めっき工程には多くの工程があり、金属の種類や製品の形状などによってやり方がが異なります。
本記事では、基本的な「めっき工程」の流れを解説するとともに、その工程管理の方法についてもご紹介いたします。
このような方におすすめです
・めっき工程の概要や原理について知りたい方
・めっき工程管理に関連するおすすめ製品に興味のある方
めっき工程の種類は大きく分けて2種類あり、電解質水溶液の使用有無で下記のように分けられます。
・湿式めっき(電解質水溶液を使用する)
・乾式めっき(電解質水溶液を使用しない)
湿式めっきとは、電解質水溶液に漬けながらメッキを施す方法のことです。現在、主流なのはこの湿式めっきです。
湿式めっきの代表例:電気めっき、無電解めっき、置換めっき
※本記事では「湿式めっき」の一種である「電気めっき」の基本的な流れをご紹介します。
乾式めっきとは、水溶液を使用しないで真空状態の中でめっきする方法です。一般的に、「真空蒸着めっき」と呼ばれています。
乾式めっきの代表例:物理蒸着、化学蒸着めっきなど
めっき工程は非常に複雑で、めっきの前後でも多くの処理を行わなければなりません。金属の電気めっき工程は、素材の種類やめっき金属の種類で異なりますが、基本的な流れは下記のようになります。
1. 前作業(素地加工、治具取り付けなど)
2. 前処理(酸洗い、電解洗浄、酸活性化など)
3. めっき
4. 後処理(中和、クロメート処理、変色防止、乾燥)
5. 後作業(治具取り外し、熱処理、検査・梱包など)
製品にあった装置・治具を選択し、セッティングします。装置は、めっきしたい製品の数や形状、もとめられるめっきの品質に応じて選択します。
この「前処理」はめっきの品質を大きく左右する、最も重要な工程で、多くの労力を費やします。
めっきの仕上がりをよくするには、めっきする製品の金属の表面の状態が非常に重要になります。製品の表面に少しでも異物があると、その部分はめっきされません。前処理では、めっきする製品の表面に付着したほこりや油分、錆・酸化膜などの異物を徹底的に除去します。
それぞれの異物は、除去方法が異なります。そのため、前処理ではさまざまな処理を行います。
アルカリ脱脂※(アルカリ性薬品を含む液に浸漬させる脱脂方法)、電解脱脂※(アルカリ脱脂液の中で電解を起こす脱脂方法)で除去します。
酸洗い※(塩酸または硫酸に浸漬)で表面を溶かして除去します。
※印の工程ではそれぞれ液を用いるため、製品に付着した液は水で都度洗い流します。
処理する素材の材質、加工歴、除去の難易度等によって、前処理で使用する酸・アルカリの種類や濃度、処理温度、処理時間等を変えます。
前処理が終わった後、製品を放置したらすぐに酸化膜を形成してしまいます。そのため、前処理終了後は即座にめっき工程に進みます。
目的に応じためっき処理を行い、製品の表面に各種の金属皮膜を析出させます。
多層めっきの場合、めっき工程を必要なだけ繰り返します。この工程でも液を用いるため、製品に付着した液は水で都度洗い流します。
後工程では、製品表面に残った微量のめっき液の除去や、耐食性を高めるため金属表面で化学反応を起こさせるクロメート処理、変色防止処理、水分除去を行います。
後処理工程でも液体を使用するため、水で洗い流す工程を都度挟み、最後に乾燥させます。
後処理では、製品の素材の種類によって、熱処理(ベーキング処理)や塗料・防錆材の塗布などを行います。
酸洗いやめっき中に水素を吸蔵する素材(炭素鋼など)は、熱を加えて水素を取り除く「ベーキング」という工程が必要です。素材やメッキの膜厚などに応じて、数時間〜数十時間加熱処理します。
後処理が終わった製品は、検査工程を経て梱包し、納品します。
めっき工程はその複雑さや工程の多さなどにより、現場のタスクは目白押しです。また、めっき作業は部品製造の最後の工程なので、短納期の依頼が多い傾向にあります。
だからこそ、工程管理は非常に重要になりますが、さまざまな理由で工程管理システムなどの導入が進まず、工程管理にお悩みをお持ちの企業も多いです。
めっき工程では、製品ごとに工程を変える必要があり、非常に複雑です。イレギュラー事案が多いのも、めっき業の特徴です。
そのため、融通のきかない一般的な工程管理システムでは、めっき工程を逐一管理することは難しい傾向にあります。
しかし一方で、めっき作業を発注したお客様から、どのような工程でめっき作業を行ったか確認されるなど、トレーサビリティを求められることがあります。そのため、何らかの方法で作業工程を記録し残しておく必要があるでしょう。
めっき作業は工程ごとの所要時間に幅があり、数十秒のものから数時間のものまでさまざまです。現場で逐一、設置されたパソコンを使って工程管理システムに情報を入力するのは非現実的だと感じる方も多いのではないでしょうか。
そのような理由から、進捗の見える化が難しいめっき工程ですが、お客様から進行状況の問い合わせがあった際に素早く対応するには、進捗を管理・共有するのも大切です。
めっき工程の現場には、図面や品名、図番が付いていない状態の製品が送られてくることがあります。図面がない場合には、手書きで製品のスケッチを起こして現物と図面・品番の紐づけを行う作業が発生します。
そのため、製品の情報などは、製品の現物と一緒に「紙」で管理するなど、アナログな管理方法を続けている現場も多いです。
複数種類の製品が一気に送られてきた際、全ての製品をスケッチ起こしするのは大変な作業です。また、製品の現物と一緒に紙の状態で製品情報や伝表を管理する場合には紛失のリスクがあり、最悪の場合、受注した証拠が自社に残らないといったケースもあります。
めっき工程における工程管理システムの課題を解決した製品、めっき工程管理支援システム「ミルメック」をご紹介します。
「ミルメック」は2022年11月に特許を取得した、めっき加工に特化した唯一の工程管理支援システムです。
本製品は、あるめっき会社様からこの効率の悪さを何とかしたいとご相談いただいたことをきっかけに誕生しました。
ミルメックであれば、現場の流れをシステムに合わせる必要もほぼないため、スムーズに導入可能。快適な進捗管理と、めっき作業を発注したお客様の信頼度向上に貢献します。
作業情報の項目は自由に設定でき、イレギュラー事案にも打ち換えだけで対応可能。ストレスフリーの管理が実現します。
受注登録はタブレット端末で完結。また、こまめな入力が難しい現場でも、タブレット端末で「作業開始」の入力さえしておけば、作業が進んでいることが確認できます。タブレット端末に入力した情報は、クラウドサーバーで一元管理できるので、進行状況がどこからでも確認可能。お客様からの進捗の問い合わせにも素早く対応可能できます。
入荷した製品の写真を撮るだけで、入荷/受注処理が完了。写真で管理できるので、手書きでスケッチを起こす手間も削減できます。
ミルメックでは、製品情報を写真・画像に紐づけて徹底的に管理する「画像追尾式」の工程管理を採用しています。
他の加工業で使われる一般的な生産管理システムにおいては、このような製品写真が必要ない場合がほとんどですが、めっき工程では製品を写真で管理できる「画像追尾式」の工程管理が非常に効果的です。
■受注登録が簡単にできている。写真付きデータで管理が格段に良くなった。
■仕事のたまり具合、残りがわかる。
■細かく管理してないが、作業が終わってるかどうかがわかって便利。
■信頼度、信用度が上がった。新規の取引につながっている。
■品名や図番がない品物(こんな形状?)の問合せにも“取引先” で検索して写真を確認して答えることができ、お客さんに驚かれる。事務所でわかるのも負担が減って大きなメリットに。
めっき工程の基本的な流れと、その工程管理に最適な製品をご紹介しました。
忙しいめっき工程の現場だからこそ、適切に工程を管理することで、スムーズな作業とお客様の信頼度向上を実現しましょう。