アクリルのレーザー加工には、いくつかの手法や素材があります。キーホルダーやネームプレートなど、さまざまな物を作る際に施されている方法です。
今回の記事では、アクリルのレーザー加工で使う素材や手法、実際に加工するときの注意点について解説します。
アクリルのレーザー加工の素材には、押し出し材とキャスト材があります。どちらの素材も、加工後の仕上がりに違いがあるのが特徴です。
これらの素材の特徴について解説します。
押し出し材は、アクリル樹脂をローラーで押し出すための材料です。安価な素材で、厚みがあって精度に優れています。熱曲げがしやすい反面、薬品を使用するとヒビが入る可能性もあるため、作業時には配慮が必要です。
切断する場合にはキャストよりも押し出しが適しています。また、固まるまでの時間が短いため、製品を大量生産したい場合に向いています。
キャスト材は、透明アクリルの加工に向いている素材です。押し出しに比べると、ヒビが入りにくいのがメリットです。押し出しと異なり、厚みが少なく固まるまでに時間がかかります。価格がやや高いため、大量生産にはあまり向いていません。
製品の強度をできるだけ高くしたい場合は、押し出しよりキャストが適しています。
アクリルのレーザー加工の方法は、レーザー彫刻・レーザーカット・レーザー加工の3種類です。どのような作品を作るかによって、工法を変える必要があります。
それぞれの工法について解説します。
レーザー彫刻は、アクリル板の表面を削って加工する手法です。フォトフレームやウェルカムボード、ホテルのルームキーなど、透明感のある作品を制作する場合に向いています。記念品や会社の案内板などでも、レーザー彫刻で作られた作品があります。
レーザー彫刻は、機械彫刻よりも安価で依頼ができるため、製品の予算をできるだけ抑えたいときには向いています。写真のような細かいデザインでも、通常の印刷と同じように加工が可能です。
レーザーカットは、名前の通りアクリル板を切断する手法です。丸い形や三角形など、自由な形にできるのが最大のメリットです。ネームプレートやキーホルダー、文字抜き(またはロゴ抜き)の表札に適した手法です。
切削加工では難しい形でも、加工費が高額になりやすい複雑な形でも対応できます。デザインしたいイメージをデータで用いて、依頼をするとスムーズな加工が可能です。レーザーは道具を使わないため、加工後の削りカスがあまり出ません。
アクリル板以外でも、金属のボードやネームプレートの加工でも活用できます。
レーザーケガキは、アクリル板の表面を浅く削る手法です。塗りなしの線を、少しずつなぞるような形で加工していきます。文字を入れる加工や、物差しや定規などに細かい数字や目盛りを入れる加工に適しています。
固定器具でアクリル板を固定せず、テーブルに置いてそのまま加工ができる点がメリットです。固定時間を削減できて、加工に集中しやすくなります。
慎重に作業することが重要なアクリルのレーザー加工。です。その際の注意点について、それぞれ解説します。
アクリルのレーザー加工作品には、カットし始めた位置に跡が残ってしまう場合があります。特に素材が透明なアクリル板は、跡やキズが残りやすいのが特徴です。グラフィック編集ソフトを利用して、カットのスタート位置を変更・工夫する業者もいます。
三角形などの簡単な図形は頂点をスタートに、複雑な形の場合は内角をスタート位置にすると、跡を隠しやすくなります。作る作品によって、スタート位置を工夫してみましょう。
アクリル板加工をしている際に、表面が曇る場合があります。表面が曇ると、透明なアクリル板だと特に目立つので注意が必要です。曇る原因は、保護シートにあるビニール素材が熱の影響を受けるためです。
アクリル板の保護シートは剥がして、マスキングテープを使うと曇りを予防できます。
アクリル板の切断をする際、意図していなかったキズができるケースがあります。反射によるものや、レーザーパワーを必要とするカットのときに起きやすいのが特徴です。
切り抜きの際のずれ落ちに注意したり、アクリルを浮かせてカットしたりして、加工時のキズの対策をしましょう。
アクリル板の加工手法や使用する素材を問わずに、作業中にひび割れが起きる恐れがあります。加工後のアクリル板を、アルコールやエタノールなどで清掃しているとヒビが入りやすくなります。
削り粉などの汚れを落とす際は、中性洗剤を使用してひび割れを予防しましょう。
アクリル板は、板の性質を考えると引火する恐れがあります。アクリルを加工した際に、可燃性の燃焼ガスが出るのが原因です。
周辺に可燃性の物やホコリなどがないかをよく確認してから、作業に入ると良いでしょう。
アクリル板のレーザー加工は、オリジナルのタグやネームプレートなど、さまざまな作品の加工が可能です。
アクリル板加工を他の業者に依頼する場合、レーザー加工の方が作品の見栄えがよくなります。工法や素材によって、作品の雰囲気やデザインも変わってきます。
実際にレーザー加工を実際に行う際には、キズやカット跡に十分気をつけながら丁寧に作業を進めていきましょう。