半導体デバイス・液晶ディスプレイ・プラズマディスプレイなどの製造において使用されるパターン作成技術の1つが「フォトリソグラフィ」です。半導体の微細化が進む中で、フォトリソグラフィ技術も進化し続けています。
今回は、薄膜のパターン化に必要不可欠なフォトリソグラフィの原理、工程、そして将来展望について解説します。関連するおすすめ製品も併せてご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
このような方におすすめです
・フォトリソグラフィの概要や原理について知りたい方
・フォトリソグラフィの工程と各内容について詳しく知りたい方
・フォトリソグラフィに関連するおすすめ製品に興味のある方
フォトリソグラフィとは、感光性の物質を塗布した物質の表面をパターン状に露光することで、露光された部分と露光されていない部分からなるパターンを生成する技術です。フォトリソグラフィは英語で"photolithography"と表記されます。
この技術は、写真の現像技術を応用しており、光を利用して微細なパターンを作成するために使用されます。
フォトリソグラフィは半導体製造やマイクロデバイスの製造など、さまざまな産業で重要な役割を果たしています。
フォトリソグラフィーは、極めて微細なパターンを生成し、同時にその形状を非常に精密に制御できるため、数十ナノメートルという極小のフィーチャーを作成するのに適しています。 さらに、比較的高速で処理でき、シリコンウエハ全体にパターンを効率的に形成することが可能なため、コストも比較的低く抑えられます。
汎用性が高く、ガラス、シリコン、フレキシブル基板など、さまざまな材料のパターニングに広く利用されています。
フォトリソグラフィは、研究や工学応用において非常に価値のある技術ですが、一部の制約が存在します。技術的な制約として、フォトリソグラフィは基板が完全に平らでないと適用が難しく、使用する光の波長に制限がある点が挙げられます。
フォトリソグラフィの主な制約事項は、実用的な側面に関連しています。まず、フォトリソグラフィ装置は非常に高価であり、これは半導体製造などで使われる多くの装置に共通しています。さらに、フォトリソグラフィはクリーンルームのような微粒子や化学的な汚染物質のない環境でのみ実行できるため、クリーンルーム内での実施が求められます。
フォトリソグラフィの工程として7つの項目について詳しく解説します。
ウェーハの表面をレジスト塗布前に洗浄し、その後、HMDS(ビス(トリメチルシリル)アミン)を使用して表面の親水性を改善します。水溶性の現像液を使用する場合、ウェーハとレジストの間に溶液が浸透してレジストが剥がれるのを防ぐための役割も果たします。
レジストの特性の一つである粘度は、重要な影響を持っています。粘度が低い場合、薄いレジスト膜を生成しやすく、特に微細なパターンを形成するのに適しているとされています。通常、数μmから100μm程度の膜厚を調整できるように、粘度が調整された製品が市場に存在しています。
レジストはその化学的性質に基づいて、大きく2つに分類できます。1つは、光が照射されることで分解し、現像液に溶ける「ポジ型」。もう1つは、光が照射されることで重合反応が進み、現像液に溶けなくなる「ネガ型」です。
つまり、ポジ型は光照射箇所が失われ、ネガ型は光照射箇所が残ります。また、レジストは感光材料であるため、太陽光や蛍光灯などの光にさらされないよう注意が必要です。
塗布が完了した後、ウエハを約100℃に加熱して残留する溶剤を完全に蒸発させます。
電子回路のデザインがマスク(またはレティクル)に描かれたパターンを、露光装置を使用してウエハのレジスト膜に移すプロセスが行われます。露光装置には、基本的には密着露光装置と投影露光装置の2つのタイプがあり、投影露光装置は等倍露光装置(プロジェクション・アライナ)と縮小露光装置(ステッパーやスキャナ)に分類され、必要な解像度と生産性に基づいて選択します。
露光が終わった後、基板を現像液に浸すことで、フォトレジストの感光された部分を取り除く(ポジ型)か、感光されていない部分を取り除く(ネガ型)プロセスが行われます。
薬品とビーカーなどの小道具、ホットプレートやオーブンを使用して現像、すすぎ、乾燥の工程を手作業で行うことができますが、通常はこの作業を自動的にまとめて行う装置である現像装置(ディベロッパー)を活用するのが一般的です。
最後に、基板を再び約100℃で加熱し、現像液を完全に蒸発させ、加えて基板とレジストの接着性を向上させ、フォトレジストの工程を完了します。その後、エッチングやイオン注入などのプロセスを経て、不純物を導入するなどの工程が続きます。
現像が完了した後、半導体基板上の金属酸化膜をエッチング(削る)する際には、2つの方法があります。
1つは液体の酸などの薬剤に基板を浸して行う方法で「ウエットエッチング」と呼びます。この手法はラボの設備があれば手作業でも可能です。もう1つは、ガスを利用してプラズマを生成し、そのプラズマで基板を加工する方法で「ドライエッチング」と呼びます。
電子回路の微細化が進展しており、その結果、フォトリソグラフィ技術も進化し続けています。従来の方法では、フォトマスクと基板を近接させて露光する方法においても、解像度は5~10µm程度で、密着させる方法でも1µmが限界とされてきました。
しかし、半導体製造プロセスにおいて位置精度が求められる現状では、フォトマスクのパターンを基板に投影して露光する技術が用いられています。光の波長を短縮することで、nmオーダーの微細なパターンの作成が可能となります。これにより、水銀ランプのi線(365nm)、エキシマレーザー(KrF: 248nm、ArF: 193nm)といった短い波長の光源、更にはそれらよりも遥かに短い波長を持つEUV露光装置が実用化の段階に達しています。
製品名 | 特徴 |
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ガラスフォトリソ加工 | ガラス材料にフォトレジストで任意のパターンを形成し、彫り込むことで、ガラスに凹凸、貫通孔を加工することが可能です。 |
薄膜加工技術 | 真空薄膜加工 / 機能膜加工 / パターン成膜加工。3つの薄膜加工技術の提供が可能です。 |
LPKF ProtoLaserシリーズ | ProtoLaserシリーズはコンパクトなレーザーシステムで、短時間で難易度の高い加工を行います。 |
LPKF CuttingMasterシリーズ | プリント基板(実装あり/なし) やその他の素材をカット/デパネリングするために設計されたレーザーシステムです。 |
金属イオン除去フィルター(Purifier) | 半導体材料からのメタル低減に貢献する金属イオン除去フィルターです。 |
ガラスフォトリソ加工とは有機レジストを用いたガラスエッチング加工技術です。ガラス材料に任意のパターンを彫り込むことができ、金属レジスト膜を用いたエッチング加工と比較し、価格や耐久面での優位性があります。
レジストを剥がす際に有機アルカリ薬品を用いるため、配線済みのガラスにもダメージなく加工できます。
トーカイの薄膜加工技術は、硝子、レンズ、プリズム、樹脂、フィルムの製品の品質や機能に付加価値を与えています。求められるニーズや特性に応じて「真空薄膜加工」「機能膜加工」「パターン成膜加工」という3つの薄膜加工技術の提供が可能です。
電子部品の開発は、長年にわたり驚くべきペースで進んでいます。集積回路はよりコンパクトになると同時に高周波化、シャープなエッジ、および最小スペースなどプリント基板には大きな要求が課されます。これに対して、標準のFR4材料よりも加工がはるかに難しい新しい基板材料が使用されています。LPKF Laser&Electronicsは、微細加工に最も適したレーザーシステムの提供が可能です。
LPKF レーザーシステムは 24/7 での稼働を想定して設計されているシステムです。高精度、高品質が求められる医療・自動車・電子機器業界に適応したシステムに仕上がっています。
そして LPKF CleanCut テクノロジーを使用した加工はさらに高精度でクリーンです。切削粉、炭化、異物混入といった問題はもうおこりません。最高の信頼性と品質をもつ PCBが生産できます。
金属イオン除去のニーズは年々高まっています。
Cobetterでは、金属イオン除去に関する幅広いソリューションをお客様に提供すべく、新たな視点での金属除去メカニズムを開発しました。
キレート装飾型の金属イオン除去フィルターに加え、独自開発の新たな金属イオン除去機構を持つ2つのタイプの金属イオン除去フィルターをご紹介いたします。
フォトリソグラフィの概要や原理、7つの工程について解説しました。半導体製造プロセスの微細化にともない、フォトリソグラフィ技術の進化も留まることを知りません。今後、ますます各工程に特化した新技術が取り入れらた装置の開発は十分予想されるため、用途に適したものを選択することが重要です。
evortでは、フォトリソグラフィに関連するおすすめ製品を多数掲載していますので、ぜひご覧になってみてください。