工程管理は生産管理と混合されやすいものですが、正確には生産管理の中に含まれる一種が工程管理になります。
つまり、製造現場における「工程」(特に品質や納期の把握、生産量の把握など)に密接した進捗把握・管理を指します。
工程管理を実施するのには様々な目的がありますが、主に以下の3点を製造現場にもたらすことができます。
製造現場にとって納期を守ることは最重要ミッションです。そのためには、在庫や材料・人員等のリソースを常に把握しておく必要があります。
そこで、工程管理を適切に実施しておくことにより、工程の進捗を計画的に見守ることができるのはもちろんのこと、材料の不足や欠員などのイレギュラーの事態にも備えることができます。
「生産性の向上」や「コストの削減」は常に製造現場に与えられた課題であり、実際の製造を行う作業者の頭を悩ませています。
しかし、”製造の状況を可視化”することができなければ、仮説を立て、改善案を実施することは困難です。そこで、状況を可視化し共有ができる工程管理を実施することで、生産効率の最適化に向けた打ち手を講じることができるようになります。
生産量が増加することにより発生し得る懸念点としては、品質のバラツキがあります。万が一、不良品が市場に流失してしまった場合は、企業に大きな影響を与える損失となりかねません。
しかし、工程管理を導入することにより、生産量増加に伴う必要なリソースを常に把握しておくことができるようになります。また、バッファを設けた工程管理は製造物の品質向上にも繋がります。
製造工程の無駄な部分を特定し改善することによって、製造原価を抑えることができます。
また、最適な原材料を可視化することができるため、在庫削減の効果も期待できます。
工程管理の実施手順は、計画立案(Plan)・実行(Do)・評価(Check)・改善(Action)に分けられます。
工程管理の適切な実施のためには、その上流にあたる生産計画の立案が欠かせません。生産計画はその計画期間の長さによって大日程計画・中日程計画・小日程計画に分けられますが、工程管理に深く結びつきがあるのは中日程計画と小日程計画になります。
まずは生産計画を基に各工程に必要なリソースを把握し、無理の無い計画を立てることが工程管理の第一歩です。
立案した生産計画を実施するのが次のステップとなります。実際は計画通りに生産を進めることができなケースも十分に起こり得るため、生産工程の進捗をしっかりと観察しておくことが重要です。
可能であれば、普遍的な課題点や急に発生したトラブルなど、問題的を種類別ごとに整理して記録しておくことが望ましいです。
計画の実行を見直し、評価します。前述したように記録した問題点を改めて可視化・共有し、具体的な改善案を立案します。
「変えなくて良い点」と「変えた方が良い点」を明確にすることで、生産工程の最適化に近づけることが可能です。
また、計画通りに生産が実現できていたとしても、製造品の品質が安定していなければ意味がないため、スケジュール以外の観点でも評価を行う必要があります。
問題点の解消に向けた改善策を実施します。全てを変えるわけではなく、生産向上に繋がると判断した「差分」を具体的な施策として導入していくことがポイントです。
また、実施した改善策の評価を改めて行い、それに対する新しい改善策を取り入れる必要があります。いわば工程管理をPDCAサイクルにのせることで、徐々にその精度を高めていきます。
従来の工程管理の方法は「紙面」や「ホワイトボード」、あるいは「Excel」を用いたものがほとんどでした。これらの手法にはそれぞれメリット・デメリットがあります。
メリット | 紙面やホワイトボードで工程の進捗を管理するメリットは、その場で目視によって情報を共有・更新ができる点にあります。また、紙とペンがあればすぐに更新ができるため、コスト面でも大きなメリットがあります。 |
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デメリット | しかしその一方で、現場にいない作業者には更新を伝えるのが困難なため、リアルタイムでの共有には向いていません。 |
メリット | Excelを用いることで複雑な状況をより分かりやすく可視化することができます。また、マクロを設定することによって手動での入力をある程度自動化できる強みもあります。 |
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デメリット | ただ、内容を編集できる人間が一人であるという点から、「共有」といった観点においては課題点もあります。 |
そこで、工程管理のデータを一元化できるシステムを導入することによって、変更点をスピーディーに共有することができます。工程管理を一元化できるシステムは数多くあるため、自社の製造現場で把握したい内容と、そのシステムの強みがマッチしたものを選択することが重要です。
工程管理の手法は前述したツールによる分類の他、工程表による分類もあります。ここでは、3種類の工程表の特徴をそれぞれご紹介します。
横線式は、各工程にかかる期間を横棒グラフで表したものです。上から下へ各工程の項目を列挙し、左から右へ時間を表示します。詳細の業務量や各工程間の相関関係を把握するのには向いていませんが、全体の大まかなスケジュール感を整理することが可能です。
曲線式は、工程が早めに進んだケース・工程が遅れたケースのそれぞれの進行を曲線でグラフ表示したものです。縦の軸は工程進捗、横の軸は時間経過を表します。進捗管理には適している工程表であり、進行状況を把握するには向いていますが、具体的な業務量を把握することには適していません。
ネットワーク式は、各工程の前後関係とフローを矢印で表示したものです。一つ一つの作業が終わるタイミングで、次に移るべき作業がパッと見で分かるため、作業スピードを向上させるのに向いています。
課題背景 | 複雑で多様な工程が現場に絡み合う状況の中で、それぞれの進捗を正確に把握することが困難になってきていた。その最も大きな原因は、工程管理の手法が各現場の責任者に依存している点だった。 |
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導入効果 | 各現場の実績(どのような作業を何時から何時まで対応したか)を収集し、生産管理システムによって進捗状況をガントチャートで可視化。どの工程がどれくらい遅れているかをブラウザで誰もが確認できるようになったため、工程の遅れに対して迅速に対応ができるようになった。また、各現場の責任者が作成した作業書をデータとして一元管理・収集していくことにより、工程改善に向けての打ち手が見えやすくなった。 |
課題背景 | 工程写真の管理方法・保存方法が属人化してしまっていた。そのことにより、情報を検索して引っ張り出す際の工数が年々高まってきており、管理者が抱える負担やストレスが問題となっていた。 |
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導入効果 | 工程写真のクラウド管理に特徴を持つ生産管理システムを導入。撮影した写真をクラウド上でタグ情報を紐付けて保存・整理ができるようになった。また、スマートホンで撮影をした場合は、その場でタグ付けアップロードができるため、写真整理にかける時間が大幅に削減された。 |
工程管理に生産管理システムを活用することによって、品質や納期の安定化をスムーズに実現しやすくなります。また、本記事でご紹介した、工程管理におけるPDCAサイクルもデータに基づいて実施できるようになるため、客観的な改善施策を講じられるようになります。ぜひ、従来の工程管理の手法とメリット・デメリットを比較して、生産管理システムの導入を検討してみてください。
これまでの生産管理システムは、管理者が一度決めたスケジュールに則って製造現場が動く「管理主導型」でした。それに対し、流動的・変則的な生産活動が求められる現場のために開発されたシステムが「現場主導型生産管理システム」です。
従来のトップダウン型の生産管理システムとは異なり製造現場主導で指示や計画を作成・変更できるシステムとなっており、本当の意味での見える化・生産効率の向上を実現できます。
本システムは機能別の部品から成り立っており、カスタイズや、他システムとの連携することを前提に作成されています。そのため、現在ご利用中の基幹システムやERPと連携してご利用頂くことが可能です。
サプライチェーン全体を見える化するツール
ホワイトボード型生産管理システムADAPはサプライチェーン全体を見える化するツールです。
営業・物流・製造・調達全ての部門で、同じ画面で編集できるから、スピーディーに、多品種少量・短納期対応ができます。
生産PC設備リプレースサービス
PC-98(MS-DOS、N88BASIC)やWindows2000、WindowsXPなどの古いパソコンを、
ソフトウェアやプログラムを変更することなくお使いの環境そのままWindows10へリプレースいたします。
「PCは古くて置き換えたいが、使用したいソフトウェアがWindows10に対応していない」
「設備はメンテナンスしていけばまだまだ使用できるが、PCの故障が心配」
「昔、設備を導入した時の担当者がいなくなり、リプレースしたいが何から手をつけてよいのか分からない」
といったお悩みを解決します。
「目標」「進捗」「改善」が視える! 生産状況をリアルタイムに表示する電子アンドン
IoTによる圧倒的な情報量・低価格の両方を実現!
作業者の目標意識向上による生産性アップに貢献します。また、サーバーの設置で各端末よりデータを自動的に収集し、リアルタイムな情報を集中管理できます。
「ダッシュボード」「データ解析」「生産指示」など豊富な機能により、さらなる業務改善をアシストします。
変更の多い 少量・短納期に対応した ものづくりを可能とします。
生産管理システムAPICTは基本モジュール(APICTLight)、生産管理モジュール、販売管理モジュールで構成されており、モジュール単位で“基本モジュール”だけの導入も出来ます。“基本モジュール”には生産スケジューラーFLEXSCHEとリレーショナルデーターベース(SQLExpress)が実装されており、APICTシステムの基本を構成いたします。
目的に応じたモジュール構成で導入していただけ、“基本モジュール”だけで工程管理システムとしてお使いになる場合、“生産管理モジュール”を追加して工場る管理システムとしてお使いになる場合、“販売管理モジュール”まで追加して、製造を主体とされる企業様の基幹システムとしてお使いになる場合等々が御座います。又オプション製品として“PPS(生産計画シート)”があり、ロット生産への対応が可能となっております。“APICT_WEB”ではAPICTと連携したタブレットシステム利用が出来、作業指示・資料参照・実績報告等々各種の現場端末としての機能をはたす事が出来ます。