造特性の分析が可能です。
BiNFi-sは、セルロース、キチン、キトサン、シルクなどの生物由来原料を、スギノマシン独自の「ウォータージェット製法」で、ナノレベル(直径10~20nm、長さ数µm)に解した、「超・極細繊維素材」のシリーズです。
一般的には、原料によって「セルロースナノファイバー(CNF)/ナノセルロース」、「キチンナノファイバー」、「キトサンナノファイバー」、「シルクナノファイバー」などと呼ばれています。
近年、国内外で応用開発・研究が盛んに行われており、製品化も進んでいます。
今回はポリマーを主要なトピックとし、樹脂やプラスチックとの差異、および社会での一般的な用途について紹介しました。ポリマーはその特性によって、プラスチック製品・生分解性プラスチック・バイオマス由来ポリマー・形状記憶ポリマー・積層ポリエステルフィルムなど、多くの分野や製品に活用されています。
evortでは、ポリマーに関連するおすすめ製品を多数掲載していますので、活用を検討中の企業様はぜひご覧になってみてください。