ナイロン樹脂(ポリアミド樹脂)とは?
ナイロン樹脂は、プラスチックの中でも知名度が高く、ポリアミド樹脂とも呼ばれます。
この樹脂は、炭素鎖の間にアミド結合(-CONH-)を持つ高分子化合物です。1930年代に発明されて以来、その優れた特性により幅広い産業で使用されており、服地から工業用部品まで、多岐にわたる用途があります。
ナイロン樹脂の特徴・メリット
ナイロン樹脂は、強度、耐摩耗性などの機械特性をはじめ、耐熱性、耐薬品性などの化学的特性にも優れており、自動車、電気・電子分野のみならず様々な用途で、製品の性能向上に貢献する素材です。
耐摩耗性
ナイロン樹脂が持つ顕著な耐摩耗性は、様々な用途でのその価値を高めます。具体的には、機械部品のギアやベアリングなど、連続的な摩擦や衝撃が加わる環境での使用に最適です。
製品の寿命が延長され、メンテナンスの頻度とコスト削減が期待できます。
高い強度
ナイロン樹脂の強度は、その軽量性と組み合わせることで、金属を代替する場合の選択肢として非常に魅力的です。
軽量でありながら、引っ張りや圧縮に強く、衝撃にも耐えることができるため、自動車の部品やスポーツ用品、さらには航空宇宙産業におけるコンポーネントに至るまで、広範なアプリケーションが存在します。
耐熱性
ナイロン樹脂の耐熱性能は、製品が高温環境下で長時間にわたってその特性を維持できることを保証します。
この特性は、エンジン周りの部品や電子機器のコンポーネント、キッチン用品など、温度の影響を受けやすい製品の信頼性を高める上で不可欠です。
ナイロン樹脂の種類
ナイロン樹脂はその多様な種類により、幅広い用途での利用が可能です。各種ナイロン樹脂は、独自の化学的構成を持ち、それぞれ異なる特性とメリットを提供します。
ナイロン6
ナイロン6はカプロラクタムを原料として製造されるポリアミド樹脂であり、ポリマーが溶融状態から冷却固化する過程で結晶化する性質を持っています。結晶化することにより、諸物性のバランスが取れる材料です。具体的には、機械的性質において高い靭性があり、脆性破壊がしにくく、また、摩擦摩耗に優れています。
化学的性質では、ガソリン、オイル、有機溶剤に強くガスバリア性にも優れており、難燃性もUL94V-2(一般グレード)です。
ナイロン66
ナイロン66は、アジピン酸とヘキサメチレンジアミンを原料として製造され、ナイロン6と比較して、さらに優れた耐熱性と機械的強度を持つことが特徴です。
これらの特性により、ナイロン66は高い強度と耐熱性が求められる工業用部品や自動車部品、電気・電子部品に広く使用されています。特に、エンジン部品やギアなどの摩耗に強い部品に適しており、長期間にわたる使用に対しても高い耐久性を発揮します。
また、ナイロン66は化学薬品に対する耐性も高いため、化学工業や医療分野での利用も見られます。
芳香族ナイロン
ポリフタルアミド(PPA)とも呼ばれ、ナイロン6やナイロン66の特徴を引き継ぎつつ、耐熱性を向上させ、吸水性を改善させています。
優れた成形性やフィラー配合による高強度化,靭性,耐摩耗性,低比重などから,自動車,電気電子部品を中心に幅広い用途で活用されています。
ユニチカナイロン樹脂のご紹介
ユニチカのナイロン樹脂は、長い歴史を通じて培われた高度な高分子技術と卓越した性能により、私たちの日常生活で広く使われるエンジニアリングプラスチックとして普及してきました。
この素材は、電子・電気部品から自動車部品、産業用資材、建築材料、日用品に至るまで、多岐にわたる分野で利用されています。
NANOCON®
ユニチカ・ナノコンポジットナイロン6“NANOCON®”は、ナノメートル(nm)サイズの層状珪酸塩を用いた強化樹脂です。
従来の、マイクロメートル(μm)サイズのガラス繊維や無機質フィラーを用いた強化材料とは異なる特長を有する複合材料です。
軽く、強度、剛性、耐熱性が高い
NANOCON®は、層状珪酸塩によるナイロン6樹脂の補強効率が高いため、従来よりもはるかに少ないフィラー添加量でも、高い剛性を示します。これにより成形品の軽量化がもたらされます。
吸水による寸法変化が小さい
NANOCON®は、層状珪酸塩とナイロン6分子鎖との相互作用が強いために、吸水に伴う寸法変化がタルク強化型に比べて小さく、寸法安定性に優れています。また、吸水速度が遅いのも特長です。
ガスバリア性に優れる
NANOCON®は、微分散した微細フィラーがガスバリア効果を発現するため、ガスの透過量がきわめて少なく、バリア性に優れることがわかります。当社独自のガスバリア性試験方法とその結果について記載します。
外観・色調に優れる
NANOCON®の層状珪酸塩は、ナイロン6分子鎖と同じオーダーの大きさであり、従来の複合材料と比べて、成形品の表面平滑性が高いため、高い光沢度を有しています。
層状珪酸塩の白色度が高く、NANOCON®自体が着色していなため、顔料の発色も良好です。
リサイクルが可能
NANOCON®は、100%リサイクルが可能です。一般的なガラス繊維強化の場合、リサイクルによるガラス繊維の折損が起こり、機械的物性の低下が避けられません。一方、フィラーである層状珪酸塩の大きさが非常に微細で、また、ナイロン6樹脂と静電的相互作用によって結合しているNANOCON®は、100%のリサイクルを繰り返しても、その性能に大きな変化はありません。さらに、フィラーは自然界に存在する粘土鉱物であり、かつ添加量が少ないため、焼却処理を行っても、ガラス繊維の場合のように焼却炉を傷めることはありません。
RUNシリーズ
RUNシリーズは結晶性と非晶性のナイロンをアロイしたベースポリマーに強化材を高充填した、新しいタイプのナイロン樹脂です。
ポリマーアロイ技術により、従来ガラス強化樹脂の欠点である“ソリ・外観不良”を抑えたユニチカ独自の複合材料で、自動車車両分野のみならず電気電子、機械分野に適応した性能をバランス良く併せ持つ材料です。
良外観
RUNシリーズは結晶性と非晶性、2種類のナイロンのポリマーアロイからなることを特徴としています。通常、強化剤を高充填したナイロン樹脂では結晶化速度が大きいために良い外観が得られにくいという欠点がありました。
そこで、RUNシリーズでは、結晶性と非晶性のナイロンをアロイすることにより、結晶化のスピードをコントロールし金型面への密着性を向上させ、外観の良い成形品を提供することを可能としました。また、80℃の低温付近においても良外観が出る材料です。
低ソリ性、低ヒケ性
RUNシリーズは、比容積の変化が小さく穏やかであるため、ソリやヒケの少ない、平滑な外観の成形品を提供することができます。
以下は、ガラス繊維60%強化品との比較から、温度と比容積の変化について示しています。
高強度、高剛性
強化材を高充填できるユニチカ独自のコンパウンド技術により、RUNシリーズは、エンプラの中でもトップレベルの強度・剛性を実現し、靱性とのバランスも良好です。
XecoT®
XecoT®(ゼコット®)は、ユニチカ独自の重合技術、コンパウンド技術をもとに開発した圧倒的高性能を備えた植物由来・芳香族ナイロン樹脂です。他社にない高い結晶性に由来する、高耐熱性、低吸水性、摺動性で、今までにない可能性を開拓する環境にやさしい理想の材料です。
従来のPPAとは一線を画す、圧倒的高性能
XecoT®は、共重合成分を含まないホモポリマーであるため、非常に高い結晶性を有しています。最大の特長である高結晶性が源泉となり、高耐熱性、低吸水性、摺動性など、従来の半芳香族ポリアミド(PPA)とは一線を画す、優れた各種性能を有しています。
高耐熱 | 高融点、耐リフロー、荷重たわみ温度が高い |
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高温特性 | 高温環境での機械特性が優れる |
低吸水 | 環境による物性変化・寸法変化が小さい |
摺動特性 | 低摩擦・低摩耗 |
耐薬品性 | 様々な環境下で使用可能 |
成形加工性 | ハイサイクル成形が可能 |
環境負荷低減 | 原料の一部が、バイオマス由来(最大56%) |
ユニチカ株式会社について
ユニチカでは、スーパーエンジニアリングプラスチックとしてスタンダードなポジションを確立している「Uポリマー®」をはじめ、機能樹脂分野で活躍する「ナノコンポジットナイロン」や、バイオマス素材「ゼコット」など、高機能樹脂に注力しています。
会社概要
出展団体名 | ユニチカ株式会社 |
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所在地 | 〒541-8566 大阪府 大阪市中央区久太郎町4-1-3 大阪センタービル |
設立年月 | 1889年06月 |
URL |
ユニチカ株式会社
暮らしと技術を結ぶことによって社会に貢献する
それを実現するのは、ユニチカです。
暮らしと技術を結ぶことによって社会に貢献する
それを実現するのは、ユニチカです。
歴史を継ぎ、現在を支え、さらに未来へ。
私たちは「未来」に選ばれ続ける企業を目指します。
1889年、日本の近代産業の草創期に紡績会社としてスタートしたユニチカは、機能素材メーカーとして進化を続けながら、いま高分子技術を核として、より的確に現在から未来のニーズを捉えた活動を行うグローバル企業体へと変貌しています。
いつの時代もそうであったように、刻々と変化する社会情勢や環境問題の下で、技術によって人々の暮らしに貢献し、豊かな生活を支えていくという想いに変わることはありません。
手掛けるのは生活用品や産業活動、インフラ整備の質を根幹から高めていく素材、そしてそれらから生まれ未来を創っていくための製品群。
時には人の目に普段触れにくい意外な部分の素材で、時には暮らしにダイレクトに関わる製品として、私たちは現在から未来の生活と地球に選ばれる確かな答えを発信していきます。
出展団体名 | ユニチカ株式会社 |
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所在地 | 〒541-8566大阪府大阪市中央区久太郎町4-1-3大阪センタービル |
設立年月 | 1889年06月 |
URL | https://www.unitika.co.jp/ |