エッチング加工とは? 加工の種類・利用用途や関連おすすめ製品をご紹介

金属に酸・アルカリ等の腐食液を吹き付けることで腐食や融解を施す加工方法をエッチング加工と呼びます。腐食性のある素材であれば基本的に加工を施すことが可能で、極薄・極小の金属板に対しても複雑なパターンを精度高く加工できるメリットを有しています。

この記事では、エッチング加工の概要、加工できる素材について、エッチング加工の工程について紹介しています。関連するおすすめ製品も掲載していますので、ぜひ参考にしてみてください。

このような方におすすめです

・エッチング加工の工程について知りたい方
・エッチング加工が可能な素材や加工例について知りたい方
・エッチング加工を提供するおすすめの企業を探している方

エッチング加工とは?

Etching Process 01

エッチング加工とは、金属に酸・アルカリ等の腐食液を吹き付けることで腐食や融解を施す加工方法であり、中世ヨーロッパで発明された歴史の長い加工技術です。

極薄・極小の金属板に対して複雑なパターンを精度高く加工できるという特徴や、加工できる金属の種類が多いという利点を持っています。現代の製造業分野では欠かすことのできない加工技術で、電子部品や医療機器など、様々な部品製造において活用されています。

短時間・低コストで加工を施せるメリットがある一方で、大量生産には向いていないというデメリットもあります。

エッチング加工のメリット

Etching Process Merit

エッチング加工には以下のような特徴・メリットがあります。

金型を作る必要がない

金属のエッチング加工では、金型の必要がありません。そのため、エッチング加工は一般的に迅速な加工が可能で、特に小規模な生産に向いています。

一方、金型を使用するプレス加工には、金型の制作に時間と手間がかかります。

複雑形状な加工を低コストで実現

エッチング加工は、複数の部位を一度に薬品で腐食・溶解させる方法で、このプロセスを通じて複雑な形状や多数の穴を持つ製品を効率的に製造できます。これにより、低コストで高度なデザインの製品を生産することが可能です。

変形が発生しにくい

腐食による溶解加工を行うエッチング加工は、非接触方式を採用しています。この特性により、プレス加工などで起こるバリ、カエリ、ひずみ、たわみといった問題が回避されます。このため、エッチング加工は薄板への加工や複雑な形状の製品への加工に適しており、高い精度が必要なデザインにも対応できます。

エッチング加工で加工できる素材

エッチング加工は腐食性のある素材であれば基本的に加工が可能で、特にステンレス・銅等の金属素材における精密加工に適しています。

エッチング加工が可能な材質 ステンレス、銅、鉄、ニッケル、ニクロム、モリブテン、チタン、アルミニウム、タングステン、その他

エッチング加工の工程

エッチング加工の製造工程についてご紹介します。

原画の作成 図面の内容をもとにCADソフト等を用いて原画を作成します。
金属板材の脱脂洗浄 ステンレスや銅等の金属材料を対象とした前処理です。脱脂洗浄処理を施して表面に付着した油分や汚れを取り除きます。最終的な仕上がりや品質にも影響があるため、必要な前処理工程となります。
レジストのラミネート 感光性を持った樹脂素材であるレジストを対象材料に焼き付けます。フォトレジストを表裏の両面に焼き付けることで、保護された部分がエッチングされなくなります。
露光でパターンを焼き付け 原画をラミネート上に載せて露光をし、原画に作画したパターンを材料に焼き付けます。精密なパターンの再現、かつ、品質性の担保のためにクリーンルームでの作業が求められます。
現像処理 パターンが露光転写された材料に現状処理を施します。この現状処理によって不要なレジストが除去され、金属が露出されます。
エッチング エッチングマシーン等を活用してエッチング液を吹き付けます。露出した金属部分のみが腐食・融解されるため、原板通りのパターンに金属板が加工されます。
レジスト剥離 エッチング加工を施した後、金属板表面に残ったレジストによる保護部分を取り除きます。
検査 寸法検査・外観検査等の検査を行い、品質管理を実施します。

エッチング加工の種類

エッチング加工の種類として「ウェットエッチング」「ドライエッチング」についてご紹介します。

Etching Process 02

ウェットエッチング

ウェットエッチングは、酸やアルカリのエッチング液と呼ばれる溶液を加工対象物に触れさせることで、不要な部分を腐食・融解させて取り除く加工方法です。プリント配線版・金属板・半導体素子等の製造に活用されています。

ウェットエッチングを行う装置は構造もシンプルで操作も複雑ではなく、比較的安価のため、導入ハードルやコスト面に優れています。また、対象物へのダメージが比較的少ないことから、応用の幅を広げやすいという利点も持っています。

その他、一回で大量の基板を処理することができるという点も、ドライエッチングと比較した際の優位点として挙げられます。

また、ウェットエッチングにおいては、さらに等方性エッチングと異方性エッチングとに分類されます。

等方性エッチング

等方性エッチングでは、エッチング反応がすべての方向に均等に進行します。例えば、反応が材料表面に近い箇所で開始した場合、腐食はすべての方向に進行し、しばしば材料の下に入り、下のレジストを侵食する結果となります。この現象はアンダーカットとして知られ、材料の断面がU字型またはC字型に削られ、エッチングされたエッジが丸くなります。等方性エッチングは反応速度が速いと起こります。

異方性エッチング

異方性エッチングは、エッチング反応が一方向に向かって進行するものです。この方法により、エッジが鋭くなる加工が可能ですが、異方性エッチングを達成するには反応速度を制御しなければなりません。

要するに、等方性か異方性かはエッチングの反応速度に依存します。これらの速度を制御するために、エッチング液の濃度、種類、温度、攪拌、およびその他の要因の組み合わせが重要です。

ドライエッチング

ドライエッチングは、真空環境でガスをプラズマ化したイオンを接触させることで化学反応を起こし、エッチングを施す加工方法です。ウェットエッチングが等方性の加工であるのと比べて、ドライエッチング異方性のエッチング加工を行えるという特徴があります。その他、後工程において洗浄を必要としない点や、微細加工が可能であるというメリットがある一方で、ウェットエッチングと比較して装置が高価であるというデメリットもあります。

エッチング加工のおすすめ関連製品

ガラスの精密加工

スクリーンショット 2023 06 21 9.12.57

武蔵野ファインガラスでは受託加工のみならずガラスエッチングに関して様々なご相談に対応可能です。
フッ酸系の薬液を自社内で調合しており、作業環境及び周辺環境にやさしい組成での加工をモットーに様々なガラス組成に適したブレンド液の開発に注力しています。同時に廃液処理量の低減の為に使用薬液のリサイクルにも力を入れています。通常、エッチングが難しいとされるガラス素材に関しても、ご相談可能です。

「ガラスの精密加工」について詳しく見る

ガラスの精密加工

ガラスを溶解して加工する為、ガラスに傷が入らず、ガラスの強度低下を生じません。 機械加工+ウェットエッチングにより垂直な掘り込みや、円筒形の貫通穴など、ウェットエッチングだけでは難しい加工に適しています。 機械加工後の小さい傷を取る為に、ウェットエッチングで加工部を溶解すると、加工面が滑らかになり、ガラス強度を保つことに効果的です。 ガラスの薄型化加工(スリミング)

ガラスの薄型化加工(スリミング)

スクリーンショット 2023 06 21 9.20.35

ガラスの薄型化加工(スリミング)は、スマートフォン市場の成長や自動車のIT化の流れを受け、ニーズが高まっています。
武蔵野ファインガラスのエッチング技術を活かし、最大550mm×650mm、最小100mm×100mmの加工が可能で、加工精度はターゲット厚さに対して±10%以内を実現します。

ガラスの薄型化加工(スリミング)について詳しく見る

ガラスの薄型化加工(スリミング)

ガラスの薄型化加工(スリミング)とは、ケミカル液でガラスを溶解し、薄く・軽く加工する技術です。これまで液晶パネルなどに用いており、近年は配線基板にも利用されるようになり、薄型ガラスのニーズは高まっています。

ガラスフォトリソ加工

ガラスフォトリソ加工とは有機レジストを用いたガラスエッチング加工技術です。ガラス材料に任意のパターンを彫り込むことができ、金属レジスト膜を用いたエッチング加工と比較し、価格や耐久面での優位性があります。

レジストを剥がす際に有機アルカリ薬品を用いるため、配線済みのガラスにもダメージなく加工できます。

「ガラスフォトリソ加工」について詳しく見る

ガラスフォトリソ加工 

「ガラスフォトリソ加工」はガラスエッチング加工技術の一つです。ガラス材料にフォトレジストで任意のパターンを形成し、彫り込むことで、ガラスに凹凸、貫通孔を加工することが可能です。 金属レジスト膜を用いたエッチング加工と比べて、有機レジスト膜を用いたフォトリソは価格や耐久性の面で強みがあります。 また、レジストを剥がす際に基板にダメージを与えにくいので、加工前に施された配線に悪影響を与えない利点もあります。

LPKF ProtoLaserシリーズ

スクリーンショット 2023 06 19 8.54.29 (2)


電子部品の開発は、長年にわたり驚くべきペースで進んでいます。集積回路はよりコンパクトになると同時に高周波化、シャープなエッジ、および最小スペースなどプリント基板には大きな要求が課されます。これに対して、標準のFR4材料よりも加工がはるかに難しい新しい基板材料が使用されています。LPKF Laser&Electronicsは、微細加工に最も適したレーザーシステムの提供が可能です!

「LPKF ProtoLaserシリーズ」について詳しく見る

LPKF CuttingMasterシリーズ

ProtoLaser S4 は、グリーンレーザーを使用し厚みにばらつきのある金属箔も確実に加工ができます。プリント基板加工のスペシャリストです。 LPKF CuttingMasterシリーズ

LPKF CuttingMasterシリーズ

スクリーンショット 2023 06 21 9.37.53

非接触にて加工でき、ストレスフリーでの切断により切断部のみで次の個片を切り離すことができます。特にフルカットする場合は基板実装面積を広げ、基板材料を節約することができます。

「LPKF CuttingMasterシリーズ」について詳しく見る

LPKF CuttingMasterシリーズ

LPKF CuttingMaster シリーズはプリント基板(実装あり/なし) やその他の素材をカット/デパネリングするために設計されたレーザーシステムです。いろいろなレーザーや出力、加工サイズなどからお客様のニーズにあったシステムをお選びいただけます。最小の段取り・手間にもかかわらず最大の効果・歩留まりを得ることができます。

エッチング加工の利用用途

エッチング加工は様々な利用用途として活用されています。非接触の加工方法のため、変形・バリ・カエリ・歪み等が生じない高精度の加工を施しやすいメリットを持っています。

エッチング加工の利用用途例

金属薄板加工、電子回路、樹脂めっき、版画 / 印刷

 

さいごに

Etching Process 03

今回はエッチング加工についてご紹介しました。エッチング加工が可能な素材について、エッチング加工の製造工程について、エッチング加工の種類として「ウェットエッチング」「ドライエッチング」の特徴・メリット・デメリットについて、そして、エッチング加工の主な利用用途について、それぞれご紹介しています。

evortでは、エッチング加工に関連するおすすめ製品を掲載しています。ぜひ一度、参考にしてみてください。

関連記事

もっと見る