タッチセンサーとは? 構造や想定される用途・導入効果について解説
今回は、タッチセンサーの構造やニーズ、導入効果についてご紹介していきます。
目次
タッチセンサーとは?

タッチセンサーとは、人が触れたり近づいたりすることで、それを感知するセンサーを表します。
透明なフィルム基板にタッチセンサー機能を搭載し、人が触れることでオンオフの切り替えや選択操作が可能です。工場で使用する機械や身近な家電製品にも、タッチセンサーが使用されています。
タッチセンサーにおける4つの原理
タッチセンサーには、主に4つの原理が用いられています。それぞれの特徴を確認していきましょう。
抵抗膜方式
抵抗膜方式とは、触れたときの抵抗値の変化によりタッチを検出する原理です。どのようなものでタッチしても反応でき、電磁ノイズに強くコストが低いというメリットがあります。
静電容量方式
静電容量方式とは、触れたときの静電容量の変化によりタッチを検出する原理です。複数箇所のタッチを検出でき、湾曲状でも反応できる柔軟性や、耐水性も兼ね備えています。
また、静電容量方式には電界を発生する電極が使用された「自己容量方式」と、送信と受信を担う2つの電極が使用された「相互容量方式」の2種類の原理があります。
超音波方式
超音波方式とは、触れたときの超音波の変化によりタッチを検出する原理です。操作する基板の映像の透明度が高く、少々の傷であればタッチ検出が可能で故障が少ないというメリットがあります。
光学(赤外線)方式
光学(赤外線)方式とは、触れたときの赤外線の変化によりタッチを検出する原理です。10箇所以上のタッチを検出でき、基板の映像の透明度が高いことで知られています。
タッチセンサーの基本的構造とは?

タッチセンサーは、透明な導電性ポリマーによる電極をガラス基板に利用した製品が多いです。
ガラス基板のほかにも、透明なフィルム基材を用いた商品があります。フィルム基材は薄く軽く、湾曲状のデザインに重宝されています。
また、タッチセンサーにおける4つの原理の中で、近年は静電容量方式が主流です。これまで抵抗膜方式も多く用いられてきましたが、静電容量方式の方が反応が良いとされています。
タッチセンサー事業を展開する企業では、タッチセンサー単体を開発したり、カバー素材までをカスタマイズしたりして顧客のニーズに合わせた製品をつくり上げています。
タッチセンサーのニーズとは?
タッチセンサーはどのような場所にあり、どのような場面で活用されているのでしょうか。具体的な製品の種類や使用されている場所について確認していきましょう。
製品の種類
タッチセンサーは、以下のような製品に使用されています。
- 産業用機器
- モバイル機器
- 家電製品
- 建物の設備
- 医療機器・介護機器
スマートフォンやタブレットパソコン、カーナビ、ゲーム機などの電子端末には、タッチセンサーが搭載されています。
これらの機器は普段何気なく使用していますが、タッチセンサーの原理が用いられているのです。
また、電子レンジや冷蔵庫など家電製品にもタッチセンサーが搭載されている場合があります。
製品が使用されている場所
軽く触れるだけで作動するタッチセンサーは、業務用・家庭用に関わらずさまざまな場所で使用されています。
例えば、病院や介護施設ではさまざまな検査機器・リハビリ機器が導入されており、タッチセンサーが搭載されているものも多いでしょう。
また、ショッピングセンターの自動ドアやエレベーターにもタッチセンサーが用いられています。
工業用としては、各種産業用機器の非常停止ボタンや防犯用センサーとして活躍しています。タッチセンサーは利便性だけではなく、安全性・防犯性も兼ね備えた機能であると言えるでしょう。
タッチセンサーの仕組みはどのような効果をもたらす?

業務にタッチセンサーを導入することで作業工数が削減し、生産性の向上が期待できます。
例えば、事前にプログラミングされたタッチセンサーを使用すれば、変化量を分析し、より良い生産工程を見出せる可能性があります。
また、複数の部品を取り扱う工程において、タッチセンサーを利用すれば施工時に部品の有無を確認することもできます。目視検査などのハードルが下がり、人員調整につながるかもしれません。
タッチセンサーについてのまとめ
今回は、タッチセンサーの構造やニーズ、導入効果についてご紹介しました。タッチセンサーは現代に欠かせない技術となっており、私たちの生活を豊かにしてくれています。
そんなタッチセンサーですが、今後もますますの進化が期待され、より便利な製品に変化していくでしょう。新たに開発されたタッチセンサーは産業展や学会などで続々と発表されています。
普段何気なく使用しているアクセサリーや家電製品にもタッチセンサーが使用されているかもしれません。ぜひ身の回りの製品を確認してみてください。
関連記事
【おすすめ流量計】流量計の種類と選び方のポイントをご紹介
「容積流量計」「コリオリ流量計」「超音波流量計」「タービン流量計(羽根車式流量計)」「熱式質量流量計」の特徴をご紹介します。
2025年12月01日
プリント基板とは?将来展望と求められる新たな技術
プリント基板は、私たちの身の回りにある電子機器のほとんどのものに使われているもので、電子機器に必要な部品をコンパクトに配置することが可能です。 プリント基板の存在は私たちの生活を便利にしてくれています。 今回は、社会や生活になくてはならないプリント基板について、基本的な知識や今後期待できる分野などについて解説します。
2025年12月01日
基板設計とは? 設計の役割・流れ・注意点について解説します
電子回路に用いられるプリント基板に配線・部品配置の設計を行う基板設計。基板設計の役割は多岐に渡り、代表例として「電気的特性への配慮」「製造不良の防止」「サイズの最小化」などが挙げられます。 この記事では基板設計の役割に加え、基板設計を行う流れについて紹介しています。おすすめの関連製品も掲載していますので、ぜひ参考にしてみてください。
2025年11月26日
フォトリソグラフィとは? 工程・原理・おすすめ関連製品をご紹介します
半導体デバイス・液晶ディスプレイ・プラズマディスプレイなどの製造において使用されるパターン作成技術の1つが「フォトリソグラフィ」です。半導体の微細化が進む中で、フォトリソグラフィ技術も進化し続けています。 今回は、薄膜のパターン化に必要不可欠なフォトリソグラフィの原理、工程、そして将来展望について解説します。関連するおすすめ製品も併せてご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
2025年11月26日
ゲッター材(水分・ガス吸着材)とは?種類や用途、選び方を解説
ゲッター材(水分・ガス吸着材)は、電子部品のパッケージや真空容器といった密閉空間に存在する不要なガス分子を吸着し、デバイスの性能や長期信頼性を維持するために不可欠な機能性材料です。 本記事では、ゲッター材の導入を検討されている開発担当者の方に向けて、基本的な役割から、用途に応じた種類の違い、ゲッター材の選び方について詳しく解説します。
2025年10月28日
半導体・電子部品業界の市場規模とは? 関連おすすめ製品と併せてご紹介
半導体・電子部品は私たちが豊かな生活を送るためには欠かすことのできない部品です。昨今、半導体不足のニュースが報じられているように、半導体の市場規模はまだまだ拡大傾向にあります。この記事では、半導体の市場規模や半導体の機能・目的についてご紹介します。
2025年11月04日
シリコンウェーハとは? 製造方法と関連おすすめ製品をご紹介
半導体の製造に欠かすことのできないシリコンウェーハ。PC・スマートフォンをはじめ、自動車や太陽光発電など様々なモノに組み込まれています。性質的な理由はもちろんのこと、シリコンは地球上に非常に多く存在する物質であることからモノづくり分野において重宝されています。この記事では、シリコンウェーハの概要や製造上の注意点についてご紹介します。
2025年10月30日
異方性導電フィルムとは?メリットや用途などについて解説
異方性導電フィルムは、ICなど電子部品を基板に実装したうえで、回路を形成するフィルム素材です。タッチセンサーやカメラモジュールなど幅広く用いられています。今回は、異方性導電フィルムの特徴や用途、メリット・デメリットなどについて解説します。
2025年09月11日
オゾン発生装置とは?仕組みや特徴・業務用途・選び方まで
オゾン発生装置は、環境浄化から産業利用まで、その効果が多岐にわたります。この記事では、オゾン発生装置の仕組みや効果、水処理や業務用途、耐用年数、半導体業界での利用、レンタルオプション、そして価格について詳しく解説します。 あわせて、オゾン発生装置の選び方から安全な使用方法まで包括的にご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
2025年09月05日
フィルムコンデンサとは?特徴や構造・役割を紹介
現在需要が高まっているフィルムコンデンサですが、名前は知っていても特性や用途までは理解していない、という方もいるのではないでしょうか。 そこでこの記事では、フォルムコンデンサの特徴や種類、役割について詳しく解説します。
2025年09月05日
コンデンサの種類一覧|それぞれの用途や選び方を解説
電子回路の心臓部とも言えるコンデンサは電子機器に不可欠なものです。この記事では、コンデンサの種類とその特徴、見分け方、そして選び方に焦点を当てて解説します。
2025年09月05日
【半導体製造工程】半導体ができるまでの流れを解説します
家電やスマートフォン、PCなど、私たちの暮らしにまつわる様々な製品に組み込まれている半導体部品。その製造工程は大まかに「設計」「前工程」「後工程」の3つに分類されます。今回の記事では、各工程における役割と注意点について解説します。また、半導体製造に関連するおすすめ製品もご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
2025年10月01日
パワーデバイス(パワー半導体)とは? 仕組み・種類・用途例についてご紹介します
一般的に用いられてきた「半導体」とは異なるパワーデバイス(パワー半導体)。インバータ・コンバータ等の電力変換器に用いられます。この記事では、パワーデバイスの仕組み・特性、代表的な種類についてご紹介しています。関連するおすすめ製品も掲載していますので、ぜひ参考にしてみてください。
2025年10月01日
エッチング加工とは? 加工の種類・利用用途や関連おすすめ製品をご紹介
金属に酸・アルカリ等の腐食液を吹き付けることで腐食や融解を施す加工方法をエッチング加工と呼びます。腐食性のある素材であれば基本的に加工を施すことが可能で、極薄・極小の金属板に対しても複雑なパターンを精度高く加工できるメリットを有しています。 この記事では、エッチング加工の概要、加工できる素材について、エッチング加工の工程について紹介しています。関連するおすすめ製品も掲載していますので、ぜひ参考にしてみてください。 このような方におすすめです ・エッチング加工の工程について知りたい方 ・エッチング加工が可能な素材や加工例について知りたい方 ・エッチング加工を提供するおすすめの企業を探している方
2025年09月26日
半導体チップとは? 仕組みと種類について解説します
パッケージングされた半導体集積回路(IC)の総称として用いられる半導体チップ。近年はその集積化が進んでおり、より小さい、より高機能な半導体チップがものづくり現場では求められるようになっています。この記事では、半導体チップの概要や種類について紹介しています。関連のおすすめ製品も掲載していますので、ぜひ参考にしてみてください。
2025年09月26日
精密洗浄剤とは|主要な種類や水系への移行が求められている背景について解説
精密部品製造において重要な工程の一つである精密洗浄。その中核を担う精密洗浄剤は、環境規制の強化や産業界からの要求の高度化により、転換期を迎えています。 本記事では精密洗浄剤の概要から種類、特性、そして近年注目を集める水系洗浄剤への移行背景まで、詳しく解説します。
2025年09月11日
チップ抵抗器とは?種類や用途に合わせたメーカーの選び方
電子回路の設計において欠かせないチップ抵抗器。この記事では、チップ抵抗器の基礎知識から選定ポイント、活用法まで詳しく解説します。 より効果的な回路設計のために、その重要性を再認識しチップ抵抗器に関する理解を更に深めましょう。
2025年09月17日
絶縁金属基板(IMS)とは?種類や用途、FR-4との違いを解説
近年、電子機器の高性能化・小型化が進むにつれて、部品から発生する熱の管理がますます重要な課題となっています。特にLED照明や車載機器、電源モジュールといった高出力の部品は多くの熱を発生させ、従来の回路基板ではその熱を十分に逃がせず、性能低下や故障の原因となることがあります 。このような熱問題に対する効果的な解決策として注目されているのが、「絶縁金属基板(IMS)」です。 本記事では、電子機器の信頼性を支える絶縁金属基板(IMS)について、その基本的な構造から種類、メリット、主な用途、そして選定時のポイントまで、幅広くご紹介します。
2025年10月16日
基板印字とは?その目的や種類、選び方を分かりやすく解説
電子機器の頭脳ともいえるプリント基板(PCB)。その製造工程において「基板印字」は、生産効率と品質を左右する重要な役割を担っています。かつては部品実装を補助する目的が主でしたが、近年では品質管理やトレーサビリティの要としても不可欠な技術となりました。 本記事では、基板印字の導入や見直しを検討されている製造業のご担当者様に向けて、その基本的な役割から主な印字方式の種類と特徴、用途に応じた選定ポイント、そして導入の流れまで、分かりやすくご紹介します。
2025年10月16日
超音波洗浄機とは?仕組みや種類、選び方を分かりやすく解説
製造現場において、部品の精密な洗浄は製品の品質を左右する重要な工程です。特に、複雑な形状の部品や微細な汚れの除去は、手作業や従来の洗浄方法では限界があります。超音波洗浄機は、こうした課題を解決する先進的な洗浄技術として、多くの産業で活用されています。 本記事では、超音波洗浄機の導入を検討されている製造業のご担当者様に向けて、その基本原理から種類、具体的な用途、そして自社に最適な一台を選ぶためのポイントまで、幅広く分かりやすく解説します。
2025年10月16日