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PIMS(プラント情報管理システム)

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PIMS(プラント情報管理システム)とは?仕組み・機能・導入メリットを解説

PIMS(Plant Information Management System)は、プラント内のDCSやPLC、各種センサーから運転データを自動収集し、長期間にわたって一元管理するシステムです。操業データの可視化や帳票自動化、品質改善、予兆保全など、製造現場の幅広い課題を解決する基盤として多くの業界で導入が進んでいます。

本記事では、PIMSの基本的な仕組みと主な機能、導入によって得られるメリット、適用業界、そして製品選定時に確認すべきポイントまでを体系的に解説します。

この記事で分かること

  • PIMSの3層アーキテクチャ(データ収集層・データベース層・アプリケーション層)の仕組みがわかる。
  • データ収集・可視化・帳票作成・演算・アラーム管理といった主要機能の概要を理解できる。
  • オンプレミス型・クラウド型・エッジ型それぞれの特徴と適した環境を把握できる。
  • 操業可視化・業務効率化・品質向上・技術継承・予兆保全など導入メリットを整理できる。
  • 既存システム連携やセキュリティなど、PIMS選定時の確認ポイントがわかる。

PIMSとは

PIMS(Plant Information Management System)は、プラント情報管理システムの略称です。工場やプラント内で稼働するDCS(分散制御システム)、PLC(プログラマブルロジックコントローラ)、各種センサーなどから運転データを自動収集し、長期間にわたって蓄積・管理するシステムを指します。

従来、プラントの運転データは各制御システムや計測機器に分散して保存されていました。そのため、過去のデータを参照したり、複数のデータを組み合わせて分析したりする際に、多大な手間と時間がかかっていました。PIMSはこれらのデータを一元的に集約し、必要な人が必要なときにアクセスできる環境を提供します。

PIMSの基本的なアーキテクチャは、データ収集層、データベース層、アプリケーション層の3層構造で構成されています。データ収集層では、OPC(OLE for Process Control)などの標準インタフェースを介して、さまざまな制御システムからデータを取得します。データベース層では、収集したデータを効率的に圧縮・保存し、長期間の履歴データとして管理します。アプリケーション層では、トレンドグラフや帳票作成、KPI(重要業績評価指標)表示などの機能を提供し、データの可視化と活用を支援します。

PIMSの主な機能

PIMSが提供する機能は多岐にわたりますが、主要な機能として以下のものが挙げられます。

データ収集・蓄積機能

PIMSの基本となる機能がデータ収集と蓄積です。DCSやPLCなどの制御システムから、温度、圧力、流量、回転数などのプロセスデータをリアルタイムで収集します。収集間隔は秒単位から分単位まで設定可能で、プロセスの特性に応じて適切な頻度を選択できます。

収集したデータは独自の圧縮技術によって効率的に保存されます。データの変化量に応じて保存するタイミングを調整する「スウィンギングドア」と呼ばれる圧縮方式などにより、データの精度を保ちながらストレージ容量を大幅に削減できます。これにより、数年から数十年にわたる長期データの保存が現実的なコストで実現可能となります。

可視化・トレンド表示機能

蓄積されたデータを時系列のトレンドグラフとして表示する機能は、PIMSの活用において重要な役割を果たします。複数のタグ(データポイント)を重ね合わせて表示することで、異なるパラメータ間の相関関係を視覚的に把握できます。

過去の任意の期間を指定してデータを参照できるため、トラブル発生時の原因究明や、プロセス条件の最適化検討などに活用されます。多くのPIMSでは、Webブラウザやモバイル端末からもトレンドを参照できる機能を備えており、場所を問わずにプラントの状況を確認することが可能です。

帳票・レポート作成機能

運転日報や月報などの帳票を自動生成する機能も、PIMSの重要な機能のひとつです。従来は運転員が手作業で記録していたデータを、PIMSが自動的に収集・集計することで、帳票作成にかかる工数を大幅に削減できます。

定型的なレポートはスケジュール設定により自動出力が可能で、異常値や基準逸脱があった場合に自動的にハイライト表示するなどの機能も備えています。また、表計算ソフトウェアとの連携機能により、既存の帳票フォーマットを活かしながらデータ入力を自動化することもできます。

演算・集計機能

収集した生データに対して、各種の演算処理を施すことができます。時間平均、最大値・最小値、積算値などの基本的な集計に加え、ユーザー定義の計算式による演算タグの作成も可能です。

たとえば、複数の流量計の値を合計して総流量を算出したり、原料投入量と製品産出量から歩留まりを自動計算したりといった処理が行えます。演算結果も通常のタグと同様に蓄積されるため、KPIの推移を長期的に追跡することができます。

アラーム管理機能

プロセスデータが設定した閾値を超えた場合にアラームを発報する機能を持つPIMSもあります。発生したアラームは履歴として記録され、アラームの頻度分析や傾向分析に活用できます。

アラーム管理機能は、設備の異常を早期に検知し、計画外の停止を防ぐための重要なツールとなります。アラームの発生パターンを分析することで、設備の劣化傾向を把握し、適切なタイミングでの保全計画立案にも役立てることができます。

PIMSの種類と特徴

PIMSはその導入形態や対象規模によっていくつかの種類に分類できます。自社の環境や要件に合った製品を選定するために、それぞれの特徴を理解しておくことが重要です。

オンプレミス型

自社のサーバーにPIMSソフトウェアをインストールして運用する形態です。データが社内に留まるためセキュリティ管理がしやすく、制御システムとの通信も社内ネットワークで完結します。大規模なプラントや、セキュリティ要件が厳しい業界で多く採用されています。

一方で、サーバーの調達・保守や、ソフトウェアのバージョンアップなどを自社で管理する必要があり、IT部門の負荷が大きくなる傾向があります。

クラウド型

クラウド上でPIMSを利用する形態で、サーバーの構築・運用が不要なため、導入の初期コストを抑えられます。また、複数拠点のデータを一元的に集約しやすく、遠隔地からのアクセスも容易です。

ただし、制御システムとクラウド間のデータ通信についてはセキュリティ対策が必要となります。また、大量のデータをクラウドに送信する場合は通信コストも考慮する必要があります。

エッジ型

プラント内のエッジサーバーでデータを処理・蓄積し、必要に応じてクラウドや上位システムにデータを転送する形態です。現場でのリアルタイム処理とクラウドでの広域分析を両立させることができます。

エッジ型は、通信帯域が限られる環境や、リアルタイム性が求められる用途に適しています。近年のIoT技術の発展に伴い、エッジコンピューティングを活用したPIMSの構成が増えてきています。

PIMS導入のメリット

PIMSを導入することで、製造現場にはさまざまなメリットがもたらされます。

操業情報のリアルタイム可視化

PIMSにより、プラント全体の運転状況をリアルタイムで把握できるようになります。生産実績、品質情報、設備稼働率などの操業管理に必要な情報を、現場スタッフから経営層まで、それぞれの立場に応じた形で参照できます。

異常が発生した場合には即座に状況を確認でき、迅速な対応が可能となります。また、リアルタイムなデータを経営層にも共有することで、経営判断のスピードアップにも貢献します。

業務効率化と工数削減

運転日報の作成や品質データの集計など、従来は手作業で行っていた業務を自動化することで、大幅な工数削減が実現できます。データ入力の手間が削減されるだけでなく、転記ミスなどのヒューマンエラーも防止できます。

蓄積されたデータへの高速アクセスにより、問い合わせ対応やトラブル対応にかかる時間も短縮されます。過去のデータを瞬時に参照できるため、「以前はどうだったか」という調査も容易に行えます。

品質向上と安定化

プロセスデータの分析により、品質に影響を与える要因を特定しやすくなります。良品が製造されたときの条件と不良が発生したときの条件を比較分析することで、品質改善のヒントを得ることができます。

また、プロセス条件の逸脱を早期に検知することで、品質不良の発生を未然に防ぐことも可能です。統計的プロセス管理(SPC)の手法と組み合わせることで、品質の安定化に大きく貢献します。

技術継承の支援

ベテラン運転員のノウハウは、しばしば暗黙知として属人化しがちです。PIMSに蓄積されたデータは、過去の操業実績を客観的に示す証拠となり、技術継承の材料として活用できます。

トラブル発生時の対応履歴とプロセスデータを紐づけて記録しておくことで、同様の事象が発生した際の対応手順を若手技術者が学ぶことができます。

予兆保全への活用

設備の振動データや温度データの推移を監視することで、故障の兆候を早期に検知できます。データの傾向分析により、「いつもと違う」状態を検出し、計画的な保全を実施することで、突発的な設備停止を回避できます。

PIMSのデータを機械学習などの分析手法と組み合わせることで、より高度な予兆保全を実現する取り組みも進んでいます。

PIMSの適用業界

PIMSは、連続プロセスやバッチプロセスを持つさまざまな業界で活用されています。

石油・化学

石油精製や石油化学プラントは、PIMSが最も早くから導入された分野のひとつです。24時間連続で稼働する大規模プラントでは、膨大な量のプロセスデータが発生します。長期間のデータ蓄積と高速検索が求められる用途に、PIMSは適しています。

製薬

製薬業界では、GxP規制やデータインテグリティへの対応が求められます。製造データの完全性を担保し、監査証跡(オーディットトレイル)を残すことができるPIMSは、規制対応の観点からも重要なシステムとなっています。

食品・飲料

食品・飲料業界では、製品の品質管理とトレーサビリティの確保が重要です。原材料の受入から製品出荷までの製造履歴をPIMSで一元管理することで、万一の問題発生時にも迅速な原因追跡が可能となります。

電力・ガス

発電所やガス製造設備では、安定供給のための設備管理が重要です。PIMSによる設備状態の監視と、過去データに基づく傾向管理により、効率的な設備運用と保全計画の立案が可能となります。

鉄鋼・非鉄金属

高温・高圧のプロセスを扱う鉄鋼・非鉄金属業界では、プロセスデータの管理が品質と安全の両面で重要です。製造条件と品質データを紐づけて管理することで、品質トラブルの原因究明や再発防止に役立てられています。

水処理

上下水道や産業用水処理設備では、広域に分散した施設を効率的に管理する必要があります。PIMSを活用した遠隔監視により、少人数での広域管理を実現している事例があります。

PIMS選定のポイント

PIMSの導入を検討する際には、以下のポイントを考慮することが重要です。

既存システムとの連携性

PIMSは、DCSやPLCなどの既存制御システムと連携して動作します。導入予定のPIMSが、自社で使用している制御システムとの接続に対応しているか確認が必要です。OPCなどの標準インタフェースへの対応状況や、専用インタフェースの有無を確認しましょう。

拡張性とスケーラビリティ

将来的なデータ量の増加やタグ数の追加に対応できるかどうかも重要な選定基準です。小規模から始めて段階的に拡張していく計画がある場合は、ライセンス体系や追加時のコストも確認しておく必要があります。

データ圧縮と保存効率

長期間のデータを蓄積するPIMSでは、データ圧縮技術の性能が重要です。圧縮率だけでなく、圧縮後のデータ品質(再現精度)も確認しましょう。用途によっては、高い精度でのデータ保存が求められる場合があります。

可視化ツールの使いやすさ

データを活用する現場担当者にとって、トレンド表示や帳票作成などのツールが使いやすいかどうかは重要です。プログラミングの知識がなくても操作できるか、必要な分析機能が備わっているかを確認しましょう。

セキュリティ機能

プラントの運転データは機密性の高い情報を含む場合があります。ユーザー認証、アクセス権限管理、監査証跡などのセキュリティ機能が十分に備わっているかを確認する必要があります。特に製薬業界など規制対応が求められる業界では、データインテグリティ要件への適合も重要です。

サポート体制

PIMSは長期間にわたって運用するシステムです。ベンダーやシステムインテグレーターのサポート体制、バージョンアップのポリシー、トレーニングプログラムの有無なども選定時に確認しておくことをお勧めします。

[PIMS(プラント情報管理システム)]に関連するFAQ

PIMSとDCS(分散制御システム)はどのような関係ですか?

DCSはプラントの制御を担うシステムであり、PIMSはDCSなどから運転データを収集・蓄積して活用するための情報管理システムです。PIMSはDCSの上位に位置し、OPCなどの標準インタフェースを介してデータを取得します。

PIMSではどのくらいの期間のデータを保存できますか?

スウィンギングドアなどの圧縮技術により、データ精度を保ちながらストレージ容量を大幅に削減できるため、数年から数十年にわたる長期データの蓄積が現実的なコストで実現可能です。保存期間は運用要件やストレージ環境に応じて設定できます。

PIMSはどのような業界で導入されていますか?

石油・化学、製薬、食品・飲料、電力・ガス、鉄鋼・非鉄金属、水処理など、連続プロセスやバッチプロセスを持つ幅広い業界で活用されています。業界ごとに品質管理、規制対応、設備保全など求められる要件は異なります。

クラウド型PIMSとオンプレミス型PIMSのどちらを選ぶべきですか?

セキュリティ要件が厳しい環境や大規模プラントではオンプレミス型が多く採用されています。一方、初期コストを抑えたい場合や複数拠点のデータを一元管理したい場合はクラウド型が適しています。自社の要件に応じて選定することが重要です。

PIMSは技術継承にどのように役立ちますか?

PIMSに蓄積された過去の操業データは、ベテラン運転員のノウハウを客観的に示す材料となります。トラブル発生時の対応履歴とプロセスデータを紐づけて記録しておくことで、若手技術者が同様の事象に対処する際の学習資料として活用できます。

この記事のまとめ

  • PIMSはDCSやPLCなどからプロセスデータを自動収集し、一元的に蓄積・管理するプラント情報管理システムである。
  • データ収集・可視化・帳票自動化・演算・アラーム管理など、操業データの活用を幅広く支援する機能を備えている。
  • 導入形態にはオンプレミス型・クラウド型・エッジ型があり、セキュリティ要件やコスト、拠点構成に応じて選定する。
  • 操業の可視化、業務効率化、品質向上、技術継承、予兆保全など多面的なメリットが得られる。
  • 選定時には既存システムとの連携性、拡張性、データ圧縮性能、セキュリティ機能、サポート体制を確認することが重要である。

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