ゾル-ゲル法をベースとした新機能性材料の開発
原料溶液を加水分解し、重縮重合などの化学反応を起こさせゲル(ゼリー状の固体)を作成。それを熱処理して内部に残された溶媒を取り除き、さらに緻密化を促進することでセラミックスを得られるという「ゾル-ゲル法」。無機材料、有機材料を問わず、機能性材料を開発する際には広く行われている手法です。
しかし無機材料によるゾル-ゲル反応は、加水分解反応からゲル化まで数百時間も必要になるものがあり材料合成自体が困難でした。そこで当社では、ゾル-ゲル法で使う出発原料に適した反応触媒を発見し反応速度の制御技術を確立。反応速度の異なる無機材料と有機材料の複合化をすることで、新たな機能性材料を開発しました。
龍谷大学や京都工芸繊維大学といった大学機関や、京都市産業技術総合研究所や大阪府立産業技術総合研究所、産業技術総合研究所 九州センターといった公的機関との協同研究により生まれた新機能性材料は、当社オリジナルの反応触媒により、「コーティング薄膜」「多孔質薄膜」といった二次元化や、「多孔質物質」「中空粒子」「中空多孔質粒子」といった三次元化をすることにより、さまざまな製品に活用することができます。
株式会社中戸研究所が開発した新機能性材料は、私たちの生活を変えいく可能性を秘めているといえるでしょう。
目次
特長
無機物と有機物の特徴を併せ持った新たな機能性を有するコーティング薄膜① 《吸水や親水機能を有する防曇・結露防止技術》
シリカ(二酸化ケイ素)の三次元構造中に吸水物質や親水物質(有機物)を構成することにより、無機物の特徴【強固な骨格、不溶性】と有機物の特徴【吸水性、親水性】を併せ持ったコーティング薄膜を実現。優れた防曇性能を発揮します。
界面活性剤やその他薬剤の溶出によって曇りを抑える防曇技術などとは異なり、不溶性で耐久性・耐候性に優れているという特長を持っています。
この防曇・結露防止技術は低湿度から高湿度まで幅広く対応でき、用途に応じた塗膜の設計が可能です。

無機物と有機物の特徴を併せ持った新たな機能性を有するコーティング薄膜② 《酸素や水蒸気などを通さないガスバリア技術》
一般的にガスバリア性が高いとされるフィルムにはポリ塩化ビニリデン(PVDC)などが使用されており、焼却時の有害ガス発生が問題視されておりました。そこで当社は、無公害でガスバリア性の高いポリビニルアルコール(PVA)やエチレンビニルアルコール(EVOH)とシリカ(SiO2)を組み合わせた画期的なガスバリア技術を開発し特許を取得。
大手企業へのライセンス供与などにより、現在、食品包装用ガスバリアフィルムとして広く活用されています。今後は、電子機器分野への応用も期待される技術です。
「ゾルーゲル法」を用いて、溶液合成反応で無機の多成分系複合酸化物を実現

「ゾルーゲル法」を用いて、溶液合成反応で無機の多成分系複合酸化物を実現
「ゾルーゲル法」を用いた溶液合成において、pHや反応速度の異なる無機材料を混合すると析出や部分的なゲル化が起こりやすく、均一混合溶液を得ることは難しいとされておりました。そこで当社は独自の反応触媒を用いて各溶液のpH調整や反応速度調整を行うことで、無機多成分系の均一混合溶液の合成を実現し、任意の組み合わせ・組成比による複合酸化物の薄膜化に成功しました。 これにより、比較的安価な液相法でPZTなどの圧電材料や透明導電膜を作製することが可能となりました。
本技術は、ベースとなる「ゾルーゲル法」の反応制御法を確立したことで、無機や有機,2成分系や3成分系(多成分系)など組み合わせの自由度が高く、皆様のニーズに応じた新たな機能性材料の提供が可能です。

粒子製造技術① 多孔質粒子
「ゾル-ゲル法」で合成したシリカの加水分解液にある触媒を添加することで多孔質なシリカが得られることを発見。この多孔質シリカは二酸化窒素(NOx)や揮発性有機化合物(VOC)などの吸着に優れており、光触媒(TiO2)や二酸化マンガン(MnO)、助触媒などと複合化することにより吸着した有害物質を分解・無害化できるという特長を持ちます。

粒子製造技術② 中空粒子・中空多孔質(籠状)粒子
「ゾルーゲル法」をベースとした合成溶液から中空粒子を製造する技術を確立し、中空粒子の殻の組成や形状を任意で設計することが可能になりました。
単一組成や多成分系の均一混合溶液はもとより、ベースの合成溶液に溶解または均一分散出来るものであればその複合組成物で中空粒子の殻を作ることが出来るのです。
粒子のサイズは平均的に1.0~5.0μm、製造条件や組成によっても異なりますが10~30μmの粒子を作ることも可能です。また、殻に任意の穴を開けてポーラス化するなど様々な粒子設計も可能で、比重の調整なども行えます。また、当社の中空粒子は非常に分散性が良好で他の材料と混合した際に凝集しにくいといった特徴もあります。
現在は顔料や染料を無機材料のシリカやアルミナ(Al2O3)で被覆しカプセル化することにも成功し、低比重の化粧品原料や色材として広く利用されております。

粒子製造技術③ 球状(単分散)粒子
前述の中空粒子よりも粒子径は小さく、数十~数百nmの範囲内であれば任意にサイズをコントロールすることが可能。サブミクロンサイズの粒子径が均一に揃った単分散粒子は、規則正しく配列することで、可視光の干渉によって、オパールやクジャクの羽、モルフォ蝶のように構造色を発現します。
色素による発色の場合は化学変化による退色などの課題がありますが、構造色による発色は光の屈折・反射・干渉・散乱などの物理変化によるものであり、退色は基本的に起こらないことから新たな色材として期待されております。

用途例
| 不溶性で耐久性に優れた吸水・親水機能を有する防曇コーティング膜および防曇フィルム |
低湿度から高湿度まで幅広く対応でき、用途に応じた塗膜の設計が可能な防曇性能により、ガラス・アクリル、ポリカーボネート、 PETフィルムなど、あらゆる基材へのコーティングを実現しています。 既に、大手カメラのファインダー(アイピース)に採用されているほか、洗面台や冷蔵・冷凍ガラス扉など向けには「曇らないフィルム」として製品化されており、今後はセンサー周辺の感知部や防犯カメラ用ハウジング、自動車関連部品、電子部品、内視鏡レンズ、手術用ゴーグルなどへの応用も期待されています。 ![]() |
|---|---|
| 酸素や水蒸気を通さないガスバリアフィルム【食品包装,詰替え用パウチ】 |
シリカ(SiO2)をベース材料として、無公害でガスバリア性の高いポリビニルアルコール(PVA)やエチレンビニルアルコール(EVOH)を組み合わせたコーティング組成物をフィルム上に構成することで高いガスバリア性を発現し、酸素や水蒸気の透過を抑えて内容物の変質や劣化を防ぐことが可能になります。現在は食品包装材料をはじめ、医療分野、産業分野においても幅広い用途で活用されています。 ![]() |
| 顔料や染料を無機材料で被覆してカプセル化し、軽量かつ分散性が良好で凝集しにくい化粧品原料や塗料として実用化 |
顔料、染料の微細(粒径1.0~5.0μmサイズ)な中空カプセル化と、軽量かつ分散性が良好で凝縮しにくいといったメリットを活用して塗料や化粧品が製品化されています。 顔料や染料によって着色された粒子径が1.0~5.0μm程度の中空カプセルは、これまでの着色原料と比べて「比重が軽い」「発色が良い」「他の原料への分散性が良好」といった利点が認められ、化粧品原料として広く利用されている。 また、無機材料を上手く組み合わせることで退色防止などの効果もみられることから、無機-有機ハイブリッド材料による新たな色材や塗料として期待されている。 ![]() |
| 有害物質の吸着分解除去を可能にする多孔質物質の特長を活かしたフィルター |
有害物質の吸着分解除去を可能にする多孔質物質の特長を活かして、複写機内部の発生ガス除去や空気浄化システム内のフィルターモジュールに採用されています。 ![]() |
その他
| 受託開発【国】 |
◆地域新生コンソーシアム事業 『有機ELディスプレイ用ガスバリアフィルムの研究開発』 〔平成16~17年度〕 ◆《サポイン》戦略的基盤技術高度化支援事業 『高品位電子写真装置用 高機能クリーニングブラシの開発』 〔平成22~24年度〕『高品位電子写真装置用 高機能クリーニングブラシの開発』 〔平成22~24年度〕 VOCガスの吸着・分解機能を有する多孔質材料の開発--- ◆ ものづくり中小企業試作開発等支援補助事業 『有害物質(VOC,オゾン,NOx)の選択的吸着分解機能を備えた粒子およびそれを用いたデバイスの開発』 〔平成25~26年度〕 『光学特性を有する単分散粒子および中空粒子を用いた機能性材料の開発』〔平成26~27年度〕 |
|---|---|
| 受託開発【滋賀県】 |
◆滋賀県経済振興特別区域産学連携新技術創出事業 『NOx・SOxの吸着・分解および選択吸着機能を有する無機多孔質材料』〔平成16~17年度〕 |
よくあるご質問
Q. 主な組成は?
ゾルーゲル法がベースであるためシリカやチタニア、ジルコニア、アルミナなどの金属アルコキシドを出発原料とすることが多いですが、無機・有機を問わず、H2Oやアルコールに溶解するものであれば合成・複合化は可能です。
Q. 比表面積はどれくらい?
SiO2多孔性粒子・・・1,000㎡/g
SiO2中空粒子・・・200~300㎡/g
Q. 中空粒子の耐熱性は?
SiO2単一組成であれば800~1000℃
Al2O3系では1300~1500℃
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